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R-18です。苦手な方はご注意を。
急ぎ足で廊下を歩き過ぎようとすれば、隣のクラスの忍足がそっと音楽室の扉を開けて俺を呼び止める。
「跡部、跡部っ」
数歩通り過ぎてしまってから後ろを振り返れば、忍足はもう廊下まで出てきていて俺の腕を引っ張った。
「ああ?何だ?俺は忙しいんだ」
文化祭は最終日の大詰め、これから日が落ちるまでの短い間にキャンプファイヤーの準備を手伝わねばならないのだ。たとえ只の実行委員でキャンプファイヤーの担当ではないとしても、きっと来年は生徒会長をやる羽目になるだろうから、俺は全ての流れを一度見ておきたい。
そんな俺の都合はお構いなしに、忍足は強引に教室の中へ俺を連れ込む。
「跡部、頼むから!何とかしたって!」
ここは忍足のクラスに宛がわれた教室で、確かカラオケをやっていた気がする。まあ早く言えば酒の出ないスナックのような…。
音楽教室内は外の日差しが入らないように暗幕が張られ、どこのバカが持ち込んだのか本格的なカラオケの機材もある。手作り感たっぷりのミラーボールに、安っぽいセロファン越しの照明。案の定酷いチープさだ。場末のスナックってのがこんな感じだろうか。
「…で?俺に何しろって?」
一般教室よりも大分広い床はもう片付けられており、クラスの半分くらいのメンバーが思い思いに座り込んでいる。それぞれが手に缶を持ち、キャンプファイヤーまでの小休憩といったところなんだろうが…。
「…なーんで酒飲んでやがる!」
俺は振り向いて忍足を睨み付ける。
いくら特別教室が並ぶ校舎だからって、教師が見回りにこない訳ではない。缶ジュースくらいの持込ならお咎めもないだろうが、缶チューハイとなったら話は別だ。
「あー、もー!そんなんはエエねん!」
なっ!?いい事があるもんか!
怒鳴り飛ばそうとするのも構わず、忍足は教室の奥へと俺の背を押す。
「後でいくらでもお叱り受けるから、今はコイツを何とかしたって!」
さすがに外へ運び出すことはできなかったらしいグランドピアノの陰に隠れて、半分崩れるように座り込んでいるのは宍戸だった。
「…宍戸?」
明らかに普通ではない雰囲気に、俺は恐る恐る声をかけてみる。
すると、宍戸の虚ろな視線がゆっくりと辺りを見回し、やがて俺に焦点を合わせる。
そして、ふんわりと綻ぶように笑みを浮かべる唇。
「あー、あとべだー」
間延びした呼び声は、明らかに酔っているそれだ。
「…忍足?」
「みんな同じだけ飲んだんやで?まっさか宍戸がここまで弱いとは思われへんかったから…」
俺に何も言わせないように早口で言い訳すると、俺の背中を宍戸に向かって押し出す。
「ほら、宍戸!お待ちかねの跡部やで!」
「はあ!?」
忍足の言葉に俺は驚いて振り返るが、もう両脚は宍戸に拘束されていた。
「あとべー」
解けた髪もそのままに、宍戸は立ち尽くす俺の両脚にしがみ付くようにして抱きつく。
「何だってんだ!?」
こんな宍戸は見たことがない。第一宍戸が俺に抱きつくなんて事がありえないのだ。いつも必要以上に突っかかってきて、口ごたえばかりするコイツ。特に俺の言うことに関しては過剰に反応して、むしろ敵視されてるんじゃないかと感じるくらいだった。
その宍戸が…?
