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R-18です。苦手な方はご注意下さい。

猫とタナボタ (跡×宍)

俺は全身の力で宍戸を押さえつけていた。仰向けの宍戸に、上から両手で全体重をかけて。
軽く開いた両の脚に宍戸の腰を挟みこむ。
いくら同じような体つきといっても、上から押さえ込むのと下からそれに抗うのでは勝負にならない。
「いってーよ!跡部!」
痛さより悔しさを濃く滲ませた表情。
毎度の事なんだから、抵抗なんてしなけりゃいいのに。
けれどもう自分達は、この過程を踏まないとコトに及ぶ切っ掛けを掴めなくなっているのかもしれない。
「うるせーよ。黙っとけ」
人が聞いたらまるで強姦でもしているように思われるだろうか。でもこんな言葉も一つの段取りだ。
実際宍戸は恐怖や軽蔑やそんな類の表情ではなく、これから行われる事への恥じらい、悦びを隠すかのように拗ねた表情をしてみせた。
本当は優しく抱きしめて、キスして、甘い言葉を囁いて…。
そんな心積もりだってしてあるのに、結局顔を合わせればこんなやり取りだ。
通例どおり大人しくなったところで、俺は宍戸の両脚から部屋着のハーフパンツを下着ごとスルリと抜き取る。
この秋の最低気温をたたき出した今日でも、俺の部屋は薄着で過ごせる位の暖かさにしてある。その気になったらすぐにでも宍戸を抱けるように。「寒い」なんて言い訳は言わせねえ。
「少しは俺の言う事も聞けよ!」
頬を染めて文句を言ったって、ただ可愛いだけだ。
手近のオイルを手繰り寄せると、犬歯でキャップをあけ宍戸の下腹にぶちまける。
「っ!冷てっ」
片手だけの作業はどうしても乱暴になる。けれど、両手を離すと時々逃げられてしまうから仕方がない。
それに、こんな抱かれ方が宍戸は嫌いじゃないことを俺は知っている。
何にしても今はすぐにでも繋がりたかった。
独特のとろみをもったオイルを、手のひらでゆっくりと広げていく。
すでに勃ち上がりはじめた先端を親指の腹で捏ねてやれば、すぐに悦びの雫が溢れ出るだろう。
けれど、それよりもっと敏感な箇所へと指をのばす。
「あとべっ!?」
数え切れないくらい拓いたその入り口は、未だに何も知らなかった頃のように慎ましやかに閉じている。
十分に濡らした指先で、俺はその秘所を暴いていく。
「おい!?」
いつもより切羽詰った宍戸の声。
確かに、こんなに性急に求めることは滅多にない。
さすがに焦っているようだが、そんなコトは問題ないと俺は分かっている。
こんな何も知らないような頑なな入り口も、少し俺が入り込めば嘘のように淫らに誘い込む。
慣らさなければ、最初はお互い少し痛いかもしれない。
それでもやっぱり今はすぐにでも繋がりたかった。
「…どうした?跡部」
これから少なからず痛い目に合うのは分ってるだろうに、心配そうに、いつもと違う俺の瞳を覗きこむ宍戸。
こういう所にたまらなく惚れている。
「宍戸…」
むしゃぶりつくようにその紅い唇にキスすると、宍戸は優しく俺の頭を抱きこんだ。
密着した姿勢のまま、俺はおざなりに慣らした指を抜き、熱く脈打つ先端を押し当てる。
「…!」
声を押し殺して受け入れる宍戸。

最近の宍戸はすっかり可愛くなった。
後輩たちにも、丸くなったと言われ慕われはじめている。
キツイ物言いも、今では小悪魔的な魅力となって。
今まで興味なんて無さそうだった奴まで、色目で宍戸を見るようになってきた。
俺がそんな凡人に負けるわけではないけれど。
あの忍足までが、面白そうに宍戸にちょっかいを出す。
忍足だって俺には全く及ばないが。
何だか、むしょうに腹が立って仕方がない。

