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好きの証明(跡×宍)
「跡部ー。それ取ってー」
「ああ?俺様を使うだなんて手前も随分偉くなったもんだなぁ?」
宍戸の言葉に嫌味を飛ばしつつ、それでも跡部は自分のノートの横に転がる修正液を投げてやる。
「さーんきゅー」
宍戸は受け取ったペンを何度か振ると、ノートの書き損じを手荒に消していく。
テスト前の部活が出来ない1週間に、こうしてレギュラー陣が部室に集まって勉強会を開くのは、いつからか恒例になっていた。始まりは宍戸、岳人、ジローの赤点3人組を何とかしろと榊から言われたことが切っ掛けだったのだが、放っておけばすぐにサボるメンバーの所為で、1回限りの勉強会では済まずにこうして毎回開かれている。
そしてその度に、宍戸と跡部のこんなやり取りが増えてきていることに、忍足と鳳は気づいていた。
「なあ、跡部?お前何で宍戸が欲しいもんが分かる?」
忍足は問題集を解く手を止めて聞く。
すると、便乗するように鳳も声を上げる。
「そうですよ。俺も何回か参加させてもらってますけど、その度にそんな会話増えてますよ?ダブルス組んでる俺だって、そこまでは分からないのに…」
鳳の言いたいことが最後の部分だと言う事は明らかだが、その辺は今更なので誰も突っ込まない。
「あーん?宍戸の頭ん中なんて単純なもんだからな」
何てことないように答える跡部に、今度は宍戸と並んで英語の問題に苦しんでいた岳人も不思議がる。
「でもさ、跡部の周りって修正ペンだけじゃなくて、カラーペンやシャーペンや定規だってあるだろ?」
「だよね?跡部って超能力者!?」
ジローまで眠そうだった瞳を輝かせて、跡部を見つめる。
みんなに寄ってたかって質問攻めされる跡部は、次第に険しい表情になっていく。
「…何だっていいだろうが」
話を終わらせようと跡部は置いたシャーペンを取り直すが、こと宍戸ネタとなるとやたらにしつこい鳳がそれを許さない。
「よくないですよ!どんな秘密があるのかちゃんと教えてもらわないと。今後のダブルスにも影響しますから!」
「…鳳言ってることが滅茶苦茶」
鳳の発言に皆が呆れたような顔をする中、宍戸だけは可笑しそうにクスクスと笑いをもらす。
「どうした?宍戸」
隣で肩を震わせる宍戸に岳人が声を掛けると、宍戸は我慢できなくなったのか、俯いていた顔を上げて今度はゲラゲラと笑い出す。涙まで溜めて本当に楽しそうに。
「な、何や?宍戸」
向かいに座った忍足も不気味そうに宍戸を見やるが、今度は自分の隣でだんだん俯いていく跡部に気づく。
「どうしたん?跡部?」
笑い続ける宍戸に、ぶすくれて俯く跡部。
「何、何?二人だけで分かり合ってないで教えろよ!」
興味津々で岳人が宍戸の腕を揺すれば、宍戸はようやく涙を拭いて呼吸を落ち着かせる。
その表情は楽しそうなのもあるが、何だかとても嬉しそうにも見えた。
宍戸は、手が届かない斜め向かいの席に座る跡部に、自分の消しゴムを投げて頭に当てると、跡部は渋々といった感じで顔を上げる。
「ほーら。みんなだって気づいてるんだよ!」
宍戸がそう言えば、跡部は面白くなさそうな顔をしてチッと舌をならす。そして、宍戸の真っ直ぐ見つめる視線に照れくさそうに横を向いた。
そんな初々しい仕草を見せる跡部に、周りの人間は思わず動きを止める。
恐ろしくて誰も口には出さないが、跡部がそんな子供っぽい態度をとった事に驚いたのだ。
そんな中やはり宍戸だけは楽しそうだ。
「跡部のやつ、俺が好きだって認めないんだよ」
にこやかな表情から発せられるには、あまりに刺激的な言葉。
一瞬、場がしーんとなる。
「…え?えーと。跡部が宍戸の事を恋愛対象として好きってこと?」
場の雰囲気に耐えられず岳人がそう尋ねれば「そうさ」と明るく返す宍戸。
そんな無邪気な笑顔に「あ、そーですか」と全員頷くしかできない。「男同士なのに何言ってるんだ?」などとはとても言い出せない幸せそうな笑顔だった。
「俺が何度も好きだって言ってるのに、こいつ『俺は好きじゃない』って言い張るんだよ。だから『跡部は自分がどれだけ俺のこと意識してるのか気づいてないのか?』って聞いたら『そんなの宍戸の自意識過剰だ』って言うからさ」
そこまで聞くと、事の次第を大体把握した忍足がその続きを継ぐ。
「まあ、他の人間から見ても分かるくらい跡部が宍戸に特別な行動を取れば、それは『好き』と認めるほか無いかもなぁ?跡部」
そう溜息ながらに言えば、宍戸は「ほーらな!」と笑ってガッツポーズをした。
「…こんなヤツ」
まだしぶとく言い募る跡部に、ジローはからかうように追い討ちをかける。
「確かに、宍戸が何を欲しいか分かっちゃうくらい自然に宍戸の行動を見てるなら、やっぱりそれは『好き』なんだろうね?」
「だろー!?」
ジローを指差し宍戸は瞳を輝かせる。
跡部に自分を「好き」だと認めさせたい宍戸と、それを認めたくない跡部。
どうしたら今後の展開が面白くなるかなんて、分かりきった話で…。
「跡部!認めちゃえ。お前は宍戸に惚れてるよ!」
示し合わせたかのようにそう言うメンバー。鳳だけは「宍戸さーん」と情けない声をあげていたが。
「そーゆーこった。な、跡部。俺と付き合おう?」
テーブルに乗り出して宍戸が尋ねれば、跡部はもう諦めるしかなかった。
「…不本意だが認めてやるよ。俺様はどうやらお前が好きなようだ」
悔しそうに、でもどこか照れくさそうに。
ここに、注目のカップルが誕生した。
「よかったなー、宍戸。でかしたぞ!」
面白いことなら何でも来いの岳人は、今後の遊びネタ誕生を喜んで宍戸に賛辞の言葉を贈る。
「ありがとう!」
頬を染めてそっぽを向く跡部を気にもせずに宍戸が礼を言えば、今まで一言も発していなかった日吉がボソッと呟く。
「『あれ』『それ』で会話を済ませてしまう夫婦って早くボケるって聞いたことあります。お二人とも気をつけてくださいね」
テンションの低い日吉の言葉に、宍戸は頬を引き攣らせながら答えた。
「…祝いの言葉として受け取っておくぜ」
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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