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キャッスル跡部へようこそ!②(跡宍風味)
~下宿シリーズ2~
「ちーす」
俺はいつもの様に6時半に起きて食堂に下りる。いくら春休み中ったって、身体が鈍るのは嫌だからな。軽く食事して休憩したら跡部のテニスコートで練習だ。
「あ、おはよ」
滝はエプロンをつけて朝飯の準備中だ。
お玉片手に挨拶を返してくれる。
いやさ、本当は飯は当番制だったんだよ。
でも、俺は調理実習以外で包丁握ったことねーし、ジローと岳人もそれは同じでさ。特に岳人の包丁捌きっつったら、毎日1本ずつ、落とした指が味噌汁から出てくんじゃねーか?ってくらい酷くて…。
見かねた滝と忍足が料理をかって出てくれた。
朝に強い滝は朝食担当。朝に弱い忍足は夕食担当で滝は補佐をする。
俺たちは返って邪魔だと追い出された。
そして、跡部…。
「なーんでテメエはアパートの住人でもねーのに毎朝いるんだ?」
「俺のアパートだから当然だろ?」
済ました顔でコーヒー飲んでやがる。
当然のように跡部は「跡部邸」に住んでいるが、何故だか毎朝毎晩こうして、広い庭園を抜けてアパートまでやって来る。
飯だって本宅のほうが美味いだろうに。何たってあっちは本職だ。
「まあまあ、宍戸。俺たちは跡部のお陰で家賃も格安で、学校までは送迎バス付きだなんて豪勢な生活送れるんだから。感謝しなきゃ」
「そうだ。感謝しろ」
「…へいへい」
先週、初めてこのアパートを見せられた日。あれから本当に俺はここの住人となった。
だってよ、跡部のヤツ帰してくんねーんだもん!他の皆は一応両親に相談したいし、荷造りしなきゃってんで帰ったのに。俺が敷地から出ようもんなら、非常通報装置が働いて警備員が飛んできやがった!
何かさ、今まで親には1人部屋が欲しいとか、綺麗な家に住みたいとか散々文句言ったけどさ。いざ帰れなくなると、使い込んだ布団とか、引き出しの壊れた学習机とか、懐かしいよなぁ。
「ところでどう?宍戸。お布団慣れた?」
「あ。すげー快適」
「ふん。だから言っただろう?」
跡部のヤツ、自信満々に踏ん反り返る。…何だろう。なんかコイツって素直に感謝しようって気を無くさせるよな。
あの日初めて見た煎餅布団。すっげーぺったんこでボロボロに見えて、おいおいマジかよって思ったんだけどな。実際寝てみたら超気持ちいいの!
掛け布団は薄くて重たそうに見えたんだけど、全然そんな事なくて、どこぞの良い羽を使った高級羽根布団だとか。マットレスも人間工学の何たらに基づいた何たらによって…って。ようは難しくてよく分かんないんだけど、すげーんだよ。最初はちょっと固めで慣れなかったんだけど、慣れてみたら最近の悩みだった腰痛も無くなってさ。どうやら変に軟らかすぎた実家の布団の方が身体に合ってなかったらしいんだよな。
「俺様が宍戸に苦労させる訳ねーだろうが」
「…ふーん?そう。さんきゅー」
何跡部のヤツ、急に頬染めてんだか。気味わりぃ。
「…宍戸。君も相当酷い人だね」
「あ?」
よく分からないが、滝はそう言って跡部を哀れみの眼差しで見つめた。
「おはよ…」
俺たちが朝食を食べている途中に、ジローが眠たそうな目を擦って食堂に入ってくる。誰にも起こされずに起きてくるなんて珍しい!
