10月4日～If～（跡×宍） 2011/10/02 (Sun)

宍戸＆跡部の誕生日を祝して。超短文です。

10月4日～If ～（跡×宍）
 

すれ違った香りに、反射的に振り返ってしまった。
こんな所に居るはずの無い人だった。

月が変わって急に下がった気温。この秋初めておろしたトレンチ。
立てた襟の隙間から見えたのは、少し歳を重ねて、それでも眩しい程のオーラを纏った跡部の横顔。

ゆっくりと振り返る、見開かれたアイスブルーの瞳。
「宍戸…？」
点滅する信号。

「ああ、なんで…」
俺は、薬指に嵌ったリングを右掌で強く握りしめて、その場にしゃがみこんだ。

「…行くぞ」
歩み寄った跡部は当然の様に俺の腕を取り、強引に、けれど優しく俺を立たせた。

温かい人との、穏やかな未来が待っているはずだった。
彼の慣れない仕草が嬉しかったはずなのに、却って、強引で自信過剰な跡部の手際が思い出された、そんな日々を漸く越えたのに。

「もう逃がさねェ」
「…あと、べ」

もし、ここで跡部に会わなかったら。
きっと緩やかで優しい、木漏れ日に包まれたような毎日が約束されていたはずなのに。

力強い腕。
射竦める眼光。

「お前を忘れた日は無かった」

そんなに激しく触れないでくれ。
そんなにされたら、もう、戻れない。
  

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J●JUの「If」を聴いて。雰囲気だけでも近づいていれば良いのですが。