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氷帝オールのドタバタコメディ。跡宍風味です。
あくまで風味。限りなく跡→宍です。今のところ、実る予感が殆どしません(汗。

ちなみに、跡部は「アホ部」忍足は「オタク」な予定ですので、そんな二人が苦手な方はご注意下さい。



キャッスル跡部へようこそ!① (跡宍風味)
~下宿シリーズ1~



「嘘!?マジかよ…!」
「だから言ったでしょ?跡部ならやるよって」
「滝の言うとおりだぜ?宍戸。お前って考え無しだよなぁ」
「確かにそうやけどなぁ。でもがっくん、面白そうやないか?」
「俺明日から住んじゃうもんね!Eでしょ?跡部!」
「勿論だぜ、ジロー。『キャッスル跡部』へようこそ」

帝王跡部ことバカ殿様アホ部が、跡部家の敷地内に下宿用アパートをおっ建てあそばせました。

事の発端は先月の土曜日練習の後。俺の言った一言らしい。
「お前らといると、すっげー楽しい!家帰るのが勿体ねーよな!」
確かそんな感じだった。…気がする。
だってよ、あの日は部内の対抗戦で調子良くって、1年では跡部以外にヤツに全勝したんだ。もうすぐ長太郎たちも高校上がって来るから、ダブルスも楽しみでわくわくするし、部活の後は皆でカラオケで盛り上がって楽しいし、滝の料理は美味しいし、跡部の部屋には珍しい酒があってこれまた美味いし…。まあ何だ。要は酔っ払ってたんだけどさ。
跡部のヤツ、その時の、あんなつまらない俺の言葉覚えてたらしいんだよな。
んで、週明けに「俺の家に皆で住むか?」って聞かれたから「俺みたいな庶民はあんなお屋敷に住んだんじゃ息が詰まって仕方ねーよ」って笑い飛ばしてやったんだよ。
そしたらこれだ。
何なの?アパートってさ、そんな簡単に建つものなの?あの会話って1ヶ月前とかですけど?ってゆーか、誰の金だよ?責任取れないぜ?俺。
つーかさ、俺ここ住むこと決定?

「中見ていい!?跡部!」
ジローははしゃいで跡部の腕を振り回す。
「ああ、もちろんだ。お前たちも入れ。自慢じゃねーが、かなり自信作だ」
うわー…。跡部の「自信」なんて、ろくな事ないぜ。
先頭を切って歩き出すジロー以外のメンバーは、一様に呆れ顔だ。
だってよ、まずアパートの入り口からおかしいもんな。
素晴らしい花々が咲き乱れる庭を進めば、突如現れるボロ臭い風体のアパート。せっかくの庭園の雰囲気を破壊する古びた門柱。
年季を感じさせる木の看板には縦書きで、擦れた筆文字で「キャッスル跡部」とある。
アパート自体をぐるりと巡る塀は安っぽいブロック積みで、一体何を見本に作ったんだか。
今時こんな昭和を感じさせるアパート、東京都下でもそうはお目にかかれないぜ?
溜息ながらに跡部の後を付いて行けば、その玄関扉は木目調のベニヤ板張り、ノブはくすんだ灰色で、握ればガタガタと音を立てる。
「…跡部。新築だろ?なんでこんな古臭いんだ?」
こんな建物どっかから持ってくる訳にもいかないんだろうから、当然作ったんだろうな。それなら、わざと古臭く演出したことになる。
「宍戸の要望通り『庶民』を前面に押し出してみた」
「…お前の思う庶民ってどんなだよ」
最悪だ、コイツ。きっとこんな加工に無駄な金を使ってるに違いない。
「あ、宍戸。このドア中から見るとちゃんとしてるよ?」
開けたドアを、中から外から見比べた滝は、驚いたように手招きする。
「ほら、すっごく厚くてしっかりしたドア。防犯対策もばっちり!」
「…じゃあ何だ。表から見たボロッちいノブは張りぼてか」
「そうやな。壊れてガタガタいうんやないわ。わざと動くように取り付けたんやな」
うーん職人技、なんて。感心してる場合じゃねーんだよ、忍足!
「なあ!中来て見ろよ」
先に入った岳人が興奮したように呼ぶ。
今度は何だ!?
「超ウケる!下駄箱だってよ」
扉を入った少し広めの玄関には、横の壁沿いに木製の下駄箱が作り付けられている。一個ずつチャチな蝶番で止められた、パタパタ閉まる蓋付きだ。そしてその蓋には部屋番号と名前が貼ってある。これまた擦り切れたような紙シールで。
「あ!俺1号室だって」
ジローは嬉しそうに蓋を持ち上げると、そこに自分の靴を放り込み早速廊下へ上がる。
「…入居、勝手に決められてるみたいだよ?俺、2号室」
滝も苦笑いで脱いだ靴を納めた。

