[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
爪(跡×宍)
~猫宍シリーズ21~
床に新聞紙を広げた宍戸は、その端にちょこんと座って前かがみに背を丸めている。
パチン!
静かな部屋に響く音。
「宍戸?」
ソファを立ち歩み寄れば、やはり足の爪を切っていた。
不器用なその切り口は見事なまでにガタガタで、鑢もかけずにがさついている。
身体が小さくなれば、爪も子供のそれのように柔らかくなるものかと思ったが、宍戸が言うには以前よりかえって丈夫になったらしい。丁寧に仕上げなければ、シーツを引っ掛けて気持ちが悪いとぼやいていた。
それなのに、この手際の悪さ。
「何度も言ってるだろう?爪を切るときは言えって。俺がやってやる」
「…でも」
こうやって渋るのはいつもの事だ。俺は座り込んだままの宍戸をひょいと抱き上げ膝に乗せ、後ろから抱き込んでやる。
「ほら、爪切り寄越せ」
「…ん」
宍戸は諦めたように爪切りを手渡す。
俺は宍戸の左足の爪から順に切っていく。
パチン、パチンと、思った以上の硬い音。
この姿になってから、驚くほど爪の伸びが速くなった。
宍戸はそれを気にしているからこそ、俺に頼みづらいのだろう。
「ごめん…」
目の前の後頭部が俯き、小さく零れる声。
「何が『ごめん』だ。気にするなって言っただろ?」
顎の先でグリグリと頭を撫でれば、「くすぐってーよ」と、困ったような声で宍戸は言った。
すっかりこの姿に慣れて、生活にも慣れて。
それでも時々、こんな風に不安に襲われることがあるらしい。
以前の自分と明らかに違ってしまった部分を、目の当たりにするこんな瞬間。
「コレは俺の楽しみだからな。お前にも譲らないぜ?」
今度は右足を手にして、俺は宍戸の耳元で囁いた。
幼く、柔らかくなった足の先の、淡い桃色をした小さな爪。
月並みな表現だが、さくら貝のような愛らしさだ。
パチン、パチン。
その音に紛れて、宍戸の細い吐息が聞こえる。
涙を堪えるような、ホッとしたような…。どちらだろう?
まあ、どちらだって良いんだが。
宍戸がどう思ってたって、俺にとっては本当に楽しいひと時なんだ。
俺はただそれを伝えるだけだ。
いつものように、言い聞かせるだけだ。
「他のヤツらにはやらせるなよ?こうしてる時、俺は本当に幸せなんだ」
俺の言葉に、今度こそ宍戸は微笑んだ。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
これらに関する苦情の拍手コメントはスルーさせて頂きますのでご了承ください。
■連絡事項などがありましたら拍手ボタンからお願い致します。
■当サイト文書の無断転載はご遠慮ください。
■当サイトはリンク・アンリンクフリーです。管理人PC音痴の為バナーのご用意はございませんので、貴方様に全てを委ねます(面目ない…)。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
・その頬は桜色に染まる(跡宍)400円
・社会科準備室(跡宍)500円
※詳しい内容は「カテゴリー」の「発行物」からご確認ください。
◆通販フォームはこちら◆