「さっきから『跡部呼んで来い』ってウルサイんや。あんまり騒ぐと先生らにバレるしな」
申し訳ないと顔の前で両手を合わせる忍足。周りのクラスメートも遠巻きにだが済まなそうな顔をしている。
ここで俺が放っておいたら、益々問題は大きくなっちまいそうだ。仕方がなく、俺は少し屈んで宍戸に聞いてみる。
「…宍戸。俺に何の用だ?」
すると宍戸は蕩けるように瞳を細めて、しがみ付いていた両腕を俺へと向けて真っ直ぐ伸ばす。
「あとべー。抱っこ!」
「なっ!?」
さすがの俺も言葉を失う。俺を無理やり連れてきた忍足も、もちろんクラスメートたちも、面食らって口をポカンと開き動きを止める。
「だ、抱っこだ?」
ようやく覚醒した俺が繰り返せば、「まだ?」と催促するように首を傾げながら真っ直ぐと腕を上げる宍戸。
その瞳は、俺の反応の無さに段々と潤んでくる。
や、やべー!もしかしてコイツ泣く気じゃねーだろーな!?
あんまりデカイ声出されたら、さすがの音楽室でも声が漏れるぜ!?
同じ考えに至ったらしい忍足は、教室の鍵を俺の手の中に押し込むと、大きく腕を振ってクラスメートに外へ出るように指図する。
「みんなここは跡部に任して、俺らはキャンプファイヤーだ!」
「何ーっ!」
俺1人に押し付けようってか!?
慌てる俺に、忍足はへらっと笑いながら頭を下げ下げ扉を閉める。
「悪いんやけど後は頼むわ。何か間違え起きても宍戸には自業自得だってちゃんと言うし。お好きにどうぞー」
「お、おい!」
扉は無常にも閉ざされた。
「…お好きにって。どうしろっていうんだ」
相手は女じゃねーんだぞ。宍戸だぞ?
どんな間違いが起きるってんだ。
あいつらの身勝手さに大きく溜息をついたら、俺のブレザーの裾をツンツンと引く宍戸の手。
コイツはまだ諦めずに両腕を伸ばしている。
いじけたように頬を膨らませ、上げ続けた腕はぷるぷると震え始めている。
…何としても「抱っこ」しなけりゃ諦めないらしい。
くっそー。
…可愛いじゃねーか!
「…抱きしめて欲しいのか?」
俺が確認するように聞けば、宍戸はこっくりと頷く。
「何で、俺に抱きしめて欲しいんだ?」
理由を尋ねれば、宍戸はボッと頬を染めながらも、酷く真面目な表情で口を開く。
「…あとべが、好きだから…」
拙く紡がれる言葉。
「…その言葉忘れんなよ」
俺は座り込んだ宍戸の身体を強く抱きしめてやった。
酔っ払ってるせいか、俺に抱きしめられて緊張しているせいか、宍戸の鼓動はとても速くて、つい俺にまで伝染してしまう。
初めて触れる宍戸の身体は想像していたよりも全然細くて、身長差は大したことないのに物凄く小さく感じる。
「あとべ…」
舌足らずな声は甘ったるく俺の耳元をくすぐり、体温が急に上がったように火照りだす。
俺の背に回された腕は色気のあるものでは決して無く、子供が親に抱きつくような、そんな無邪気さを感じる。
宍戸の唇からは満足そうな深い吐息がもれるが、残念ながら俺はこんな家族愛のような抱擁では我慢ができない。
今まで気づくことがなかった、俺の感情を掘り起こしてしまったのは宍戸自身だ。
俺は折角の機会に遠慮する気など毛頭ない。
忍足だって、後の口添えはすると言っていた。
まあ、そんな必要もないくらい、宍戸をその気にさせる自信はあるけどな。
