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ずいぶん前から、宍戸&跡部の誕生日用にと(正確には跡部しか祝っていないが)SSを作って、その日を待ち構えていたんですけどね。
急な人事異動とか諸々に振り回されているうちに、もう月が変わっていたという…。
そんな訳で、今更ですが誕生日おめでとうSSです。
	何度目の誕生日?(跡×宍)
	 
	「誕生日誕生日…」
	宍戸はうろうろと部室を歩きまわる。
	「…邪魔なんですけど」
	日吉の冷たい目だって気にしていられない。
	「…引退したのですから、そう勝手に入られては」
	「まあまあ」
	まだ文句を言い足りなそうな日吉を制して、岳人は宍戸の肩を叩く。
	「宍戸、絶対良いって!俺の言うとおりにしておけば跡部の機嫌を損ねることはねェしさ。な?」
	「本気かよ…?」
	数日前の宍戸のへ誕生日。跡部からの祝いは、相も変わらず中学生同士のプレゼント交換にしては高価な代物だった。
	新作のテニスシューズ。
	黒のラインが効いた一風変わったデザインで、仲間同士で「かっこいいよな!」と店頭で騒いでいたのは半月ほど前の話だ。
	「毎年毎年…もう、思いつかねえよ」
	跡部が用意するものは、いつだって受けっとっていいものか躊躇してしまう。
	他のメンバーがそんなプレゼントを貰っているのかは定かではないが、きっと同様なのだろうと、宍戸は自分を納得させてきた。
	リストバンドに、スポーツタオル。
	宍戸がプレゼントした物を跡部が大切に使ってくれているのは知っている。
	跡部の用意するものと比べれば随分とお手軽に思えるプレゼントだって、中学生のお小遣いにしてみれば奮発した方だ。
	「テニス関係以外のプレゼントって思い浮かばねえし…。ネタが尽きたぜ」
	「だ・か・ら!」
	な?と岳人がわざとらしく小首を傾げる。
	「う~…」
	岳人の言うことは本当だろうか?
	けれど、今日は10月4日で、もう放課後で。
	跡部がこの部室へやってくる。
	「…おい。何で部室なんだよ」
	開口一番、跡部はそう言って岳人を見遣る。
	「まあまあ!」
	岳人はそんな事を気にするタイプではない。宍戸だけ妙にビクつきながら、日吉と挨拶を交わす跡部の横顔を窺う。
	「悪いな日吉」
	「そう思うならさっさと用を済ませてくださいよ」
	「だってよ、岳人」
	不機嫌そうに振り返る跡部に、岳人は首を振る。
	「俺じゃねーよ。宍戸」
	「な、なに?!」
	連れてこられたのは宍戸だって同じだった。
	「が、岳人!」
	宍戸が助けを求めるように岳人に縋っても、当の本人は澄ました顔でそっぽを向いてしまう。
	「早く済ませちゃえば?」
	「っく、そー」
	「何なんだ宍戸」
	尋ねる跡部の声が若干低い。
	「いや、あのっ、その」
	「誕生日プレゼントだろ!」
	岳人までイライラしたように口をはさむ。
	「岳人~!」
	他人事のような岳人の態度に腹を立てつつも、宍戸はそろりと跡部の表情を覗き見る
	「どうした?」
	「あ~」
	ほんの少し機嫌が直っただろうか?
	軽くなった声に、宍戸は思い切って立ち上がった。
	「ほら!イギリス育ちだし、そういうもんなんだろ?!」
	「何がだ?」
	「俺よく知らなくてさ!ヤローのこんなの嬉しいのかなァなんて。でも岳人がそう言うし!」
	「…だから何がだ?」
	岳人が背を向けほくそ笑むのに気づいたのは、跡部と日吉だけで。
	宍戸は一人目を白黒させて、滲む額の汗を袖で拭った。
「苦情は岳人に宜しく!」
	そう叫ぶように吐き捨てると、宍戸は跡部の両肩を強く掴んで引き寄せた…つもりだった。
	実際は、いつのまにか離された身長差で、宍戸が跡部に縋りつくような姿になる。
	「誕生日おめでとう!!」
	強い口調は、まるで喧嘩を売っているようで、決しておめでたくは感じない。
	「宍戸…」
	それでも跡部は、全てを察して軽く瞳を細めた。
	岳人と、きっとほかのメンバーからのプレゼント。
	そして、誰よりも嬉しい宍戸からのプレゼント。
	跡部の形良い唇に、宍戸の真一文に結ばれた唇が強くぶつかる。
	鼻を掠める宍戸の香りに、跡部は微笑んだ。
たった一瞬のキス。
	宍戸はあっという間に跡部から飛び退くと、恐る恐る跡部を窺う。
	「これ…プレゼントになったか?」
	何も知らない、幼い宍戸。
	必死に笑いをこらえる岳人の手に隠されたカメラのデータは後で奪うこととして。
	「ああ、有難う。随分洒落た事を知っているんだな?」
	めったに自分を褒めない跡部の言葉に、宍戸は大きく首を振る。
	「だから、岳人に教えてもらって!…俺、そういうの、海外のマナーとか?よく知らなくてさ」
	トレードマークだった帽子は最近被っていない。
	宍戸は、照れ隠しのように少し伸びかけた髪に指をつっこみかき回す。
	「素敵なプレゼントだ。…有難う宍戸」
	「え!?そんな、たいした事ねェし!金かかってなくて、かえって悪いっていうか…」
	このまま強く抱きしめるとか、もう一度深く口づけるとか。
	跡部は、自然とそういう気分にはならなかった。
	蕾がゆっくりと花開くように。
	その表情の変化を、誰より近くで見守っていこう、と。
	跡部は甘く鳴った鼓動を落ち着かせる。
	「岳人、ありがとうな。アイツ等にも」
	「どういたしまして♪伝えておくよ」
手を開いたり握ったり、落ち着かない宍戸を、跡部は気付かれない位小さく微笑んで見守る。
	「…そんな事は余所でやってくださいよ」
	思わず呟く日吉の口元にも、微かな笑みが浮かんでいた。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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