親知らず （伊武×神尾） 2007/01/18 (Thu)

伊武神ってより、伊武＋神尾。
友達に強請られて書いたのですが、伊武のキャラが掴みきれずただの不思議ちゃんに…。

親知らず　（伊武×神尾）

痛い。
なーんか朝歯磨いた時から、右下の奥歯のその奥の歯茎が痛い。
歯ブラシの先が少しさわっただけで、鈍く痛んだ。
嫌な予感するな～。
前歯医者でレントゲン撮った時写ってたもんな～。親知らず。
指でちょっと触っただけでも。やっぱり…。
「いらい！（痛い！）」
「…うるさいよ神尾。何、口に指突っ込んでるの？汚いなぁ」
隣で着替えてる深司が、ホントに汚いものでも見るように目を眇める。
「らって！（だって！）」
「…とりあえず指抜いて話しなよ。何言ってるか分からない」
「だって、奥の歯茎が痛いんだ！親知らずかな？」
だんだんズキズキしてきた～。
「気が散って朝練なんかできねーよ。深司ちょっと見てくれよ」
朝、鏡の前でも見てみたけど、奥過ぎて自分じゃ見えないんだ。
「えー、面倒くさいなぁ。集中力の無さを歯の所為にするなよ…」
深司はすぐぼやく。こうなると煩いんだよな。
「いーじゃん！ほら」
俺は『あーん』と口を開く。
そういえば、口開ける時って何か『あーん』って声出ちゃうよな。何でだろ。俺だけかな？
「ろう？（どう？）」
「……」
「ひんい？（深司？）」
一向に返事が返ってこない。
俺一人で口開けてバカみたいじゃん。
「……」
「何だよ。見てくれないのかよ！？」
口開けっ放しで痛くなったじゃないか。
「おい？」
大体いつも何考えてるか分からないヤツだけど。
どうしちゃったんだ？ちっとも動かない。
「おーい？」
目の前で手を振っても…。反応なし。
「深司、どうかした？深司！？」
顔を近づけて目を覗き込む。瞬きしてないけど大丈夫か…？
あ、やっと目があった。
深司ってたまにどこ見てるか分からない時あるんだよな。
何か変なもの見えてるんじゃないだろうな。怖いな。
ん？深司の顔が段々近づいてくる。
いつもぼやいてばっかりで陰気くさいけど、綺麗な顔してるよな、うん。
あれ。顔が近すぎてよく見えねーよ。
あ…れ？真っ暗。
唇がしっとり温かくて。
チュッ…って。
あれ？
これって…。これって…？
これって！？
キス！？
「深司っ！？」
あわてて深司の胸を突き飛ばす。
「何？」
「何するんだよ！？」
「キス」
はあっ！？
「そうじゃなくって！何でこんなことすんだよ！」
「好きだから」
何だって！？
「そんなの聞いてないよ！」
「うん。言ってないもん」
「……」
言ってないもんって…。もう何なんだよ一体！
「そんな無防備な顔してるからいけないんだよ」
「！！」
俺のせい！？
「ほら行くよ。朝練始まってる」
いやっ、それより…！
「歯は…っ！？じゃなくて。好きって！？深司！」
って…。
行っちゃった。
なんなの？ねえ、何なのアイツ！？
「わけわかんねーよ！」
俺が叫んだら、閉ったドアの向こうで深司の笑い声が聞こえた。
珍しく声上げて笑ってる。
…よくわかんないけど、超むかつく！！