しっかし、こいつって、家でもパンツで過ごすのな。一緒に暮らし始めて初めて知った。今もズルズルの長Tにブルーの縦じまの下着。そして羊のクッション。
「…ジロー?クッションは持ってきちゃダメって言ったでしょ?」
滝は箸を置くと、いつもと同じ台詞でクッションを取り上げる。
「あー…。だってそれが無いと寝れない…」
「何言ってんだよ。食堂で寝るな」
春休みに入ってからここに入居したコイツは、毎朝この調子だ。ちゃんと起きてるのは試合中だけだぜ?
「はい、ジロー?パンとヨーグルト、あとジャムもね。飲み物は牛乳でいい?」
滝は冷蔵庫から出したそれらをジローの前に置いてやる。
「滝ー。甘やかすなって。皆と同じ和食でいいだろ?ジローも手間掛けさせるなよ?」
ジローのヤツ昔っから朝はパンだったからって、和食に手を付けないんだよ。共同生活なんだからそれじゃダメだろーに。
「良いんだ、宍戸。俺こういうの苦じゃないしね」
「…滝」
こいつも人が良いよな。俺なら一発殴って口ン中味噌汁流し込むぜ?
「まあ、いいじゃねーか宍戸。滝も嫌ならやらないさ」
跡部は苦笑しながらジローの頭を撫でてやる。
そして徐に言いやがった。
「滝、コーヒーのお替りをくれ」
「てめーも自分でやれよ!!」
「おはよーさん」
俺が食べ終えた食器を洗っていると、忍足が起きてくる。
こいつ朝弱くて、学校の女子には見せられない酷い状態だ。髪はもじゃもじゃ、眼鏡は掛け忘れて、何故か靴下が片足だけ。何だそりゃ。
「おっす。忍足。滝のヤツ部屋戻っちまったぜ?」
「うー、平気や。自分でやる」
元々忍足は1人暮らしだったからな。自分の事は自分でが信条だ。
のろのろと俺の隣までやってきて、味噌汁の鍋に火を掛ける。
…ったく危なっかしいな、こいつ。
「忍足、温めて運んでやるから目覚めるまで座っとけ」
「あー…あんがとさん」
そして、またずるずるダイニングテーブルまで歩いてく。
「宍戸」
まだ居たのか、跡部!
「新聞はまだか?」
「だっから、てめーで取ってこい!」
「うー…」
「…おはよ、岳人」
意外な事に、一番朝に弱いのは岳人だった。今までの合宿とかでは気づかなかったけどな。イベントの時だけは目覚めが良いタイプか?
「うー…」
だめだこりゃ。食堂まで起きてきたのはいいが、そのままテーブルに伏せてしまった。
そして、ちょうど良い頃合で滝が戻ってくる。
「あ、岳人おはよ。足音したから、岳人だと思ったんだ」
「…あー…」
ゾンビのように唸るだけの岳人に、滝は朝食を用意し始める。
何故忍足は放っておくのに、岳人は構ってやるのか。それは滝のこだわりだ。
忍足は1人でも食事を温めて自分で食べる。でも岳人は、放っておくと冷めた食事をそのまま食べるのだ。温かい物は温かく頂く。それが滝のこだわりだ。だから岳人には自分で用意してやる。
「滝ってさ、自分から面倒背負い込むタイプな…」
俺の呟きに「まーね…」と滝は溜息をついた。
こうして皆が食事を終える頃には俺の食休みも終わって、これからは楽しいテニスだ。
明後日には後輩組もやって来る。
何か、最初は嫌だったここの生活も楽しみになってきたぞ。何たってテニスの相手には不自由しない!
「跡部!もう新聞読み終わったろ?テニス行こうぜ?」
「ああ、そうするか」
広げた新聞をバサバサ畳みながら、跡部も立ち上がる。
「岳人。飯終わったら来いよ!」
「…朝から元気だなぁ、後でみんなと行く…」
かったるそうに返事をする岳人。
「よーし。じゃあ先に1試合済ませるか!」
俺は跡部と一緒にアパートを出る。
ああ、今日も良い天気だ。テニス日和だな!
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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