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明けましておめでとうございます。
相変わらずののんびり更新ですが、本年も宜しくお願い致します。

新年一発目は、拍手お礼を入れ替えてみました。

CPにご注意ください!(財ユウ・仁王不二・日宍です)

scene甘やかな(財×ユウ)
 

「そういう所が、いけないのとちゃいますかね」
向かいからそっと伸ばされた財前の指先が、一氏の頬をそっと撫でた。
「そないに必死に『小春』『小春』言うから、構いたくなるんですわ」
「っおま…!」
カァっと頬を染めた一氏に、財前は目を細める。
「そないに必死に予防線張るから、マジになっちゃうんすわ」
「光…」
賑やかなファーストフード店の、小さなテーブルの下。
財前のもう片方の掌は、膝の上で堅く握られた一氏の拳を掴み、優しく包んだ。
意外と大きなその温もりに、先輩としての強がりはあっさり崩れて、一氏は迷子の様に視線を泳がせる。
「ユウジ先輩。大丈夫っすわ」
「…何が」
何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないかなんて、分からない。
ただ、自分を見つめる瞳が口調以上に真剣で、一氏は漸く目を閉じた。
本当は、ずっと、甘やかな優しさに転がり落ちたかったから。


 

scene本気(仁王×不二)

「僕はいつだって、本当の君が見たいって思ってるんだけど?」
「俺はいつでも『俺』じゃき。どんな仮面を被っとってもな」
「…仁王」
珍しく開眼した鋭い視線に、仁王は「おっと」とおどけて両手を上げ、降参のポーズをとる。
「こっちの方が、お前さんのお好みかと思ったんじゃがな」
そしてあっさりと、手塚に扮したイリュージョンを解いた。
「あんまりふざけると本当に怒るよ」
「おーおー。美人の睨みは怖いの」
「…帰る」
不二はムッとした表情で背を向ける。

思ったより大股に歩き出す不二。
その背で揺れる見慣れないフードが、仁王の知る「コート上の不二」を意外な程幼く見せて、仁王はらしくもなく表情を歪め舌打ちをした。そして、慌てて駆け寄るとその肩を引き戻す。

「待ちんしゃい」
「ちょ、仁王!」
強く引かれた勢いで、不二の躰はすっぽり仁王の腕の中だ。
「お前さんの私服があんまり可愛いから、ちょっと照れただけじゃ。そう怒りなさんな」
「…バカじゃないの?」
「ああ、そうじゃな。もうすっかり馬鹿になっとるき。完全にお前さんにイカれとる」
そう耳元で囁いた仁王は、鼻先を擦りつけるようにして不二に頬ずりをする。そしてそのまま流れるように唇を奪った。
「…ん」
漏れる吐息は、仮面を脱いだ仁王の本気を益々煽るだけだ。
「もう、逃がさんぜよ?」
「…望むところ」

艶やかに微笑む不二に、仁王は愉しそうに口の端を上げる。
そしてもう一度、色付く唇に噛みつくようにキスをした。


 

scene刹那(日宍)

「あっちにもこっちにも『あんな顔』して、いい気なもんですね?」
「…アァ?」
ロッカーの前でシューズの紐を結んでいた宍戸は、どこか剣呑な空気を孕んだ物言いに振り返る。
言葉の割に弱腰な視線は、宍戸を避けて横に転がるラケットで止まっている。
その様はあまりに不安定で、宍戸は「文句があるならはっきり言え」と怒鳴り飛ばすのを思いとどまった。
「…どうした、若?」
気遣う様な宍戸の口調に、日吉は弾かれる様に顔を上げる。
「そんなだから!みんなあんたに振りまわされるんだ!」
「っ、おい」
急に声を荒らげる日吉に、宍戸は慌てて立ち上がり部室を見回すが、皆先にコートに出たようだ。
少しほっとして、宍戸は立ちつくす日吉の顔を覗きこむ。
「何が言いたいんだよ。俺、皆に何かしたか?」
思い当たる事は無い。
そりゃあ全国大会を前に、皆で仲良しこよし穏やかに部活動、とはならないが、それなりに良い雰囲気で切磋琢磨していると宍戸は思っている。
多少の衝突はいつもの事だ。
「良い機会だ。良かったら聞かせてくれよ?」

日吉は表情を歪める。
はっきり言えよ!俺に文句あるのか!?と、言って欲しかった。
そう言ってくれたら、お互い喧嘩腰に有耶無耶にできたかもしれないのに。
口の悪い先輩は、こんな時ばかりそんな優しさを見せる。
「日吉?」
「…あんたのせいだ」
「…え?」
「あんたの…!!」
日吉は、目の前の見慣れたブルーのキャップを、右手の甲で弾き飛ばした。
状況が読めずにきょとん、としたその表情があまりに幼く見えて。
視界の端で、宍戸のキャップが転がり、止まった。

「くそっ」
日吉は、何かを奪うように乱暴に、宍戸の唇に吸いついた。
「っ…!」
声すら出せない程、根こそぎ奪う。
唇だけではない。舌も、唾液も、全てを味わうかの如く啜りあげる。
逃げようとする宍戸を、その胸に強く抱きしめた。

どんっ、と宍戸が日吉の胸を突いて押し退けたのは、その唇が十分に色付いてからだった。
同じような体格とは思えない力強い拘束に、掴まれていた宍戸の腕は鈍く痛んだ。

「どういう…」
どういうつもりだ、と。聞き終える前に日吉は背を向け部室を飛び出す。
「若っ…!」
待てよ、と言ったところで聞こえやしない。
宍戸は大きくため息を吐いた。
まだ震えを残す掌を、堅く握りしめる。
殴ってしまえたら良かったのに。
驚く事に、宍戸に残されたのは胸を刺す甘く小さな棘。

「何てことしやがるんだ」
頭を抱えてしゃがみ込めば、過るのは、余りにも刹那的な予感だけ。

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