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R-18です。苦手な方はご注意下さい。
カテゴリー、「監禁シリーズ」の1話から順にお読み下さい。


restrain-束縛- (②リョ海編)
~監禁シリーズ5~


あれから1ヶ月。日常生活に戻った越前と海堂。
越前は煮え切らない関係に苛立ち、そして海堂は戸惑っている。

「越前!何やってる!」
ランニングの最後尾から荒井の怒鳴る声がする。
後輩の指導をしに顔を出してくれた乾と共に先頭を走っていた海堂は、溜息をついて隣の乾を見上げた。
「すんません。このまま先頭お願いしていいっすか?」
事情を察した乾はニヤリと笑って頷く。
「もちろん。頑張ってこい副部長」
「…すんません」
海堂は今来た数十メートルをゆっくりと走って戻る。
「荒井。俺が見とくから」
越前が止まった場所まで戻ってそう言えば、荒井は渋い表情で「分かった」と言ってまた列の最後尾を追いかけた。
3年が引退し、新体制になった青学テニス部。
新部長の桃城は色々な会議に引っ張りだこで「だから、部長は嫌だったんだ」とぼやいている。
そのため、副部長になった海堂は、実質練習中の問題を解決せざるを得ない立場となる。
けれど、往々にして問題を起こすのは越前だ。そして、それは大体海堂絡みの問題なのである。
「…海堂先輩。俺が怒ってる理由分かってるんでしょ?」
「勝手に走るの止めときながら、何だその言い草は」
勝気な瞳で睨み上げる越前の帽子の上から、海堂はゴツンと拳骨を落とした。
コートを挟んで向かい側に見えるランニングの列からは「あ、越前怒られてる」と、堀尾の賑やかな声が聞こえてくる。
「…乾先輩の事か…?」
誰にも聞こえないだろう事を確認して、海堂は小さく聞く。
珍しく一人で練習を覗きに来てくれた乾が、一緒に先頭を走りながら、先ほど軽く自分の頭を小突いた事を思い出す。
なかなか上手く部をまとめてるじゃないか…とか。そんな感じの事を言った後、子供を褒めるようにして頭を乱暴に撫でたのだ。
「嫌だって言ったじゃん。海堂先輩に触っていいのは俺だけだって言ったじゃん」
「…じゃん、とか言うな」
海堂は溜息をつく。
最近の練習は、こんなやり取りで中断される事が多い。
副部長を引き継いでみれば、思った以上に他の部員との接触が多く、その頻度は部長以上だ。外に働きに出る父と、家を守る母。そこまでとは言わないが、今はそれくらいのイメージで海堂が部を引っ張っている。
今までの海堂のスタイルから考えれば全く想像もつきにくい事だが、意外と兄貴肌なことを感じ取った1年は除除に懐きつつある。
越前は、それが腹立たしくて仕方ないのだ。
「…仕方ないだろう?副部長なんだ。乾先輩だって特に深い意味があってあんな事したんじゃねーよ。心配してくれてるだけだ」
「分かってるけど」
そんな事は当然分かっていても、納得いくかと言えばそれは別物で。やっぱり越前はブスっとした表情を崩さない。
こうした時に、海堂は何て言っていいのか困ってしまう。
あの監禁の時、確かに越前は自分を好きだと言った。そして抱いた。
後になってみれば、あんな薬を使ってまで自分を手に入れたかったのか?と思い、やり方は無茶苦茶でも、正直可愛いと海堂は感じてしまったのだ。
けれど、夜が明けてみれば、ただ海堂の身体を労わるように傍に寄り添うだけの越前。
跡部の厚意で、あの後2日間学校をサボって、ゆっくりと身体のショックが癒えるまで共に過ごしたが、越前はとうとう最後まで「付き合おう」とは言わなかった。
そして何より。一度たりともキスをしなかったのだ。
正直、あそこで口説かれていたら、きっと全てを委ねただろうに。
だからこそ海堂は、今日みたいに越前が拗ねるたびに、どうしたものかと困ってしまう。
越前は今、どんな言葉をどんな関係を求めて、こうして拗ねて見せるのかと。
ランニングの列が、コートの外周を回り、もうすぐ戻ってくるのが見える。
…ったく。手の焼けるヤツだ。
海堂はその手を伸ばして、今度は帽子の上から優しくその頭を撫でた。
「越前。今日帰り待ってろ。一緒に俺の家に来い」
「…え?」
困惑の中にも、少し嬉しさを垣間見せるその表情に苦笑しながら、海堂は列の先頭に戻って行った。

