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狂った太陽(跡×宍)
世界が終わる時ってこんな色するのかなって。
その位見たことも無い不思議な空の色だった。紫みたいなピンクみたいな。俺の知ってる夕焼けよりひどく神秘的に感じた空は、あの時の状況のせいだったのかな。
輝く太陽が俺の元まで堕ちてきた、あの日。…なんてね。
「あれ?跡部どうした?」
センセイの呼び出しくらって、英語の成績の有り得なさをこっ酷く叱られて…ってか心配されて戻ってみれば、俺の席で隣のクラスの跡部が書き物をしてる。
「…あれ?じゃねーよ。俺の辞書返せ」
どうやら書いていたのは、日直の日誌らしい。その手を止めて、跡部は呆れたような顔をして俺を見る。
「…あ。悪ぃ!」
そうそう。和英辞書借りたままだったんだ。
返したいのは山々だけど、実はその辞書は今跡部が座ってる机の中に入っていて。どいてもらわないと取れないなァ…なんて少し悩んだ末に、俺は無言で手を伸ばした。
座ったままの跡部の懐あたりから手を突っ込んで、机の中に仕舞ってあった辞書を取り出す。
「助かったよ、サンキューな」
そして何もなかったように手渡した。
跡部はかなり驚いたような顔をして辞書を受け取る。
「…お前は、何つーか。そういうの止めとけ」
「はあ?」
跡部の言葉に俺は首を傾げてみせる。
「…だから。急に近づいて、今みたいに辞書取ったり…」
跡部は怒ったような声で、何やらブツブツと文句を言う。
「何だよ。女みたいな事言うなって」
別に男相手に近づいて少し触れてしまったって、きゃーきゃー騒ぐほどのことでもないだろう?…なんちゃって。
実は下心見え見えの接近に気づかれちゃったかな?なんてヒヤッとしたのを隠して、俺は笑い飛ばした。
「…まあ、いい」
跡部は少し咳払いをして、机の上に開いていた日誌を閉じる。
「もう終わりか?」
「ああ。職員室に届けたら帰る」
俺の質問に、跡部は小さく頷いてそう言った。
「…ふーん」
そして俺が気のない声を漏らせば、跡部は不思議そうな顔をする。
「俺に用事でもあるのか?」
俺が引き止めてるみたいに聞こえたんだろうか?まあ、実際残念に思ったからつまらなそうな返事になっちまったんだけどな。
「…別に」
本当は引き止めたかったけど、咄嗟に良い理由が浮かばなくて俺は呟いた。
そうしたら、跡部は立ったままの俺の手を引き、目の前の席に座らせる。椅子を後ろに向けて跡部と向かい合うように座ったら、跡部は俺の髪に手を伸ばす。
後ろで括った髪を弄ぶヤツは沢山いるけれど、問答無用にゴムひもを解いて髪をおろすツワモノは跡部くらいだ。
「…お前ね。いつも勝手に解くなって言ってるだろ?」
岳人のようにマメに櫛を持って歩いたりしないから、解いてしまったら最後、帰宅までこのままだ。
「…いいじゃねーか。もう帰るだけだ」
「そうだけどよ…」
部活は休みだから確かに帰るだけだよ。でもよぉ…と俺は口を尖らせてみる。
…本当は嬉しいんだけどな。
跡部は、2人きりになると急にこうやって接触してくる。俺だって跡部と2人きりになったら嬉しくて、かなりドキドキして。わざと拗ねてみたり、甘えたような事を言ってみる。
俺は跡部が好きだ。
そしてきっと、跡部も満更でもなく想ってくれてると思うんだ。だってそうでも無きゃ、俺の髪に触れたりしないだろ?嫌がってる素振りをして見せたって、止めないんだから。
でも、何も言ってくれない。俺も言い出せないでいるんだからお互い様なんだけど。
髪を梳く跡部の手が気持ちよくて、俺はゆっくりと瞳を閉じる。
一つの机に二人で肘付いて顔突き合わせて。もう10センチもしたら額と額がぶつかってしまいそうなそんな距離。少し駆け引きめいた、甘い雰囲気に存分に浸る。
…でも、そろそろ核心を突いて欲しいんだよ。
そんな事を思ってたら、窓の外はすっかり夕方で、教室の端からだんだん茜色が差し込んでくる。
他に誰もいなくて。
茜色が見た事もないようなパープルがかった色に変わったら、何だか俺の中に、今まで縁の無かった恋愛のカミサマみたいのが降りてきた気分になる。
今までなら絶対に有り得なかったけど、なんだか神秘的な雰囲気に後押しされるみたいに、俺は仕掛けてた。
「…あとべ?」
甘えた声でその名を呼んでみる。そして、俺の髪に触れる指先をそっと握った。
「みんなには内緒なんだけどな。跡部に髪触られるのが一番気持ちいい…」
「…宍戸?」
一瞬戸惑う跡部。
「だから、」
俺は言葉を止め、じっ…と。跡部の瞳を見つめる。
いつもは涼しげな蒼が、今は何だか熱く燃える炎のようだ。静かな振りをして、その実、全てを焼き尽くす力強さを秘めた炎。
「…だから?」
気の短さだったら良い勝負だ。跡部は少し苛立ちを含んで聞き返す。
「…だから」
わざと、もう一度言葉を切る。
「おいっ?」
とうとう待ちきれずに、机に着いた俺の肘を跡部は乱暴に小突く。
焦らせば焦らすほど。溜めれば溜めるほど。
その爆発は大きくなる。
跡部、吐き出して見せろよ。俺への想いを。
「…だから、もっと。色んな所触って欲しい」
俺の言葉に驚き、見開かれる瞳。
息を呑んだ拍子に、跡部の喉がヒュっと鳴る。
もう一押し。
「俺の全てに、触れて?」
「宍戸っ」
ガタッと椅子が倒れるのも無視して、跡部は立ち上がる。
そして、俺たちを隔てる机をなぎ倒す様に掃ったら、あっという間に目の前に立ちはだかる。
だって、俺から仕掛けたんだぜ?逃げる訳ねーっての。
なのに全ての途を塞ぐようにして、跡部は強く俺を抱きしめる。
椅子に腰掛けたままの俺は、覆いかぶさってくる跡部をその紫をバックにして、これ以上なく美しい絵画のように瞼に焼き付けた。
あの時から、俺の好きな色は紫。
そして、赤。
狂気を滲ませて舌なめずりした、跡部の舌のエロティックな赤。
「嫌だって言ったって逃がさねーぞ?テメエから堕ちてきたんだ」
跡部はそう言って、俺の首に吸い付いてきた。
「ああっ…」
狂おしい快感。
眩いばかりに輝く太陽が、俺の元まで堕ちてきたあの日。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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