「あんっ…」
気を使っていつもより緩く揺さぶる俺の腰に、宍戸の両腿が縋るように絡みつく。
「もう平気か?」
痛がったのは最初だけで、もう内は物足りなさそうに俺を締め付ける。
それなら、もちろん遠慮なんかしねえ。
がしりとその腰を掴み直すと、浮いたその下に側の毛布を丸めて宛がう。
より繋がりやすくするため。少しでも宍戸の奥深くへ入るため。
「…いくぞ」
ムードのない言葉にも、宍戸の瞳は悦びにうっとりと伏せられた。
俺は勢いをつけて腰を打ち付ける。
「ああっ!」
迸る甘い声。
背を反って腰だけ叩きつけるように、何度も何度も、奥へ奥へと。
「…宍戸!」
思わず呼んだ声に、宍戸が反応する。
ただでも狭い内壁は、これ以上ないとばかりに締め付けた。
「んっ、あっ!」
抑えきれず零れる声を、俺はずっと聞いていたい。
繋がっていることを実感したい。
宍戸は決して俺を裏切らないと信じていても、やっぱり逃げられないように縛り付けてしまいたい気持ちは拭えない。
「ああっ!あ、とべ」
心地よい宍戸の声。
ああもう、いっそのこと。

―孕ませてしまいたい。

   ***

「…あとべ?」
俺は胸元をくすぐる柔らかな髪に手を伸ばす。
いつもなら、目覚めるとすぐ横で寝息に揺れている長いまつげだとか。目覚める直前の俺の表情を眺めていたらしい意地悪な碧い瞳とか。
とにかく、いつどんな場面でも絵になる跡部だから、こんな風に寝乱れて俺の胸に擦り寄ってくることなんて初めてだった。
「めずらしいな、跡部。どうした?」
昨夜の切羽詰った抱き方を思い起こすと、跡部も人の子だなぁ何て微笑ましく思う。

なんだか俺は最近、理由は分からないんだけどやたら周りの人に構われる。
髪を短くして、長太郎と本格的にダブルスを組み始めた頃から「性格が丸くなった」なんて言われるようになった。
俺自身は変わったのは髪型だけで、他は何も変わったと思ってないけど、ずっと一緒に練習してる長太郎でさえ「よく笑うようになりましたね」なんて言うんだから、やっぱり何か変わったんだろうか?
そんな周りの態度に一番ピリピリしてるのが跡部で、見てるこっちが可哀想になるくらい神経質になってる。
俺はこんな性格だし、いちいち「俺はお前が一番好きだよ」なんて囁いて安心させてやることができないから、せめて二人きりの時、昨夜のように態度に出してくれるとすごくホッとする。
どんなに手荒に抱かれようと、それが愛情故のことだってちゃんと分かってるから。
人の事言えないけど、あんな風にしか甘えられない跡部がすごく可愛い。

俺はまだ眠い目を擦りながら、胸元をくすぐる髪にゆっくりと指を絡める。
…あれ?
「…んん?」
何だか、やたら短くないか?
確かに夏の大会で短くはなったけれど、今ではもう指で梳けるほどの長さなのに。
触れる髪は、坊主頭までは短くないがそれでも絡めるほどの長さはなかった。
「…へ?」
目をしょぼしょぼさせて軽くパニくっていると、今度は俺の背中を柔らかな感触がくすぐる。
どういう事だ?
ようやく視界がはっきりしてきた。
「跡部!?」
隣にはいつもの朝のように、まるで一枚の絵画みたいに美しく朝日を浴びる整った跡部の横顔が。
「じゃあ、これは何だ!?」
俺は慌てて体を覆っていたシーツを剥がす。
俺の胸元に丸まる柔らかな物体は…。
「猫!?」
自分をはさんで両脇に、小さな猫が二匹気持ちよさそうに丸まっている。
「跡部ー!!」

   ***

耳元で響く耳を劈くような宍戸の声。
「うるせー。そんな大きな声出さなくたって聞こえる!」

窓から差し込むやわらかい朝日。
昨夜はつい感情に任せて乱暴に抱いてしまったけれど、それでも宍戸は苛立つ俺の感情を受け止めてくれて。
思う存分鳴かせてしまったけれど、その穏やかに包み込むような微笑みは聖母のようで。
絶対に口にはしないが、俺が総てを投げ打ってでも手放したくない程愛おしい宍戸。
そんな宍戸を心ゆくまで味わい、心身ともに満ち足りた折角のさわやかな朝だってのに。
…台無しだ。