部長程ではないにしても、副部長はそれなりに仕事がある。その最たるが鍵閉めだ。
「お先に失礼しまーす」
「…おう。気をつけて帰れよ」
律儀に頭を下げる後輩に声を掛けながら部誌を書き上げた頃には、もう他に誰も居なくなるのが常だ。
「待たせたな、越前」
少し離れたベンチで静かに腰掛けて待っていた越前に声を掛ければ、幼い仕草でこくんと頷く。
海堂が荷物を手に立ち上がれば、越前もそれに従って後を追う。
鍵を閉めている間も越前が変に嬉しそうな顔をしているのは、海堂の部屋に行けるのも勿論だが、先ほど帰り際に言った乾の一言だろう。
「俺、今日海堂先輩の部屋に行くんです」
そう強気な物言いで乾を見上げた越前。
越前にとってはちょっとした宣戦布告のつもりだったのかもしれないが、乾からしてみれば2人は共に可愛い後輩だ。
「そうか、それは良い事だ。楽しみだな」
そう小さく微笑んで、乾は大きな手で何度も何度も越前の頭を撫でた。
乾らが現役の頃には、まだどこか一匹狼だった海堂。そしてその才能と性格故に同学年の輪に好んで入らない越前。
今後間違いなく部活を背負って立つ主要メンバーがずっとその調子では、乾たちも先が不安だったのだ。だからこそ歩み寄りが見られた後輩たちに乾は心から喜んだ。
「…うん。楽しみっス」
全く見当はずれの乾の言葉に、越前はきょとんとしながらも安心した。
自分よりも海堂に近しい者がいるとすれば、それは共にダブルスを組んできた乾だと思っていたから。その乾が海堂のことを恋愛対象として見ていない事が分かったら、俄然上機嫌になったのだ。
「全く、てめえは現金なヤツだな…」
海堂はころころ機嫌が変わる越前の奔放さに溜息を吐く。
そんなマイペースさが越前の特徴だと言えばそうなのだけれど、振り回される方はたまったものじゃない。
…何から何まで手のかかる奴。
海堂は中途半端な事は嫌いだ。そして駆け引きも苦手だ。
「よし」っと小さく気合を入れると、海堂は越前の手を取ってズンズンと歩き出した。

