独占欲（跡×宍） 2007/07/21 (Sat)

気持ち跡宍跡を意識して。
男らしい宍戸が書きたかったのですが、どうだろう…。

独占欲（跡×宍）

いいよねー。
うん、いい！
前は王子様っぽかったけどー。
ね。アイドルっぽい感じで好きだったけどー。
何かねー。
ねー。
「男性」としてカッコイイよね！
やーん。超男らしい！
本気で惚れちゃいそう！
どーしよー…。

「なーにが『どうしよう』だ…」
俺の呟きに「何？」とジローが振り向くけど、首を振って「なんでもない」と言った。

跡部が坊主（ソフトモヒカン？）になってから、学校中の女の目つきが変わった。
今まで自分らで勝手に跡部を「王子様」に仕立ててたくせに、髪が短くなったくらいで勝手な言い草だ。

「跡部は昔から男らしいんだよ…」
本質なんて見ようともしない、見る目もない女たちがピーチクパーチクと。

「珍しいね。宍戸がそんなにイライラするなんて」
ジローは銜えたストローを噛みながら楽しそうに笑う。
「どうしたの？」なんて聞くなよ。全部分かってるくせに。

「跡部君。カップケーキ作ったの。部活の後にでも食べて？」
甘ったるい声が、甘ったるいケーキを手渡す。
残念だな。跡部は甘いものが苦手なんだよ。それを受け取るのはジローや岳人のおやつにくれてやるためだぜ。
「ああ、悪いな」
跡部もさ、断るの面倒だからって素直に受け取ってんなよ。迷惑そうな顔でもしてみろってんだ。ムカツクなぁ。

ねえ、跡部君。
駅前にお洒落なカフェができたの。
たまにはどう？
紅茶がおいしいの…！

跡部君、跡部君、跡部くん、あとべ…

「あーうるせー」
苛立ちに任せて立ち上がったら、椅子が斜めって後ろの席にガツンと当たる。昼休み中でその席のやつはいないから、俺は無視して廊下へ向かう。
「宍戸ー。がんばってねー」
「…ムカツク」
笑顔で見送るジローも。女に囲まれてる跡部も。

「よお。跡部」
「あーん？宍戸か」
何が「あーん？」だよ。今気づいたような顔しやがって。全部見てたくせに。
「悪ぃ。ちょっと跡部に用事あるんだけどいい？」
廊下いっぱいの追っかけに向かって言えば「えー？宍戸また喧嘩？」なんて。何、知ったかぶって言ってるんだか。お前誰だよ。
「ふん。仕方ねーな」
跡部は周りの女に手を上げて、話を打ち切る。
なーに珍しく愛想振りまいてんだか。
ほら見ろ。女たちが変な期待して帰らないじゃねーか。
「で、何の用だ？宍戸」
「…手前はいちいち回りくどいんだよ！」
俺は大股で跡部に歩み寄る。
そして、その首に腕をまわしてグイッと引き寄せる。

くだらないおしゃべりに付き合っていつまでも。
女たちに囲まれて満更でもない顔して見せて。

「妬かせてーなら、もっとデカイ事しろよな」
「あーん？こんなチンケな罠に掛かってるのは、どこのどいつだよ？」

あー。マジむかつく。
そうだろーよ。
俺がこんなチンケな罠に掛かったバカですよ？
いーよ、いーよ。いいですよ。何だって。
認めるからさ。

「キスさせろ」
「してみろよ？」

挑発しやがって。

俺は跡部の唇に喰らいついた。
周りで口々に悲鳴を上げる女たち。

特別サービスで見せてやるよ。
跡部の最高の表情を。

離して、もう一度。
唾液に光る唇を吸い上げる。
何度も、何度も。
何度だって。

「…上出来だ」
そう言って、跡部は愉しそうに微笑む。
「…バーカ」

見てみろよ、外野のこの顔。最高だな。
王子様な跡部も、アイドルな跡部も、男前な跡部も。
全部俺のモノなんだよ。
オトトイきやがれ。

「なあ、跡部。俺今ならここで抱かれちゃっても、いいぜ？」
指先で頬を撫でて、甘く囁いてやる。

跡部は瞳を伏せて、喉の奥で笑った。
「それは無理だな。俺は独占欲が強えーんだ。勿体なくて見せられるかよ」
「なら、誰もいない所へ連れてけよ」
「…了解」
抱き合ったまま、もう一度唇を貪った。

わりーな。彼女たち。
俺も相当独占欲が強いんだ。

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跡部坊主話。坊主好きだったんですけどね。すっかり元に戻られたとか（笑）。コミックス派の私はまだ確認してませんが。