「だって!!」
これ以上無いくらいに見開かれた宍戸の瞳。
酷く気が動転しているようだ。
「ああ?」
「これこれ!」
宍戸がベッドの中を指差す。
「何だ?」
つられて中をのぞきこむ。すると、そこには…。
「猫?」
「そう猫!!」
小さなアメリカンショートヘアーが宍戸の胸元で丸まって寝息を立てている。
「こっちにも」
宍戸が指差す方をのぞくと、やっぱり小さな子猫が。
「お前んちの猫…じゃねーよな」
困ったようにつぶやく宍戸。
我が家では犬は飼っているが、猫はいない。
宍戸は散々家に泊まりにきていて知っているからこそ、声が困ったように途切れた。
「どーゆーこと?」
不思議そうに尋ねる宍戸。
でも、知りたいのは俺の方だ。
にゃー!
胸元で丸まっていた猫が目を覚まして、小さな声で鳴く。
「お、可愛いな~、おい」
宍戸は目を細めて、小さな頭を優しく撫でてやる。
短い前足を宍戸の胸に伸ばして伸びをする猫は、軽く片手に乗ってしまう程の大きさしかない。
「ちっちゃいなーお前」
動物好きの宍戸は、蕩けんばかりに目じりが下がっている。
犬が好きなのは知っていたが、猫にも慣れた手つきで触れている。
「どっから来たんだろーな?」
宍戸が人差し指で喉を撫でてやると、猫は気持ち良さそうに目を閉じる。全く安心しきった表情で。
そして、背中で丸まっていたもう一匹の猫も騒ぎに目をさましたようだ。
ナー!
先に目を覚ました猫よりもさらに小さく高い声で鳴くその子猫は、先の猫より体も少し小さく、独特の縞模様が色濃い感じだ。
宍戸はその子猫を手のひらで掬い上げると、もう一匹の隣におろす。
「顔がよく似てる。こりゃ兄弟だな」
「…猫の顔なんてどれも同じだろ?」
「バカ。同じ訳あるかよ。犬だって違うだろ?」
笑いながら言う宍戸は、人差し指の先で子猫たちの鼻先をつついたり、耳の後ろを撫でてやったりで、俺の方なんてチラリとも振り向かない。
「随分人に慣れてるなー。あ、指吸ってる!俺は母さんじゃないぞー」
指先に吸い付いたチビの頭を撫でながら「お乳は出ないぞ」と苦笑する宍戸。
「…母さん」
その言葉に、ふと昨夜のことを思い出した。

―孕ませてしまいたい。

昨夜確かに、俺はそう思って宍戸を抱いた。
最近、今頃になってやっとその可愛らしさに気づいた同級生やら後輩やらに慕われている宍戸の様子を見て、柄にもなく俺は不安を覚えてしまったから。
宍戸が俺から離れる事はないって分かっていても、やっぱり。
自分の元に縛り付けてしまいたい、一生離れる事が出来ないように…と。
「まさかな…?」
「ん?何が?」
きょとんとした目で俺を見上げる宍戸。
その眦がいつもより優しく見えるのは、気のせいだろうか。
小さな子猫たちを柔らかく抱き寄せる手に、穏やかな表情。
たとえば、愛するわが子を見つめる母はこんな瞳をするのだろうか?
「出来ちまったのか?…俺たちの子供」
…なんてな。
そんな事が起こりえる訳が無い。そもそもここにいるのは人間の赤ん坊じゃなくて猫だ。
それ以前に宍戸は男だ。問題外だ。
「…お前、頭おかしくなったか?」
俺の言葉に宍戸は馬鹿にしたような目を通り越し、最早可哀想な者を見るような目つきになっている。
「冗談だ」
俺だって本気で言ったわけじゃないのに、失礼な奴だ。

けれど、非現実的なマンガみたいな事が有り得る訳がないと思いつつも…。
ほんの少し、本当に少しだけ。
一瞬だけ期待してしまった。
もし俺たちの子だったら、宍戸は一生俺の傍から離れられねーんじゃないか、と。

   ***

「景吾様、景吾様」
慌ただしく部屋のドアがノックされる。
「開いてるぜ」
珍しく焦ったような執事の声に、跡部は何だ?と眉を顰め返事をする。
「えっ、おい」
開いてるぜって、いくら部屋が広いといっても何も遮るものがないんだから、入り口からベッドは丸見えだろ。
全裸の俺は慌ててシーツに包まったのに、跡部は気にする素振りもせずベッドから降りて、軽くバスローブを羽織るとドアへと向かう。
「どうした?」
跡部がドアを開け尋ねると、初老の執事は恐る恐る部屋の中を覗く。
「やはり!ここにいましたか!」
声を上げた執事の視線は、たった今跡部を追ってベッドから転がり落ちた二匹の子猫を捉えていた。