「適当に座っておけ」
「…っす」
海堂は部屋に越前を通し自分の荷物を放ると、さっさと部屋を出て行く。
そして、そのまま暫く帰って来ない。
越前はもの珍しそうに、初めてお邪魔した海堂の部屋を見回す。
自分の部屋とは違って、とても綺麗な部屋。
勿論それは建物自体の綺麗さもあるけれど、何より整理整頓がされている。本棚の本はピッチリと並び、トレーニング機器も埃を被ってなんていない。ちゃんと使われている証拠だ。
脱いだパジャマや、読み終わった雑誌が散乱している自分の部屋とは大違いだ。
「海堂先輩、いいお嫁さんになるな」
思わずそう呟いてしまう。
「待たせたな」
そんな時、ようやく海堂が戻ってくる。
制服は着替えられて、たまにしかお目にかかれない私服姿になっている。髪は少し湿っていて軽くシャワーを浴びたようだ。
そして手にしたお盆にはお菓子とジュース。
それをテーブルに置いた海堂は、「急だったからファンタは用意できなかった」と呟く。
海堂の顔や声や見た目は勿論大好きだが、ぶっきらぼうな中に垣間見せるこんな優しさが越前は大好きだ。
それは自分しか知らない事として大切にしたかったのに、副部長職を継いでからは、結局皆が知ることとなってしまった。
「…やっぱ、そんなの嫌だ」
グラスを両手で包み込むようにしてオレンジジュースを飲む越前。その合間のその呟きがジュースに向けられたもので無いことは海堂も十分分かっていて。
だから、海堂はラブソファの隣に腰掛けて越前の顔を覗き込む。
当然向かい合って座るだろうと思っていた越前は、そんな海堂の行動に珍しく頬を染めた。
「まったくお前は、強引なんだかオクテなんだか分からないな」
「…先輩」
頭の上に置かれた海堂の手に擦り寄るようにして、越前は手にしたグラスを置いた。
「越前。俺は中途半端なのは嫌いなんだ。…思ってること全部言ってみろ」
「…いいの?」
心配そうに見上げる視線に、海堂は苦笑いで頷いた。
「今更だろ?言ってみろ」
あの日を思えば、まるで別人のように戸惑う越前。そんな姿も可愛いが、やはり越前には強引で不敵な笑みの方が似合うと思ってしまう。
(…そんな事を思うようじゃ、俺ももう落ちたも同然か?)
海堂は観念して、越前の肩を抱き寄せた。
「言ってみろ。俺は全てを受け止める」
「ほんと?」
「嘘は言わねえ」
「…先輩っ!」
皆に優しくしないでとか、俺だけを見ててとか。他の人に触らせないでとか、俺以外の人に微笑まないで、とか。越前の頭の中を色々な願望が渦巻く。
それでも、言葉に出来たのは、酷く簡単な一言だった。
「海堂先輩が好きだ!俺のものになって?」
「ああ。分かった」
少しの間もなく返される言葉。
「…本当に?」
「疑り深いやつだな。本当だ。…俺も、越前が好きだ」
「…っ!」
がむしゃらに抱きつく越前を、困った顔をしながらも、海堂は優しく抱きとめる。そして、初めて口にする海堂の願い。
「越前?キス、してくれないか?」
「うん、もちろん」
下から覗き上げた海堂の頬を優しく挟んで、越前はそっと引き寄せる。
そして、ようやく初めての口付けが交された。