ごろごろと猫が甘えるように抱きついてくる姿はとても愛らしいが、ここは心を鬼にして宍戸の身体をべリっと剥がす。
予想通り、その途端に宍戸の表情は曇った。
そんな素直な反応に俺は満足して、宍戸の頭を撫でてやる。
指の間を流れる長く真っ直ぐな黒髪が、こんなにもさらさらと涼やかであることを今始めて知った。
俺は宍戸の何も知りはしない。
素肌の感触も、この声がどこまで甘くなるのかも。
縋る指の強さだって、零れる涙の色だって知りはしない。
…急速に高まる独占欲と支配欲。宍戸の全てを見てみたい。
「宍戸。お前が悪いんだぜ?」
俺は不思議そうに顔を曇らせる宍戸を置いて、一度扉の鍵を閉めに立つ。
そしてすぐに宍戸の前まで戻れば、分かりすぎるほどはっきりと喜びの表情が浮かぶ。
忍足の言うとおりになるつもりは無かったんだが…。
「宍戸。俺のモノになっちまえよ」
今ここで手に入れると決めた。
ドア続きの音楽準備室に入れば、そこにはあまり使った形跡のないソファが置かれている。榊先生はいつも職員室にいるから、この部屋はほとんど物置と化していた。
少し埃っぽいが文句は言っていられない。床で抱くよりは幾分マシだろう。
「宍戸?立てるか?」
抱き上げて運んできた宍戸をソファの前に降ろせば、まだ酔いが残っているのかフラフラとソファに座り込んだ。
もしかしたら本当は立っていられるのに、酔いに任せて甘えているだけなのかもしれない。また1つ宍戸の一面を見た。
「お前がこんなに甘えたがりとは知らなかったな?」
着ているジャケットに手を掛ければ、少し恥らって見せるものの、直ぐに俺に委ねてされるがままに任せている。
宍戸のシャツのボタンを一つずつ外しベルトに手を掛ければ、俺はついぞ感じたことの無い高揚感に包まれる。
我慢できなくなって、俺は軽く開いた宍戸の唇をすばやく奪ってしまう。
宍戸は一瞬驚いた瞳をしたが、すぐに嬉しそうに眦を下げた。
「…まったく綺麗な肌なのに傷ばっか作りやがって」
生まれたままの姿になった宍戸を、俺は上から下まで舐めるように観察してやる。
肘や膝に傷跡は集中し、何の跡もない腹や臀部との対比がエロティックだ。
「お前、どうやってこんな所に傷つけたんだ?」
何故だか胸には小さな傷跡が一つ。
俺は唇を寄せて、その跡に舌を這わせる。
「あ、ぁ…」
宍戸は身体を強張らせて軽く仰け反った。
視界の端で、ピンク色に艶めく乳首がツン…と震えるのが見える。
「ここ、舐めて欲しいか?」
その尖りを指先で押さえるように触れてやれば、躊躇うように視線を逸らした後、それでも小さく頷く。
「…今日は素直なんだな」
喧嘩腰で突っかかってくる宍戸も実は結構可愛いと思っていたが、頬を染めて従順に頷く姿は格別だ。
俺はゆっくりと見せ付けるように、舌で先端に触れる。宍戸の身体がビクッと跳ねた。
淡い縁取りをなぞるように舌先を滑らせれば、おずおずとその手を伸ばして俺の頭を抱き寄せる。
「…ちゃんとして欲しいか?」
こくん…と頭を下げる宍戸。
俺も段々貪欲になっていく。
「ちゃんと言ってみな?」
「…意地悪だ」
焦れて俺の耳元で拗ねる声。そうなると益々言わせたくなるのが男ってもんだろ?
「乳首、どうして欲しい?」
宍戸は諦めたように呟いた。
「もう、バカ…。ちゃんと舐めてェ…」
ぐすんと、鼻を啜りながらのお願い。
…何なんだ。この可愛い生き物は!
