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意識しあう二人のお話。
予感(跡×宍)
いつも気にしていた。
部活後のファミレスには行くのだろうか?
クリスマスパーティーの2次会には行くのだろうか?
夏休み、いつものメンバーでの勉強会には?
休日のカラオケは?
お金持ちでお坊ちゃまの跡部は庶民の集まりには興味が無いのかと思いきや、いつも当たり前のように皆と楽しんだ。
さすがにファミレスでのセルフサービスには憮然としていたが、からかい笑った忍足を顎で使い相変わらずの傲慢っぷりだ。
苦笑いの忍足、指差し笑う向日、フォーク片手にうとうとするジローに、微苦笑の滝。
そんないつもの風景。
そんな中いつも気にしていた。
俺は跡部を。
跡部は俺を。
***
今日は陽射しが強すぎたか。
購買のパンを片手に屋上にきた俺は、早速後悔していた。
まあ移動している時間もないし、さっさと食べて教室に戻ろう。
メロンパンの袋を開け一口かぶりついたところで、屋上の扉が開き誰か来たのが見える。
遠かった影が近づくにつれて、その姿がはっきりしていく。
「…跡部?」
「よう。宍戸」
気障ったらしく片手を上げる仕草も、跡部なら変に浮いて見えないのが不思議だ。
「一人だなんて珍しいじゃねーか」
今日は犬を連れてないのか、と口の端をあげて笑う跡部。
犬とはもちろん長太郎のことだ。こいつが「犬」だなんて言うから、レギュラー陣の間ではそれが定着してしまった。「ワンコは今日もご主人様にベッタリだな!」なんて岳人にからかわれたっていつもニコニコしているあいつは、今日はクラスメートと学食だ。
「別にいつも一緒なわけじゃねーよ」
答えると「そうか?」と跡部は笑った。
「そういうお前はどうしたんだ?屋上なんて滅多に来ないじゃねーか」
忍足たちはたまに顔を出すが、跡部が一人で顔を出すなんて初めてかもしれない。
「今日はめずらしく用事がなかったからな。仮眠でもしようかと思ったが、この陽射しじゃーな…」
眩しそうに空を見上げる跡部につられて俺も空を仰ぐ。
ところどころに浮かぶ雲がもう夏の形だ。
「まったくだ…」
意識を食事にもどしてパンにかぶりつくと、俺たちの会話はなくなってしまう。
皆でいればいつも賑やかだが、実際のところ俺と跡部はそうおしゃべりなタイプではない。話好きの岳人や忍足がいなければ静かなものだ。
中庭から聞こえる女子の楽しそうな声を聞くでもなく、跡部は柵に寄りかかり景色を見下ろす。
長い付き合いだ。特に会話がなくたって気詰まりなこともなく、俺は昼食を済ませる。
パックのオレンジジュースを飲み終えると、丁度5時間目の予鈴が鳴り響く。
「やべ。もうそんな時間か」
急いでゴミをまとめて立ち上がる。
俺の教室は少し離れていて、のんびり歩いていたら授業に間に合わなくなってしまう。
「行こうぜ。間に合わなくなる」
次の授業が英語なのを考えると、戻りたくないのだが本音だが…。
焦りもしない跡部を促すと、早足で鉄製の扉に向かう。
重い扉を急いで開く。
そして、階段の踊り場に出ると…。
ひんやりした空気を肌に感じるのと同時に、急に目の前が真っ暗になる。
「…うわっ!」
眩しいくらいに晴れた屋上から、急に暗い校舎に入ったためか。立ちくらみのように目の前が真っ暗になる。
眼の奥がキーンとする。
でも、勢いづいた脚が急に止まれない。
やばい!
上半身が前に突のめるのを、他人事のように感じる。
ぐらりと揺れた世界が、胸元の衝撃とともに後ろへ引き戻される。
「馬鹿野郎!」
跡部の怒鳴り声がもの凄く近くに聞こえた。
眼の奥の鈍い痛みがゆっくり治まり、そして目の前が少しずつ明るくなっていく。
「バーカ。驚かすんじゃねぇよ」
台詞以上に心配してくれているのがわかる。跡部のこんなに焦った声は聞いたことがない。
「…わりー。一瞬、目の前真っ暗になった…」
視界がもどると自分の状況にやっと気付く。
胸の衝撃は跡部の腕だったんだ…。
前のめりに倒れこみそうな俺を、後ろから抱えるように跡部の腕が支えている。胸に回された腕は、俺の体重を支えぎゅっと力強く筋が浮いて見える。
必然的に背中に密着する跡部の胸板を感じた。
「…!!」
途端、ボッと顔が火照る。
きっと『助かったぜ』とか言って自然に離れればいいのに。
跡部も『ちゃんと立てよ』とか言って突き放してくれればいいのに。
きっと、どっちの台詞も口にされない。
何だか、おかしな予感はしていた。
跡部が屋上に来るなんて。
珍しく俺が一人だなんて。
予定していた訳じゃないだろう。
そう、予感なんだ。
だっていつも気にしていた
俺は跡部を。
跡部は俺を。
俺を支えている右腕の上に、ゆっくり左腕も回される。
俺はもう自分の脚でしっかり立っているけれど、腕は強く俺を捉える。
「…あ、とべ?」
自分でも聞いたことが無いくらい声が掠れたのがわかる。
急に、左耳の付け根あたりに温かさを感じた。
「…宍戸」
跡部の声と一緒に、耳元から痺れが走る。
跡部の唇?