結論から言えば、もう俺たちはここに入居することが決まっていて、部屋割りは勿論、部屋の内装まで個人に合わせて作られていた。
玄関を上がって、真っ直ぐ続く廊下。
向かって左の手前から食堂、談話室、洗面所に洗濯室。
向かって右手前から2階へ上がる階段、物置、トイレ、風呂。
2階へ上がると、食堂の上から1号室~3号室。階段を上りきったスペースの向かいはトイレ&洗面所になっていて、それを挟んで奥まで4号室~6号室と続く。
1階だと物置に当たる部分が2階では7号室で、奥に向かって8号室、9号室と続く。
部屋割りは1号室から順に、ジロー、滝、岳人、忍足、長太郎、日吉、俺、樺地。9号室は空き部屋だそうだ。
まず皆でジローの部屋を覗くと、中は柔らかなピンクの絨毯張りで、座り心地の良さそうなローソファ。しかも3、4人はゆうに腰掛けられそうで、それぞれの背もたれが個々にリクライニングする…。ジローに一生寝てろとでも言うのか?
でも本人は大喜びだ。
「わーい!跡部ありがと♪羊さんクッションもかっわE~」
…はい。1人交渉成立。
滝の部屋は見事に総畳張りだ。
窓際に置かれた、和の雰囲気を壊さないゆったりとしたラウンジチェアに、滝はもうメロメロだ。
「あー、こうやって足も預けてゆったりと、本読んでお茶飲んで…憧れだったんだよねェ」
はい。成立。
岳人の部屋を覗けば、今までの2人よりは高校生男子向きの小ざっぱりとした部屋だ。
けれど良く見れば、床は質の良さそうな落ち着いた色のフローリングで、勉強机や本棚、小さなテーブルやラブソファ、ベッドに間接照明に至るまで、恐らく全てデザイナーズ家具だ。さりげなく置かれたゴミ箱までがとても洒落ている。お洒落に敏感な岳人のための部屋って感じ。
「っすげー!俺1人部屋ってだけで嬉しいのに、超かっこいい!!」
はい、もういっちょ成立。
忍足は、扉を開けた途端、壁際一面に据えられたアクリルの棚に吸い寄せられる。きっと家具なんだろうけど、奥行きは狭くて本なんかは置けない感じ。1つ1つの区切りが小さくて全部透明だ。
「すっごいわぁ、跡部。壁一面俺の芸術品を並べられるんやなぁ」
そう言って感激する忍足。
…成る程、フィギュアね。
一個ずつケース買うと高いし、かといって大きな棚買ったら部屋に置けないしって、散々ハンズで悩んでたっけな。
…はい。こちらも交渉成立。
今日は年下組が居ないから中は見なかったけど、どうやら長太郎の部屋はヴァイオリンが弾けるように防音構造になっていて、日吉の部屋は滝にも負けず劣らずの和室で、床の間まであり、何やら有名な書の掛け軸が下げられてるとか。樺地の部屋はごくスタンダードな間取りらしいけど、全ての家具が身体の大きさに合わせて大きめに特注したという拘りぶりだ。
そして、俺の部屋…。
「って、おい!?」
何じゃこりゃ!?
「お前の理想の『庶民』の部屋に近づけただろうか?」
何が自信満々に「近づけただろうか?」だよ!
陽に当たって色が変わった畳は所々解れ上がっている。壁は微妙にくすんでて、築20年みたいな趣だ。押入れに入れられてもいない布団は、今時あるのか!?ってほどの煎餅布団。
極めつけはちゃぶ台!
「宍戸、このちゃぶ台は中々の年代モノだぜ」
「…バカかお前」
ちゃぶ台なんてみんな年代モノだろうよ!ってゆーかこれは庶民じゃねーだろ?昭和だろ?高度成長期だろ?
「跡部、お前に『庶民』についてレクチャーしてくれたのは誰だ?」
「執事の田中だ」
「…成る程」
御歳70歳の爺さんだ。
呆れる俺の後ろで、他の奴等は苦しそうに笑ってやがる。
「あっ、跡部サイコー!」
ジローは涙を拭いながら、跡部に握手を求める。
「すっげ!笑える!宍戸、良かったなぁ~」
腹抱えて笑いながら、岳人は俺の背中をバンバン叩く。
「エエわぁー。この部屋落ち着くわぁ」
ああそーか、そーか。なら忍足に譲ってやろう。
全くムカつくぜ!
「俺は住まないぜ」
「…宍戸」
断固拒否したら、跡部のヤツ情け無い顔して俺を見つめてくる。
「あ、それは酷いな宍戸。跡部は宍戸の願いを叶えてあげたくてこのアパート建てたのに」
…くっそー、滝のやつ。自分は理想の部屋貰ったからって、急に寝返りやがった。
「そうだよ、宍戸。寂しかったら俺の部屋おいで?」
ジローもそう言って俺の腕に取り縋る。
まあ、ジローは最初から乗り気だったもんな。
「残念だがな宍戸。お前が何を言っても、もう親御さんは了承済みだ。明日にはお前の荷物が届くだろう」
「はあっ!?」
跡部のヤツ、いつの間に…!
「えー、俺たちは自分で荷造りなのに、宍戸だけ楽できていいなぁ」
ジローは口を尖らせて羨ましがる。
いや、全然羨ましくないから!むしろこれって犯罪に近いから!
詐欺?誘拐?監禁?えっ、何!?やっぱ詐欺か!?
焦る俺を他所に、滝と岳人は大きく頷いている。
「跡部、とうとう痺れをきらして強硬手段に出たね」
「ああ。鈍ちんな宍戸は、こうでもしなきゃふらふら何処か行っちまいそうだもんな」
「…分かってもらえるか?」
跡部も神妙な顔つきでそんな2人と分かり合ってる。
ちょっと!俺は何にも分かりませんけど!?
分かってるのは、今夜から俺の寝床は煎餅布団だって事だけだ!!!


散々お待たせした割りに、全くラブの欠片もなさそうなアホなお話です。
なぜ下宿モノを書きたくなったかと言えば、三浦しをん著「風が強く吹いている」を読んで影響されたから。
そして、長年の「グリーンウッド」ファンだから(笑。
彼らの温い、時にドタバタな日常を、のんびり書いていきたいと思います。

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