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雷(跡×宍)
万年筆を滑らせる手元が暗くなり、跡部は顔を上げた。
先程までブラインドの隙間からでも分かるほど強烈だった陽射しがいつの間にかおさまり、一瞬、もう夜かと勘違いする。
「ああ、雨ですね」
秘書はそう言い、窓辺に寄るとブラインドの並びを指先で分けて外を覗く。
「ゲリラ豪雨てやつか」
跡部もつられて、秘書の視線の先を追う。
窓を叩きつける雨は、激しい飛沫と言ってもまだ足りない。バケツをひっくり返したような…というのが近いだろうか。
そして、遠くからは低く地響きのような音が近づいてくる。
「雷か」
案の定、隙間から稲光が光った。
「さっきから嫌な音がしていましたから、来るなとは思いましたけど、随分激しいですね」
「…そうだな」
そう答える跡部の言葉は心ここにあらずで、秘書は「どうかしましたか?」と不安げに振り返る。
「いや…」
少し悩んだ末、跡部は万年筆を置き書類を重ねた。
「跡部専務?」
「悪い、今日は上がっていいか?」
「勿論構いませんが、この雨ですよ?雷もおさまってから帰られた方がよろしいのでは?」
「そうもいかなくてな」
本当は共に過ごすはずだった土曜日。
ただでも拗ねているだろうところに、この雷だ。
「どなたかお待ちになられている方が?」
普段は人好きのする笑顔を見せる秘書だが、こういう所ではからかう様な人の悪い笑みへと変わる。馬鹿みたいに真面目なだけではない、ノリも良く、時に人を食ったような物言いをする秘書を、跡部は気に言っていた。
「まあな。留守番中の可愛い猫が、雷が大の苦手なんだ」
「猫、ですか」
「ああ、猫、だぜ」
「それはそれは…」
チェシャ猫の笑みを浮かべる秘書を残して、跡部は会社を後にする。
「宍戸?」
玄関を開ければ、いつもは出迎えになど出てこない宍戸が自分を迎え入れた。と言うより、恐らくずっとここに居たのだろう。
「…遅い」
「悪かった」
激しい雨の中どれ程苦労して車を飛ばして来た事か、なんて。そんな事は蒼褪めた頬を見ればどうでも良くなってしまう。
宍戸の頭を優しく撫でれば、その身体は弾けるようにして腕の中に飛び込んできた。
「…家の中に居ても、すげェ音なんだ」
まずは強く抱きしめて、続いて流れる髪から覗く両耳を、すっぽりと両手で覆ってしまおう。
そして口付ければ、宍戸に聞こえるのは優しく響く、二人で奏でる水音だけだ。
「もう大丈夫だ」
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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