これ以上焦らすことができなくなったのは俺の方だった。
目の前で震える尖りに強く吸い付く。
チュっ…と音が零れれば、宍戸は気持ち良さそうな吐息を洩らす。
「あ、アぁ…ん…」
途絶えることの無い甘い声。
俺は吸い付いたり舐め上げたり、時に歯を当ててみたりと、宍戸の声を紡ぎだすのに夢中になる。
左右の胸を順に可愛がってやっていれば、次第に宍戸の中心がフルっと震えて立ち上がり始めた。
「こっちには全然触ってないのに、もう勃ってるぜ?」
「…ア、いやぁー」
俺の言葉にすら感じて、その中心は尚のこと身を擡げていく。
…ああ、ったく。マジで苛めたいタイプだなこいつは。
「こっちもしてって言ってみろよ?」
「…あ…?」
宍戸が熱に浮かされたような目で小首を傾げると、さらりと揺れた黒髪が今まで苛めていた乳首を掠めていく。簾のように間から覗くピンクの艶めき。
肌の白さに、ピンクの尖りに、漆黒の髪。
「…最高にエロいなお前」
俺の呟きに、宍戸のモノはピクンと反応する。
そして、あっけなくそのお願いを口にした。
「こっちも、しゃぶって…?」
自分のものに触れようとする宍戸の手を軽く叩いて制止すると、俺は勢いよく、紅く震える熱に喰らいついた。
「ああっ!あとべ…!」
泣き叫ぶような宍戸の嬌声。
興奮のあまり、瞼の裏がきついハレーションを起こす。
気づけばただ貪るように、宍戸の身体を好きにしていた。
喰らいついた宍戸の中心は、泣いて嫌がっても弾けるまで離してやらなかった。
甘い蜜を飲み干した俺は、そのまま宍戸の身体を裏返し、後ろの入り口にまで舌を這わせる。
ソファの上に膝立ちになり、背もたれに縋るようにして尻を突き出す姿は、もう見ているだけでイってしまいそうなくらい強烈な色気だ。
「や、恥ずかしいっ」
自分の姿に、宍戸が泣き言をこぼすけれど、その言葉が余計俺を煽るだなんて気づいていないみたいだ。
必死に抵抗して窄まる口を、無理やり舌先で押し開いて唾液を送り込む。
「…慣らさねーと、傷つくだろうがっ」
俺の腕に抗って揺れる宍戸のモノに後ろから手を伸ばすと、やんわりと握って気を逸らせてやる。
狙い通り快感に力を緩めた宍戸は、俺の舌を全て受け入れた。
差し入れれば入れただけ飲み込んでいく。
この興奮、この快感。
少しずつ支配欲が満たされていく。
宍戸が俺を受け入れる。差し入れただけ受け止める。
ただ慣らすだけじゃなく己の欲を満たすために、俺は舌と合わせて自分の人差し指をも含ませてみる。
…どうだ?こんな貪欲に無理やりに入ろうとする俺を、お前は受け入れるのか?
宍戸は少し痛がって身体を強張らせるけれど、やはり逆らわずに身を任せる。
前を弄る指を少し乱暴に動かしてみたら、酷く感じてその背を反らした。
乱暴な気持ちが俺の中で吹き荒れる。
宍戸を滅茶苦茶にしたい。泣いたって嫌がったって、それでも俺を受け入れる表情を見たい。
舌だけじゃない。指だって、腕だって何だって。全てで宍戸の中に入ってしまいたい。
俺は自分の制服を脱ぎ捨てるために、一度宍戸の中から舌と指を抜いた。
すると、その内壁は惜しむように締め付けをきつくする。
ああ、いっそ宍戸が壊れても、その全てを征服して俺を受け入れさせたい。
こんな嵐のような感情を叩きつけるように、俺は軟らかく解れた入り口に自分の昂ぶりを押し当てる。
さすがに緊張したように、額をソファの背に押し付ける宍戸。
きっと「大丈夫だ」とか言ってやれば、宍戸だって安心するだろうに。
…でも悪いな宍戸。
俺は怯えながらも俺を受け入れるお前が見たいんだ。その痛みに泣きながらも俺を受け入れるお前を…。
俺は根元まで一気に宍戸を貫いた。
「ああー!!」
宍戸がガチガチに身体を強張らせて全身を反らす。
「宍戸っ、」
無理な侵入は宍戸を苦しめるけれど、それでも受け入れてくれる宍戸に俺は最高に感じている。
「い、たっ…!いやぁー」
痛がっても、口では嫌がっても、宍戸は本気では逃げ出さない。
可愛い…。
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い…!
