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バカップル、ベカミ。

鬼ごっこ(ベカミ)

跡部が睨んでる。校門の前にドーンと仁王立ちで。
「…神尾、頑張ってね」
隣を歩いていた深司はすっ…と歩を速めて俺を置き去りにした。
うーん、こう来たか。
確かに、ここ1週間跡部からの誘いを断り続けてたからな。
別に俺だって好きでそんなことした訳じゃないぜ?
たださ、冬休み前のこの期末試験では赤点とるわけにはいかなかったんだよ。
中間テストは夏の興奮が冷め遣らないまま散々な結果だったし、しかも今回赤点取ったら、冬休みの前半が補習で潰れちゃうんだ。
そんな事になったら部活に出られないし、何より跡部と会えないじゃん?
まあ、俺も素直にそう話せばよかったんだけどさぁ。家柄と容姿だけでなく、頭も良いときた跡部坊ちゃまには話が通じなさそうなんだよな。まず絶対バカにされる。
それに一緒にお勉強ってことになったって、どうせ勉強なんかしやしないで二人でいつもみたいにダラダラ、いちゃいちゃ…みたいな?そうなるって分かってたしさ。
だからこそ心を鬼にして誘いを断ったってのに、跡部は俺の気持ちなんて絶対分かってない。
言い訳するのは嫌だ。
だって別に悪い事してないよ、俺?
かといって、しらじらしく「久しぶりだな!」ニコっ!ってのもオカシイよな。あいつあんなに怒ってるのに。そこまで空気読めなくはないぞ。
どうしようかな…って悩みながらのろのろと歩くウチに、痺れを切らした跡部がいよいよこちらに向かって歩きだした。
一歩一歩、最初はゆっくりと。
その内少し早足に。
そして。
「てめぇ、神尾。事の次第によっては、ただじゃ済まさねぇからな!」
ぎゃーっ!
とうとう全力疾走!!
「っ!」
俺も走り出す。
「てめえ!何逃げてやがる!」
「だって、追っかけるからっ…!」
こっちに向かってくる跡部を、一度引き寄せてからすっと横へ逃れる。
そして、隙を突いてダッシュで校門を駆け抜けた。
「待てっ!」
跡部もすぐに踵を返して追ってくる。
まるでバスケットでもしてるみたいに、低姿勢でフェイントをかけて逃げ出した俺とすぐに追いかける跡部とを、下校中の生徒たちは驚いたように見送る。
途中で深司を追い抜いて、呆れたように大きく溜息をつくのが見えたけど、今は文句を言っている場合じゃない。
足音が迫ってくる…!!
跡部家の黒塗りのベンツも置き去りに、いつも通る住宅街をジグザグと。
この辺はすごく入り組んでて、バカでっかい跡部の車では通り抜けられない裏道だから、上手く巻けたら逃げられるはず…!って、何で距離が縮まってるの!?
ちらりと振り向いたら、さっきより確実に距離が迫ってる。
「神尾!観念しろ!」
「何なんだよ!」
別に悪い事してないし!凄い形相で追っかけるから逃げるんじゃん!
しかも、何で革靴でそんなに速いんだよ!
足の速さくらいしか跡部に勝てることってないのに~!
角のミラーで車が来ないのを確認して、もう一度左に曲がる。
次の三叉路で逃げ切れたら…!
「甘いんだよ」
「わっ!」
後ろから左腕を強く掴まれた。
「鬼ごっこは終わりだ」
「!?」
そのまま強く引っ張られ、仰け反るようにバランスを崩したら跡部にがっしりと受け止められる。
「俺様を走らせるなんて、高くつくぜ?」
そして、後ろから覆いかぶさるように口付けられた。
「んっ…!」
俺は半分しゃがみ込みそうな姿勢で跡部に背中を預けながら、仰向いて息も荒いまんま、
何度も何度もキスされる。
「…ァ、」
ここって住宅街のど真ん中なんですけど…って。言い訳みたいに思ってみても、もう俺の方がポーっとしちゃって。
「ン、ぁん」
跡部の舌が勿体つけるみたいに逃げるから、ついつい追いかけちゃう。
跡部はクク…って愉しそうに笑って俺を引き起こした。
今度は向き合ってちゃんとギュって抱きしめる。
テニスバックも放り投げたまま、見上げた丸いミラーに自分たちの抱き合う姿が見えて、何だかドラマみたい。
その視界を遮って、もう一度キス。
濡れた音がクチュッて漏れた。
あれ…?俺、何で逃げてたんだっけ?
ま、いいか。
1週間ぶりの温かい胸に擦り寄って、広い背中にギュって抱きついた。

しばらくして顔を上げたら跡部はもう全然怒ってなくって、道路に転がっていたバッグを掴むと俺たちはバカみたいに来た道を戻り始めた。
もう俺の家に近いくらいなんだけど、跡部は俺を家に帰す気はないみたいで、当然のように置き去りにしたベンツへと向かう。
途中の角をいくつか曲がったら帰宅する制服姿とすれ違って、今更ながらに公道のど真ん中で何やってたんだかって照れくさくなる。
「セーフだったね?」
照れ隠しにそう言って跡部の横っ腹を拳で小突いたら、跡部のバカ平然と言いやがった。
「フン。もう少し引っ張って見せ付けてやりゃあ良かったな」
「バカじゃねーの?」
ホント、跡部坊っさまにはまいっちゃうよ。
それにしても俺珍しく勉強なんかしてたから、足鈍っちゃったのかな?まさか跡部に追いつかれるとは思わなかったよ。
それとも跡部が速くなった?これ以上パワーアップすんなよな。
じーっと跡部の足元を見てたら、跡部は呆れたように笑う。
「俺が速くなったんでも、てめえが遅くなったんでもねえよ」
「…え?じゃあ何で追いついたの?」
「愛の力だ」
「…うわぁ、何か嫌。」
「嘘だ」
「嘘かよ!」
「お前、直線しか速く走れないのな。リレーのコーナー走行とか最悪だろ?」
「う…」
鋭いご指摘。
それは、去年の運動会でもみんなにボロクソに言われた事なんだよね。真っ直ぐ走るしか脳が無いのか…!って。
「猪突猛進って感じだな。お前らしくてイイんじゃねーの?」
「…それって褒めてないよな」
拗ねてそう言ったら、跡部のヤツ無言で眉だけ上げてニヤって嗤いやがった。
「フン、だ。いーもんね」
だって、あそこで俺が逃げ切っちゃったら、きっと喧嘩になっただろうし?
俺は跡部のズボンのポケットに手を入れて、その手をギュって握る。
こうやって久しぶりに手を繋ぐことも出来なかっただろうし?
「…感謝しろよな!」
小さく言ったら、やっぱり跡部はニヤって笑ってた。

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