温かさの正体に気付いた途端、背筋まで痺れが貫いた。
「…あ、ぁ…」
とても甘い痺れ。
すごく変な声が出た。
でも跡部は笑わない。
「…宍戸」
もう一度呟いて…。
その唇が、俺の首筋を伝い下りる。
そして、項に歯を立てた。
「!!」
もう、無理だ。体が崩れ落ちる。
全てお見通しとばかりに、跡部は俺の体を抱きとめる。
体を反され向き合うようにされると、やっとその表情が見えた。
熱に浮かされたような、甘く苦しそうな瞳。
視線が絡んだら、もう止まれない。
片手が首の後ろに回されると、ぐいっと引き寄せられる。
そして口付けが落とされた。
額に、瞼に。
目じりに、頬に。
「…あとべ」
俺も腕を回す。
その首に縋りつくように。
そして、唇の端を舌先でつつかれた後…。
はじめて互いの唇が重なり合う。
ゆっくりと。
燃えるように、熱い唇。
「あ…ンっ」
最初は重ねるだけの口付けが、次第に熱を増していく。
薄く開いた隙間を熱い舌が潜ると、躊躇っていた俺を逃がさないかのように絡め取られる。
舌が絡まるたび、水音が響く。
舌先が俺をからかうように上顎をつつく。
「…ン、あン」
声が漏れるのを愉しんでいるのか、今度は煽るように舌の付け根を擽る。
「…んっ!」
行き場を無くした唾液が口の端から伝う。
すると、その途を先回りするように、跡部の舌先がゆっくりと舐め上げる。
「あ、あ…」
そのイヤラシイ舌先に、甘い痺れが全身を駆け巡った。
貪る口付けを、どれだけの時間交わしていたのだろう。
唇がジン、とする。
熱を持ったそこは、きっと紅く腫れているに違いない。
そんな唇を跡部は指先でなぞる。
「いつか時が来たらでいいと思っていたんだ」
まだ熱に侵されたような俺の髪を、優しく撫でながら跡部は呟く。
「お前は不器用だから、今はテニス以外のことを考えさせたくなかった…」
不器用だなどといつもなら黙って言わせてはおかないが、今は優しい手と声を感じていたかった。
瞳を閉じて俯くと、跡部は言葉を続ける。
「でも、さっき崩れそうなお前を支えた途端、今だって感じた」
そう言うと俺を抱きしめた腕はそのままに、優しく頭を撫でていた手が急に後頭部の髪の毛をひと房つかむ。
それをぐいっと引っ張る事で俺を上向かせると、瞳を覗き込むように跡部が見つめてくる。
「なあ、宍戸。お前が俺のことを好きなのは知ってるけどな、一応言葉にして言ってみろよ?」
「!?」
確かに俺はいつも跡部を意識していたけれど。俺が跡部を好きだなんて…。
そう自信たっぷりに言われると、反抗してみたくなるのが俺の悪いところだ。
「何で、俺がお前を好きだなんて思うんだ?」
そんな挑戦的な台詞に、跡部は怒るでもなく苦笑いを浮かべる。
何だ?
俺は首を傾げる。
そんな俺の態度を見た跡部は、俺の頭を引き寄せ自分の胸に強く抱きしめた。
「何だよ!?そんな強くしたら痛てーよ」
どうも照れてるらしい跡部は、俺の髪をわしゃわしゃと掻き混ぜながらぶっきらぼうに答える。
「お前いつもどんな瞳で俺を見てるか気付いてないのか?忍足たちだってとっくに気付いてるぜ?」
………?
俺は、どんな瞳で跡部を見つめていたのだろう。
他人が気付くくらい、俺は跡部に見惚れていたのか?
忍足たちが気付いてるのに、自分で気付いて無かったってか?
軽くパニくっていると、あやすように抱きしめた跡部はまだ苦笑している。
「そうやって混乱するだろうから、引退するまでは何もしないでおこうと思ってたんだけどな」
そして駄目押しのように言った。
「なあ、こうなったら覚悟を決めて聞かせろよ。俺を好きだって」
口調は軽いけれど真剣な眼差しに、つい俺は口ごたえをしてしまう。
「で、でも俺だってお前から聞いてないぞ…」
すると跡部は、ハンっといつもの笑みを洩らし俺の耳元で優しく囁いた。
「亮、愛してる」
「!?」
今まで亮だなんて呼んだことないくせに。
しかも愛してるだって!?
頭から湯気噴きそうなくらい真っ赤になって硬直した俺に、跡部は意地悪く言う。
「どうせ5時間目はサボりだからな、時間はたっぷりあるぜ。ゆっくり付き合ってやるよ」
そして抱きしめる腕に力を込めた跡部は、逃がさないぜと笑った。
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