3度目の恋 （跡×宍） 2007/01/19 (Fri)

不器用な宍戸と、大人な跡部。

3度目の恋　（跡×宍）

「景吾！」
そう呼んで、後ろからその腕に抱きつけたら、どんなに幸せかと思う。
散々遠回りして手にした恋なのに。
アイツは自分の隣を俺のために空けて、待っていてくれてるのに。
たった一歩が踏み出せない。

恋なんて何度したって。
甘え方なんてちっとも上手にならない。
優しかった先輩だって、可愛かった後輩だって、いつも俺の強情さに溜め息をついて離れて行ったじゃないか。

せめて、シャツの裾を摘むだけでも。
俺の想いを態度にできたらいいのに。

アイツが今振り向いたら、本当は泣き出しそうな表情を見て「何をふて腐れてるんだ」と言うんだろうか？
いままでの人たちがそうだったように。

それでも上手く微笑えない。
好きになればなるほど。

「亮」
そう呼んで、その肩を抱けたらとても幸せだろう。
でも今はそうしない。
散々待たされた恋だから、もう少し待つのなど辛くもない。
アイツが一歩ずつ自分に歩み寄ってくるのを待つなんて、むしろ幸せなくらいだ。
俺はいつだって近くにいたのに、何度も遠回りしやがって。

アイツが上手に微笑えないのは惚れている証拠なのに、そんなことさえ気付かずアイツを手放した奴らに俺は感謝する。

今振り向くと、アイツはいつものように眉間に皺を寄せ、きつく吊った眼で俺を真っ直ぐ見ているだろうか。
側に駆け寄りたくて、でも出来ないじれったさに涙を溜めているのだろうか。

亮。
ゆっくりでいい。
お前が俺のシャツの裾を引いた時には、強く抱きしめてやるから。
ゆっくり、歩いて来い。

 

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中森明菜「セカンド・ラブ」を聴いて。若い子は知らないのかなぁ。
宍戸はより不器用に、跡部はより大人に。