過去拍手 ２ 2007/05/17 (Thu)

２代目、拍手お礼ＳＳＳです。

跡宍１本。鳳＋跡宍１本です。

scene　朝 （跡宍）

バサっ！…ドン、ドンっ。
パタ・バタ…っ。ドンドン、ドン。ガチャ、…バタンっ！
ド・ドドドドド…っ！

…説明しよう。今の音は、
跡部が目覚めて隣に俺が居ない事に気づき、慌ててベッドから飛び起きた。
寝るときにベッド脇に脱ぎ捨てたスリッパを何とか引っ掛けて、大股で寝室のドアまで辿り着く。そしてドアを開き、後手に乱暴に閉めた。
後はダイニングまで一直線…。って音。

「…宍っ」
「おはよう、跡部。コーヒー入ってる」
「…宍戸」
一瞬ホッとしたような顔をしながらも、跡部はすぐに唇を引き締めていつもの椅子に腰掛ける。
バカだな。焦ってないように見せかけようと態々スリッパ履いたのに。それ左右逆だぜ？
ちゃんと閉めたつもりのドアも、あんなに勢いよくしたんじゃ、きっとちゃんと閉まってないよ。
何よりその頭。寝癖でぐちゃぐちゃじゃねーか。いつもは直してから部屋を出るのにな？
澄ました顔でコーヒーを飲む跡部に、俺は気づかれないようにクスッと笑う。

コレが、喧嘩した翌朝の風景。

 

scene  後姿 （鳳＋跡宍）

「そっか、じゃあまたな。長太郎」
お茶の誘いを断ると、宍戸さんは少し残念そうな顔をして、でもすぐにいつもの笑顔に戻って背中を向ける。
跡部さんは、そんな宍戸さんの腰に回した手に力を込めて、少し強引に抱き寄せ歩みを速める。
いつも女性に囲まれている跡部さんを、不安そうに見つめる宍戸さん。バレンタインのプレゼント攻撃に満更でもない顔をしてみせる跡部さんに、こっそり涙ぐむ宍戸さん。
でも、宍戸さんは気づいていない。
跡部さんが必死に隠す、宍戸さんへの執着に。
想い合っているのに、どこかすれ違う二人。
いっそのこと…。
「…別れてしまえばいいのに」
小さく呟いた俺の声が聞こえるはずも無いのに、跡部さんは急に振り返り俺を見据えた。
きっと、強引に口付けているだろう姿が見えないように、俺はゆっくり踵を返す。

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「朝」は社会人シリーズの番外的な感じで書きました。結構気に入っています。
「後姿」はドロドロとした彼らの関係を予想させる短文。続きを書こうかと想像したら、何だかブルーな気分になってしまいあえなく断念。
どうにも私の頭はシリアス向きではないようです。