例えばこんなイルミネーション（跡×宍） 2012/12/10 (Mon)

クリスマスっぽい短文をひとつ。
跡宍で。

後日リョ不二UP予定です。

例えばこんなイルミネーション（跡宍）

 

「何だ宍戸。そんなモノに興味あるのか？」
「…あ？」

休み時間の教室。
俺は、暇つぶしにページを捲っていた手を止める。
そこには見開きでクリスマスイルミネーション特集。
某遊園地や観光地でのイルミネーション点灯式の記事でぎっしり埋まってる。

「あ、そういう訳じゃ…」
照れ隠しでも何でもなく、本当にさしたる興味もなかったのでそう答えて振り返ったら、思わず優しい視線にぶつかった。

「その写真も綺麗だが、うちのイルミネーションはもっと綺麗だぜ。来るか？」
ごくスマートな跡部の誘い。
俺は自然と頷いていた。
そんな俺に、跡部は変わらず穏やかに目を細める。

「お前の家じゃ、すげェ派手そうだな!」
頷いちゃってからちょっと恥ずかしくなって、からかうように笑い飛ばしたら、跡部も機嫌良さそうに笑った。
「そりゃ、あんなモノ派手でナンボだろ？」
まるで忍足みたいな物言いに、俺も笑う。

珍しくも無い跡部のそんな誘い。
今までだって、みんなで夕飯ご馳走になったり、広い庭で花見させてもらったり。

それなのに、何故か今、瞼の裏に浮かぶのは。

想像以上に上品で優雅なイルミネーションの中。
背中からそっと抱きしめられる自分。
耳元で囁く跡部の声に、俺はきっと溜め息を漏らす。
驚くほど甘い甘い…。