結局この子猫たちは、アホ部が言った「俺たちの子供」ではもちろんなく、先日庭に迷い込んだ捨て猫であることが判明した。
「なー跡部。こいつら飼ってやるんだろ?」
ベッドの上で、俺の足の指にじゃれ付く二匹をあやしながら跡部を見る。
「あー?猫は飼ったことないから勝手がわかんねーな」
渋るような表情。
こんなに可愛くて、こんなに懐いて、しかもこんなに家が広いのだから猫を飼うのに問題はないだろうに、跡部は頷いてくれない。
「家広いんだしいいじゃねーか」
「犬がいるしな」
「犬と猫ってそんな仲悪くないぜ?よく動物番組とかで仲良く寝てる姿とか出るだろ?」
「知らねー」
「そうなんだよ!問題なし」
こんなにふわふわして小さくて。
高い声で鳴いて、トテトテ危なっかしく歩く。
こんなにこんなに可愛い猫、俺が手放したくない!
こうなったら手段は一つ!
「分かった!俺がちゃんと面倒見に通うから!いいだろ?」
手を合わせて頭を下げると、頭の上で跡部がため息を落とす。
これじゃー子供の頃母親に捨て犬を飼いたいと頼んだ時と同じ手段だけど、他に方法が浮かばないんだから仕様が無い。
「ったく、仕方ねーな。ちゃんと世話すんだぞ?」
やっぱりあの時お袋が言ったのと同じ言葉を言って、同じようにため息をつく跡部。
呆れたような口調の跡部だったけど、大きな手のひらで俺の頭をガシガシと撫でてくれた。
「やった!サンキュー跡部!」

   ***

俺が許可すると、宍戸は嬉しそうに笑った。
「お前たちの名前決めなきゃなー」
じゃれ付く二匹を撫で回し、一緒になってベッドに転がる宍戸を見て、俺は笑い出しそうになるのを必死で堪える。
「途中で投げ出すなよ」
念を押すと「まかせとけ!」と自信たっぷりに頷く宍戸。

こいつらは当然俺たちの子供ではなかったけれど、タナボタ的に俺は宍戸を毎日連れ込む理由を手に入れた。
最近やたらと宍戸に群がる奴らの前から、毎日当たり前のように宍戸を攫って帰ったらどんなにスッキリするだろう。
俺と宍戸が付き合ってると知っていてなお、宍戸に付きまとう鳳や忍足の悔しそうな顔を想像しただけで胸がすく思いだ。
本当は猫の世話なんて執事や他の者がやってくれるだろうけれど、あえて俺は宍戸に言い聞かす。
「ちゃんと毎日だぞ」
「分かってるって。餌だってトイレだって俺がちゃーんと世話してやるぞ。散歩もしような」
子猫に話しかけるその横顔は、どれだけ可愛い子猫にだって負けないくらい愛らしい。

きっと後日、自分の浅はかな発言に後悔しつつも、猫可愛さに毎日部屋にやってくる宍戸を想像して、俺は今度こそ笑いを堪えられなかった。
そうして何ヶ月も何年も、俺の元へ通い続けるだろう宍戸。
その間には絶対、一生俺から離れられないよう今以上に惚れさせてしまおう。
他の人間になんて手出しはさせない。
何があっても、宍戸が毎日必ず帰る場所は自分の元だなんて。
なんて愉しい日々だろう。
くつくつと喉の奥で笑う俺を見て宍戸は不思議そうな顔をするけれど、この笑みの意味にコイツが気づくのは、もう少し先になりそうだ。


サイトを開設する前に書いた、懐かしいSSを発掘したので、UPしてみました。
この頃から猫宍やりたかったのかなぁと思わせる1本。

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ようこそお越し下さいました!「ハコニワ‘07」はテニスの王子様、跡宍メインのテキストサイトです。妄想力に任せて好き勝手書き散らしている自己満足サイトですので、下記の点にご注意くださいませ。
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