恋人未満（跡×宍） 2007/08/16 (Thu)

恋愛って付き合う直前が最高に楽しいよね！みたいな跡宍。

恋人未満（跡×宍）

「なあ、跡部。空きれい」
「…ああ、そうだな」
「見てないじゃん」
「…ああ、そうだな」
「何だそれ」

俺は跡部の部屋のソファに寝転がって、外を眺める。
空が真っ青できれい。
少しだけ刷いたように浮かぶ雲がきれい。

跡部はデスクで、何やらパソコンに打ち込み中。
学校でやらないんだから、少しずつ教わってるっていう仕事関係かな。

急な用事でストテニ出来なくなったって跡部から連絡もらって、俺はそれを岳人に伝言するついでに「俺も行けなくなった」って言った。
だから、俺が今こうして跡部の部屋でごろごろしてるのを、アイツ等は知らない。

跡部は急にやってきた俺に驚きながらも、追い返しはしなかった。
きっとコレが他のヤツ等なら追い返すんだ。

「宍戸、何か食うか？」
気づけば、もう昼を回ってる。
跡部は立ち上がって、寝転ぶ俺を上から覗き込む。
「ほら」
そう言って伸ばされる手。
「さんきゅ」
俺はそれを握って、身体を起こす。
反動付けすぎて、跡部の方がふらついた。
「おい、危ねーな」
跡部は文句を言って、俺の頭を小突く。
「ははっ、悪ぃーな」
実は、わざとだ。
でも、そんな事跡部は知ってる。

「たまには外に食いに行くか？」
跡部はそう言って、意味も無く俺の髪を触る。
「いいぜ、外行くか。あ、そーいえば俺トリートメント変えたんだ。気づいた？」
「ああ。お前が来た時すぐにな」
「お、すげー」
揃って靴を履いたら、扉を開ける。
「ほら。空がきれいだ」
一歩踏み出せばそそぐ、眩しいくらいの日差し。
「お前の髪も、陽を浴びて綺麗だ」
「跡部ってば気障！」
からかうように言ったら、跡部は鼻で笑って俺の結んだ髪を引っ張る。
「わっ！解けるってば！」
「ああ？後で結び直してやるよ」
「ホントか？約束だぜ？」
「ああ、約束だ」と、跡部は穏やかに微笑んだ。

ああ、どうしよう。
こんなに甘ったるい俺たち。
仲間に内緒で交わされる、こんな会話。

くすぐったくて止められない。
恋人未満。