襖で仕切られた一角が、まさか寝室とは思ってもみなかった。
静かに締め切られた部屋の中、越前の耳には激しい自分の鼓動しか聞こえてこない。
あの日はただ嬉しいだけで、海堂を鎖で繋いでベッドに寝かせた時も、こんなに緊張する事はなかった。
「越前…?」
不自然に固まったままの越前の手を引き、海堂は整えられた布団の上へそっと横になる。
抱きしめる腕を求めてその両手を差し出しても、越前は強張った頬で、その手を取ろうとしない。
海堂は苦笑して、傍らのテーブルの引き出しから、小さな硝子壜を取り出す。
「…先輩?」
目を見張る越前の前で、海堂はゆっくりと自分の衣服を脱ぎ捨てていく。
「越前」
「先輩…?」
きゅっ、と音をさせて外した小壜の蓋を放り捨てると、海堂はその中身を自分の手のひらに全て出し尽くす。とろみのある液体は越前も見慣れたもので…。
「先輩!?」
海堂は驚きに息を呑む越前の前で、その液体を自分の下半身に、まだ静かな中心に塗り広げる。そして、その滑らかさを使って、ゆっくりとそれを扱いて見せ付ける。
艶然とした笑みを浮かべる海堂に、越前は仰ぐようにして息を吸う。
くちゅっ…と音をさせ、上下する海堂の手。
壮絶な色気に、身体の芯がカッと熱を上げる。
「せ、んぱい…」
浮かされたようにとろりとなる越前の瞳に、海堂は小さく微笑んで、追い討ちを掛けるように今度はその指を自分の後ろへと滑らせる。
身体の向きを変え、うつ伏せてその尻を浮かせて見せる海堂。
一番長い中指は、ぬるりとした液体を纏いながら、躊躇う事もなく自分の秘所へと潜り込んでいく。
「…あっ、」
海堂の唇からこぼれる小さな叫び。
けれど止まることなく、その指は、次第になだらかな丘の間に姿を消した。
「先輩っ!」
越前の目はその媚態しか映していない。
全てが弾け飛んだように急に動き出した越前は、もう海堂の中に入る事しか頭に無かった。
「先輩、先輩!」
自分の前をくつろげた越前は、自分で弄る海堂の指を乱暴に引き抜くと、すでに硬く勃ち上がった先端を、誘うように開いたその口に押し当てる。
そして、侵入する。
「…ああっ!」
当然指とは比べ物にならない太さに海堂は悲鳴をこぼすけれど、越前は何も聞こえなくなった頭で、ただ狂ったように海堂を貫き続ける。
「はっ、ああ!」
苦痛に鳴く声は、たた興奮を煽るだけだ。
「先輩っ!」
激しいピストンに、海堂の身体はずり上がり、糊の利いたシーツが撓んでいく。
ぐちゃ…と、たっぷり塗られたオイルが泡立ち、2人の繋がりから溢れ出る。
「あ、や…。ああっ!すご、」
僅かに含まれた媚薬の力を借りて、ゆっくりとその内部が力を抜けば、越前の動きは益々スピードを増す。
「すげ、イイっ!」
小さく口を開けたまま、腰を振ってその快感を貪る越前。
「は、アア、激し…ああっ」
海堂も、もう痛みだけではなくなった疼きに身を任せて、言葉がこぼれるに任せる。
パンっパンっと肌の鳴る音。
その薄い肉に食い込むほどの力で、海堂の腰を掴み寄せる越前は、さらにその手に力を込める。
「すっげ、イき、そうっ!」
悔しそうに吐き捨てられた言葉に、海堂の奥がきゅっと締め付けを強くする。
「あ、イって!俺も、あ、」
唇から伝う唾液にも気づかず、ただ全集中力を越前を感じることに向ける海堂。
「一緒に、いこ?先輩!」
最後に、持てる力を振り絞って突き上げる越前。
「ああああああ、イ、っく!」
海堂の目の前が真っ白にスパークする。そして、
「…っく、あ!先輩っ」
2人は同時に、熱い迸りを放っていた。

心地よい脱力感の中、海堂の頭に、先日会った跡部との会話がよみがえる。
自分に執着するけれど、何も言ってこない越前に、先に業を煮やして行動を起したのは海堂だった。
中途半端な関係が気持ち悪い。そう思って海堂が訪ねたのはあの屋敷の持主の跡部だった。

