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日常の1コマ。
言葉にせずとも、跡部は神尾が大切なんです。ってお話。
こんな日曜の朝 (跡×神)
数歩前を、小さく丸い後頭部とパーカーのフードが揺れる。
綺麗に整備され花柄にタイルを敷かれた歩道の、赤色だけを選んで歩くのが今朝の神尾のルール。
右へ左へと体を揺らしながら器用に進んでいく。
(まったく、子供じゃねーんだから…)
少し呆れながらも、楽しげなその背中を後ろから見守る。
街路樹からこぼれ落ちる陽の光が、神尾の艶やかな髪に天使の輪をつくっていた。
「神尾、転ぶなよ?」
からかいを含んだ言葉に、神尾は片手を上げる事で答える。
しばらく行くと、前から中年女性の自転車が近づいてくる。
その籠には今時珍しく茶色の紙袋に入れられたフランスパンが覗いている。
ゆっくり向かってくる存在に当然気付くだろう思ったが、赤の花びらを爪先立ちで辿るのに夢中な神尾は自転車の影に気付かない。
(まったく仕様がないヤツだ…)
「おい、神…」
オレが避けるよう声をかけようとしたところで、女性は車道に降り神尾に道を譲ってくれる。
すれ違い際俺が軽く会釈をすると、女性は「いいのよ」という表情でにこやかに去って行った。
いつもより早く目覚めた日曜日。
自宅のテニスコートでなく、ストリートテニスコートに行こうと言い出したのは神尾。
車でなら10分そこそこで着く距離も、散歩がてら30分以上かけて大切に過ごしたいという神尾。
持ち前の身軽さでリズム良くタイルを渡り歩く後ろ姿は、たった1歳しか年が変わらないのに、まだ子供の柔らかさが残っている。
そのためか、肩にくい込むテニスバックが不釣合いなほど大きく感じる。
「う…おあっ!」
ヘンな声を上げると、見つめる背中がぐらりと揺らぐ。
細い横道と交わる手前、並んだ黄色の点字ブロックに遮られタイルの並びが途切れている。
調子にのってスピードを上げた神尾は、脚を縺れさせた。
「っバカが!」
俺は咄嗟に手を伸ばす。
そして、パーカーの首根っこを親猫が子猫を運ぶように引っ張り上げる。
「オイ、しっかり歩けよ」
「あ~、びっくりした!」
「…驚いたのはこっちだ」
地面に下ろしてやると「サンキュー」と、照れくさそうに微笑む。
隣にくっついて歩き出したその頭をガシガシと乱暴に撫でてやると、くすぐったそうに肩をすくめる。
そんな風にじゃれながらしばらく歩くと、急に歩をとめた神尾がふと俺の顔を覗き込む。
「跡部って『俺様』のくせに、俺にはスッゲー優しいのな。嬉しい!」
下から見上げる瞳の半分は長い前髪に隠れてしまっているけれど、真っ直ぐに向けられる歓びの言葉に俺の方が照れてしまう。
こいつはいつもそうだ。
ストレートな言葉で真っ直ぐ瞳をみて、その時の感情を口にする。
言葉を惜しまず、ごまかさず。
「まあ、な」
火照った顔を隠すようにそっぽを向いて答えると、神尾はもう一度
「嬉しい!」
と大声で叫び、今度は黄色の花びらを渡って駈けて行く。
自他共に認める「自分第一」の俺が神尾にだけ優しいなんて。
実はとても簡単で当然のことだが、お前には教えてやらない。
なんでもない休日の一時を、こんなに大切に慈しむように過ごすことを教えてくれるお前。
そんなお前は、とっくに俺の全てだなんて。
まだ、教えてやらない。
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