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宍戸が寛いだ時にだけ見せる、変な癖とは…?
無くて七癖 (跡×宍)
「…おい。宍戸」
「…」
「聞いてるのか、宍戸」
「…」
ソファの隣に腰掛ける宍戸に声をかけるが、全く返事がない。
手にした文庫本に夢中のようだ。
「おい、宍戸。俺は知らねーからな」
耳を貸さない宍戸に、俺は通告する。
後で文句は言わせねえ。
ここは部室。
先日引退したばかりだが、後輩指導とかこつけて3年が居座るのは毎年のことだ。
例に違わず、俺たちも部室で寛いでいる。
さすがに下級生からコートを奪う訳にはいかないから、空くのを待っているのだ。
そんなわけで、もちろんここには俺と宍戸の二人だけではない。
ロッカーの前で着替え中の忍足と向日が、目を丸くしてこちらを見ている。
驚くのも無理ない。
だから忠告してやろうとしたのに、宍戸は耳を貸さない。
二人は間抜けな顔をして、宍戸の動きを目で追っている。
横目で盗み見た俺は思わず溜め息を漏らす。
明日から宍戸は、これをネタに存分にからかわれる事だろう。
宍戸は左手だけで器用にページをめくりながら、右手で俺の耳朶を弄んでいるのだ。
指先でつまんだり、人差し指と中指で挟んで引っ張ったり…。
時には耳全体を覆っていじり回すから、煩くてかなわねえ。
そう。無くて七癖とはよく言ったもんだが、これは宍戸が自宅で寛いでいる時だけに見せる癖だ。
本人曰く、特に冷えた耳朶が好みとの事…。
部活も引退し気が抜けたところで、俺の部屋で寛ぐ時と同じ並びで腰掛けたのがいけなかったのか。
宍戸は相当気が緩んでいるようだ。
小説が佳境にさしかかってきたのか、宍戸は益々のめり込むようにページをめくり、それに応じて腰掛けた姿勢も崩れていく。
これじゃあ家にいる時と変わらねーな…。
横目で見ると、例の二人は相変わらずさっきと同じポーズで固まっている。
…面白れぇ。
宍戸も、忍足も、向日も。
俺は宍戸を放っておくことにした。
宍戸は二人きりで過ごす時のように、段々俺に近づいてくる。
学校ではいつも俺にくってかかってくるが、実際コイツは相当の甘えたがりだ。
最初は一人分ほど空けて腰掛けていたが、そのうち両足ともソファに上げ、そして横向きに膝を抱えて座ったかと思うと、次第に俺の体に背中を預ける。
無理な体勢なのに、時折思い出したかのように俺の耳を弄ぶのには笑ってしまう。
そして俺も相当コイツには甘い。
こういう時は、つい好きなようにさせてしまう。
無意識に体の何処かしらを触れようとする姿が、いとおしいのだ。
一体何分経過しただろう。
やっと動き始めた忍足と向日は、それでも無言で宍戸の行動を目で追い続ける。
その口許には、はっきりと笑いを堪えているのが見てとれる。
そりゃーそうだろう。
いつもケンカ腰で俺に突っかかってくる宍戸が、こんな風に俺に甘えているなんて。
宍戸はついに、俺の膝を枕にソファの上に寝そべってしまったのだ。
しかも、しつこくその腕を上げ俺の耳もとへ伸ばす。
…腕、疲れるだろーよ。
呆れて声も出ない。
多分30分は経過しただろう。
俺は何も言わない。
忍足と向日も近くにあった椅子に腰掛け、じーっと宍戸の観察に勤しむ。
小説はいよいよ最終段階に入ったようだ。
ページが残り少ない。
そして、宍戸の癖も最終段階へ入ったようだ。
宍戸は寝そべった体をモゾモゾと起こすと、本から目を離さないまま、俺の横へピッタリ付いて腰掛け直す。
そして、体を捻りながら俺の左肩に手を置くと…。
「!!」
忍足と向日が息をのむのにも気付かず。
宍戸は俺の耳朶に噛み付いた。
そう、これが最終段階。終着点。
力いっぱい噛み付くのではなく、子猫がじゃれるように何度も甘噛みするのだ。
噛み付かれている俺には見えないが、コイツこれで本が読めてるのか?
毎度ながら不思議な行動だ。
「ぎゃははっ!宍戸最高!」
「ははは!たまらんわぁ、亮ちゃん!」
とうとう我慢がならないというように、二人が宍戸を指さして笑い出した。
「!!」
宍戸はビクッと体を震わせ、俺の耳元で動きを止める。
「跡部~。こりゃー可愛くて仕方ないやろ?」
笑いすぎて涙を拭いながら聞く忍足に、俺は答える。
「ああ、最高に可愛いぜ」
「ぎゃー!跡部が惚気てるー!」
指差し笑いながら叫ぶ向日。
「あ~!面白いもん見せてもろたわ!」
忍足はとうとう椅子から転げ落ちて腹を抱えている。
「ひーっ!笑いすぎで腹が痛い!」
部室の床に転げ回る二人。
しばらく呆然とその姿を眺めていた宍戸は、ようやく事態を把握したようだ。
油の切れたロボットのようにゆっくり俺を振り返る。
「跡部!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ宍戸。
「俺はちゃんと止めたぜ?お前が聞かなかっただけで」
ニヤッと笑いながら答えると、宍戸は一層頬を染める。
というより首まで紅い。
「何で!もっとちゃんと止めねーんだよ!ソファから落とせばいいだろ!」
「アーン?知らねーよ。自業自得だろ?」
「!!」
恥ずかしさのあまり、声も出ないようだ。
握り締めた拳をプルプルと震わせる。
「えーやん。そんなに恥ずかしがらんでも~」
「そーだよ宍戸。赤ちゃんみたいで可愛かったぜ!」
二人の言葉が追い討ちをかける。
「うるさい!!」
とうとう大声で叫んだ宍戸は、ソファで丸まり不貞寝を決め込む。
俺の膝を枕に。
その仕草は益々二人を喜ばせるだけだった。
「ぎゃはは!可愛いーよ宍戸!」
「あー、俺もうあかんわ~」
いつまでも続く二人の笑い声。
俺の膝枕で丸まる宍戸は、グスンと鼻を鳴らす。
悔しいのか、恥ずかしいのか。
自分でもショックでよく分からないようだ。
俺はくしゃくしゃになった宍戸の髪をゆっくり撫でる。
「拗ねるなよ。可愛いから自慢したかっただけだ」
「…馬鹿やろー」
口は悪くても、膝にすがりつく腕が俺に甘えている。
まったく、可愛い奴だ。
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