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CP注意!! リョ不二です。

ある日の「かわむらすし」3 リョ不二

先日よりはだいぶ遅い時間の来店に、河村は待ってましたとばかりに出迎えた。
「越前、こんな時間に珍しいね」
「今日はちょっと用事があって。ところで、不二先輩どうしたんスか?」
カウンターのいつもで席で、今にも潰れそうに呑み続けている不二の姿に、越前は驚いた様な声を上げる。
「ハハ、ちょっとな」
7時過ぎには顔を出した不二だから、かれこれもう2時間半近くは居座っている。
いつもなら静かに箸を進める不二だが、今日は少々珍客が訪れ…。
「誰と一緒だったんスか?」
「ああ、珍しく立海の幸村と四天宝寺の白石が来てね」
「…何スか、その変な組み合わせ」
「さあ?どこで聞きつけたのか幸村は今までにも何度か顔出してくれてたんだけど、何か白石が東京出てきてたみたいで。大学テニスの何とかって協会の…良く分からないけど。それで一緒に食事に寄ってくれたんだ」
「で?そこにいつものように不二先輩がいたと」
「まあね」
本当のところ、不二が最近店に通いつめている噂を聞いて、からかい半分に顔を出したのではないか…というのが河村の考えだ。
「ま、乾先輩あたりからですかね」
「…越前もそう思うかい?」
「まあね。あ、河村先輩いつものお任せで」
「うん、了解」

鮨が握られるのを待つ間、越前は無言で不二の手からグラスを奪うと、それをお冷にすり替える。
気づいているのかいないのか、不二は変わらぬスローペースで冷えた水を含んだ。
いつもの色白肌は見るからに火照り、普段より浅い呼吸に唇が薄く開きっぱなしだ。
乾いた唇が、何だかやけっぱちな雰囲気を醸し出す。
「不二先輩、そうとう弄られた感じっスか?」
「…まあ、そうだね。幸村と白石は楽しそうだったよ」
主に、プライベートなネタでからかわれていた…とは、ネタの本人である越前には言わないでおこうと、河村は言葉尻を濁す。
人の噂とは驚くばかりで、まだ数回の二人きりの食事を何故だか幸村は知っていた。
乾→柳→幸村ルートだとしても、昨日の今日でこのスピードでは、とても隠し事など出来そうもない。
「別に俺たちが二人で食事しようと、何も楽しい事無いでしょうに…変なの」
噂のネタが自分らの事だとは気づいているのか、それでも越前は気に病む感じではない。
「みんな、お前たちにかこつけて、久しぶりに会いたいだけなんだよ。気にするなって」
河村の言葉に、越前は形良い眉を上げ、唇の片端で小さく笑う。
「ま、気にしちゃいないッスけど。俺が気になるのは、本人はどう思ってるのかってね」
とうとう酔い潰れた不二は、カウンターに伏せて完全に寝入ってしまった。この間とは全く逆の光景だ。
まるで林檎のように色付いてしまった頬を、越前は軽く突いた。
「酒強い訳じゃ無いくせに、無理して待つから」
頬杖ついた越前の大人びた微笑みを見てはいけない気がして、河村は視線を逸らし手元に集中した。

「ちょいと失礼」
暖簾を仕舞い、鍵を掛けようかという時に、その引き戸に手を掛けたのは随分前に店を出た白石だ。
「どうしたんだい?忘れ物かい?」
河村が慌てて招き入れようとすれば、白石は首を横に振る。
「ええんや。きっと不二君、酔い潰れてしもたやろなァ…思うて。越前君が来んようなら、責任もって送り届けよ思っただけやし」
「ああ、それなら大丈夫。さっき越前と帰ったよ」
ほんの10分ほど前、目を覚まさない不二を越前が半ば強引に連れて帰って行ったのだ。本当にちょっとの入れ違いだった。
「惜しい!見たかったな、ツーショット」
「ハハ、それが本音かい?」
「あ、しもた。つい口が滑った」
バツが悪そうに笑って、白石は「じゃ、また来るわ」と店を後にする。

「よかったな、越前」
引き戸に鍵を掛けながら、河村はつい笑みを零した。
白石が帰って行ったのは店を出て左の通り。越前達は右の道へと曲がって行ったはず。
どんなにゆっくり歩いても、見つかる事は無いだろう。
河村は、越前と不二の背中を思い出す。
「いつの間にか、あんなに大きくなったんだ…」
小柄な不二と並んでも、それに輪をかけて小さかった越前。
けれど、先程不二を支えた越前の手は逞しく、背だってすっかり不二を追い越し、その背中は広く逞しくなった。
まるで兄弟の成長を改めて感じ入るように、河村は溜め息をつく。
そして、そんな越前の視線は、あの頃とは全く違う柔らかさでもって不二を見つめていた。
「…ま、二人が良ければそれでいいか」
河村はそう独りごちた。

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