「…海堂?」
氷帝学園の校門で待ち受けていた海堂に、跡部は酷く驚いた顔をした。けれどもすぐ、あの人の悪い笑みを浮かべて、海堂を自分の車に乗るように勧める。
「まあ、大体想像はつくけどな」
そう言った跡部に、海堂は複雑な気持ちで口をつぐんだ。
跡部の部屋に通されれば、あの日の館に負けない豪華さで、こんな家を何軒も持つ桁違いの金持ちっぷりに舌を巻くばかりだ。
これで嫌な人間ならこっちも清々するものだが、表向きはどうであれ、これでいて意外と人が良いのだから嫌になる。
「で?越前の奴、手を出せず終いか?」
「…その通りっす。良くわかりますね?」
やはり全てをお見通しの跡部に、海堂は小さく頷いた。
「…多分、俺は越前の事が好きっす。まだ、良く分からないけど」
「ふん。そうだろうな?じゃなきゃ、あんな事された後、一緒に仲良く過ごせないだろう」
それもそうだな、と思う。
あの館で、薬を使って無理やり抱かれた後の2日間、越前とはとても穏やかな時間を過ごしたのだ。常識的に考えて、普通ならそんな場所は飛び出すだろう。
「で?どうする。お前は越前の全てを受け入れられるか?」
「多分。ってか分からないっす。あいつ何も言ってこないし。でも嫌ではないっス」
「…なるほどな」
跡部は納得したように小さく頷くと、立ち上がり、壁に据えられたキャビネットまで歩み寄る。そしてその引き出しを開けると、何かを掴んで海堂の元まで戻ってきた。
「これを使ってみろ」
「…何スか?これ」
「以前お前に使ったような薬ではないけどな。潤滑剤に少量の媚薬が混ざっている」
「…え?」
海堂が驚いて取り落とした小壜を、跡部は慌てずキャッチする。
「まあ、あんな事されたお前に渡すのは酷だけどな。多分このままじゃ越前は何も仕掛けてこないぜ?」
はっきりと言い切る跡部。
「何でですか?」
海堂がそう尋ねれば、跡部はまるで自分の事のように、小さく長い溜息を吐いた。
「プライドの問題だ。きっとあいつ、テニスにしたって日々の生活にしたって、挫折ってモノを知らなかったんだろうよ」
「…はあ」
いまいち意味が掴めなくて、海堂はただ相槌を打つ。
「バカな遊びは散々したけどな。あいつの事をあそこまで拒んだのはお前が始めてだったよ」
「…そうっスか」
あの夜を思い出す。確かに、身代わりの跡部が現れるまで、海堂は頑として越前を拒んだ。可愛く思っていた後輩だったからこそ、あんな手を使うのが許せなかった。
「その後いくら受け入れてもらえたからって、それは俺に抱かれるくらいなら…って気持ちが働いた所為とも言え無くは無いだろ?」
そう言ってニヤリと笑う跡部。
「はあ、まあ…」
確かに。あの時、「俺に抱かれろ」と言って身に付けていた上着を脱ぎ捨てた跡部に、嫌悪感を覚えた事は否めない。
「ま、一度覚えた挫折感はそうそう消えないだろ?ああいうタイプは特にな。所謂軽い『トラウマ』ってやつか?」
「…はあ」
今まで挫折ばっかりの人生だった海堂には、「天才」と呼ばれる人間の考える事は良く分からない。
「意外と打たれ弱いンすかね?」
「ははっ、耳の痛いお言葉だな」
跡部は身につまされたように苦笑いをする。
「まあ、二進も三進も行かなくなったら、お前がリードしてやってくれよ」
そう言って握らされた小壜の冷たさを感じながら、海堂はさっき車に乗り込む時に感じた不可思議な感情に思い当たる。
嫉妬だ。
跡部に対する嫉妬だ。
何も言わないでも状況を理解した跡部に、自分よりも越前の事は分かっていると言われたような気がして、嫉妬したのだ。

「先輩…?」
ほんの数十分眠りに落ちていた越前は、海堂の上に倒れ込んだままの上半身を起こして立ち上がろうとする。
「いいから、越前。少し寝てろ」
そう言って海堂は、自分の枕を宛がってやり、越前を仰向けに寝かせる。
上着は脱いでおいたからいいが、ズボンは後でアイロンを掛けてやらないと…。そんな事を考えて、自分と、並んで寝転んだ越前との上に掛け布団を掛ける。
「先輩、嬉しい?」
すっかり目覚めてしまった大きな瞳で見上げる越前。
「…あ?」
海堂は、突然の質問に聞き返す。
「だって、先輩笑ってる」
ほっとしたような表情で、そう呟く越前。
我侭は我侭なりに、色々思い悩んでいたのだろう。
「そうだな。幸せだ」
海堂がそう言って微笑めば、「そっか」と言って越前は背中を向ける。
小さく震えるその肩を、海堂はゆっくりと、何度も擦ってやった。
誰も知らないであろう越前の涙に、愛しさと優越感とを感じながら。

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ようこそお越し下さいました!「ハコニワ‘07」はテニスの王子様、跡宍メインのテキストサイトです。妄想力に任せて好き勝手書き散らしている自己満足サイトですので、下記の点にご注意くださいませ。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
これらに関する苦情の拍手コメントはスルーさせて頂きますのでご了承ください。
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