誕生日オメデトウ9/12 （忍×岳） 2007/09/12 (Wed)

がっくんのお誕生日を祝して。

忍岳と言うよりは、忍→岳なバカ話です。

誕生日オメデトウ9/12（忍岳）

「がっくん！」
引退後もしぶとく居座っているテニス部の部室。制服姿のままテーブルに肘を付きマンガを読み続ける岳人は、忍足の言葉に視線すら上げない。
「がっくん、お誕生日おめでとう！」
岳人の傍らにしゃがみ込み見上げる忍足は、感謝に涙さえ浮かべ、喜び抱きつく岳人を腕を広げて待っているが…。
「…がっくん？」
「ああ？ああ、サンキューな」
「…」
返ってきたのは何ともテンションの低い感謝の言葉だった。
明らかにがっかりしたような忍足の姿に、向かいに腰掛けやっぱりマンガを読んでいた宍戸は苦笑いを浮かべる。
「こいつ可愛気ないだろ？俺もさっき『おめでとう』って言ったんだけどさ」
「…んだよ、だから『アリガトウ』って言っただろ？」
不満たらたらの二人に、岳人はうざったそうに顔を上げる。
「いい年した男が、いちいち誕生日くらいで騒ぐかよ」
「ええ～俺はむっちゃ嬉しいけどな？」
「俺も」
岳人の言葉に忍足と宍戸は即答する。
「お前がテンション低いから出し損ねたけど、一応プレゼントも用意したんだ。いらねえ？」
宍戸は、自分の鞄を漁ると小さな紙袋を取り出し岳人の目の前でひらひらと振って見せる。
「それはいる！」
きらりと瞳を輝かせた岳人は、素早くその紙袋を奪うと「サンキュー」と一言。そして早速く中身を確認する。
「おっ！カッケーじゃん！」
それはお気に入りブランドの、新色のリストバンドだった。
「だろ？感謝しろ？」
「おうおう感謝するぜ！」
先程とは打って変わって嬉しそうに笑ってみせる岳人に、忍足はホッとしたように微笑むと、身につけたリストバンドを嬉しそうに翳して眺める岳人の頬に手を伸ばした。
「何や、がっくんテンション低いから迷惑かと思うたけど、ゲンキンなもんやな。じゃあ、俺からもプレゼント…」
「マジ！？」
今度は何を貰えるのかと、勢いよく振り向いた岳人の頬に…。
「！？」
「…げ」
「お前ら…」
驚きに声も出ない岳人と、心の底から嫌そうな顔をした宍戸。そして、丁度部室に入ってきた跡部もいきなり目の前に飛び込んできた風景に息を呑む。
「ん～」
忍足は、名残惜しそうに岳人の頬に頬ずりしてから、もう一度口付けるとようやく離れる。
忍足からのプレゼントは、何とも熱烈なキッス。
何が何だか。急に頬にキスされた岳人は、ぱっかりと口を開けて呆けるだけだ。
「改めて、がっくん誕生日おめでとう」
部室の何ともいえない空気も物ともせず、忍足は照れくさそうに小首を傾げた。
「…最悪だ」
宍戸は呟く。
「胸糞悪ィ」
跡部の肩から、鞄がずり落ちる。
「…ってめえ！」
そして岳人は。
「わー！？何で？そないに怒る！？」
ショックから覚醒した岳人は勢い良く椅子から立ち上がると、忍足に殴り掛かる。
大振りのパンチを避けた忍足は、次の素早いジョブにつかまる。
よろけたところを膝蹴りが襲い、退いて逃れたところを回し蹴りがクリーンヒット。
「ぐあっ」
哀れな呻き声を残し、忍足は床に長々と伸びた。
ぜえぜえと、肩で息する岳人。
「ちょっとした冗談やった、のに…」
誕生日には不向きだった冗談に、宍戸と跡部は哀れみつつも「自業自得」だろうと溜息を落とした。

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がっくんお誕生日おめでとう！あまりお祝いっぽくないお話だけど（笑）