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秘密(跡×宍)
宍戸は小さく呟く。
「あのな、跡部。俺ね」
幼い話し口調になるのは、かなり酔っているから。
東京のくすんだ夜空の下。
唯一オリオン座だけが確認できる、冬の空の下。
宍戸は俺に凭れるようにして歩きながら、小さく呟く。
「俺ね、嫌なヤツなんだ。酷い人間なの…」
「何だ?急に」
俺が尋ねれば、戸惑うように白い息だけが唇から零れる。
珍しく言いよどむ宍戸。
自分から話し始めたくせに途中で止めるな、なんて。
俺はそんな事は言わない。
まだまだ時間はたくさんある。
何せ、今向かってるのは二人で住む家なのだから。
もう、別のベッドへ帰ったりはしない。
一つの温かいベッドに帰るのだから。
「あのな、跡部。俺嬉しいんだ。一緒に暮らせて」
「…ああ。俺もだ」
その割には冴えない表情。
何だっていうんだ?こんな揺れる瞳で。
「俺な、嬉しすぎて、幸せすぎて、怖いんだ」
次第に潤む目頭。
冷え切った力ない指が、俺の手を握る。
だから手袋をしろと言ったのに。
「跡部。先に死なないでね?」
…何だって?
「俺をおいて死んだら嫌だよ?」
「…俺をそんな簡単に殺さないでくれ」
軽く返したら、宍戸は大きく首を振った。
何が言いたいのだろう。
酷く罪深い事を口にするように、宍戸は胸に手をあて搾り出すように言葉を紡ぐ。
「俺、跡部がいなくなっちゃうなんて、耐えられないんだ」
宍戸?
「俺だって、耐えられないぜ?」
縁起でもないことを…。
「でも、俺より先に死なないで…!」
「宍戸…」
駄々っ子のように抱きつく、震える華奢な腕。
「俺、ずるいから。跡部を悲しませちゃっても、跡部より先に死にたい」
…何だ、そんな事か。
「嫌なやつでごめんな?でも、怖くて耐えられないんだ。俺より1秒でも、長く生きてて?」
何て、愛しい我侭。
「宍戸がそう望むなら。俺はたった一瞬でも長く生きてみせる」
「よかった…」
この程度の我侭で、そんなに罪深い顔をしないでくれ。
お前の願いなんて、可愛らしいものなのだから。
部屋に着いた頃には、すっかり眠りに落ちてしまった宍戸。
そのままベッドに横たえ、まだ冷たいままの鼻の頭に口付けたら、擽ったそうに微笑んだ。
「宍戸。お前の我侭なんて本当に可愛らしいものだ」
だって俺は、もっと傲慢な我侭をこの胸に隠している。
お前が死ぬのにも耐えられない。
お前を一人きりにするのにも耐えられない。
そんな俺は。
時がきたら。
お前を殺して、俺も死ぬと。
そう決めているのだから。
最期の最期まで離れてやる気は無いのだから。
ほら、お前よりよっぽど罪深い。
だから何も心配しないで、二人のベッドでぐっすりと眠ればいい。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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