もう、頭の全てが宍戸で塗りつぶされる。
何もいらないと思う。もう宍戸しかいなくていいと思う。
「…宍戸っ!」
泣き出したい気分だ。
嬉しいのに、大声で泣いてしまいたい。
こんなにも宍戸が好きだと知った。こんなにも全てが欲しい。こんなにも自分を受け入れてもらえる悦びに…!
気づけば本当に涙が頬を伝っていた。
「宍戸っ!後で覚えてないとか言うなよっ!」
酔ってたから記憶が無いなんて言わせない。
だから俺は、最後にひと際激しく。
一度抜いた熱で、勢いよく宍戸を挿してやった。
真っ暗な部屋の明かりが、パチンと音を立てて付けられる。
「な、何やの!?」
その部屋の惨状を見た途端に、忍足は手にした合鍵を落として素っ頓狂な声を上げる。
俺も明るくなって初めて、部屋の滅茶苦茶さに気づく。
ソファはあった場所から随分ずれて、あたりには二人分の制服が散らかっている。何であるかは一目瞭然の粘液がところどころに飛び散りこびりつき、汗に濡れた俺と宍戸はそれでもぴったりと抱き合っている。いや、正確にはソファに座った俺が膝に乗せた宍戸を後ろから抱きしめている。
「何しとんねん!もうキャンプファイヤー終わってもうたよ…!じゃなくて、せ、せめて服くらい着ようや!」
忍足も相当テンパっているらしく、右見たり左見たりとまさに右往左往している訳だが、それでも俺は宍戸を離さない。
「…忍足。ちょっとこいつ剥してくれ」
宍戸は忍足が来るまでに大分抵抗していて、もう諦めたような疲れた声で忍足に声をかける。
「…宍戸。大丈夫か?」
忍足の不安そうな声。
宍戸の声があまりにも掠れてるのに驚いて、本来真っ先に聞くべきだった事をようやく思い出したように確認する。
「俺は平気。平気じゃないのはコイツの方」
宍戸は呆れたような声で俺を指差す。
忍足は近づいて俺の顔を覗き込んだ。
「…跡部!?」
忍足は多分、俺の頬に涙の跡を見つけて驚いているんだと思う。もしかしたらそれ以前に泣いたことによって腫れた瞼に驚いているのかもしれない。自分ではよく分からない。
「…こいつさっきからずっと離してくんねーんだよ」
ぼやく宍戸はとっくに酔いから醒めている。
「ほら忍足も来たし、せめて着替えようぜ?…俺ちゃんと覚えてるし。これからずっと離れないって何度も言っただろ?」
宍戸が優しく俺の腕を撫でるから、俺は益々宍戸の身体を離せなくなる。
自分でもコントロールが利かないのだ。
好きで好きで。少しも離れていたくなくて。
俺たちの身体の間に涼しい空気が流れ込んで来ようもんなら、また感情が高ぶって涙が溢れてしまう気がする。
「…何がどーなって、こーなったん?」
忍足は俺たちの会話にすっかり話が見えないようだ。
それもそうだろう。
忍足が去った時は、酔った宍戸が慌てる俺にすがり付いて甘えていたというのに。数時間ぶりに戻って見れば部屋はこの通りの有様で、今度は困り顔の宍戸に俺が縋り付いている。
「…うーん。誰かが来れば、体面気にして跡部も普通に戻るかと思ったのに」
宍戸はぽんぽんと俺の腕をたたく。
こんな事すら俺は胸が締め付けられるくらいに嬉しくて、少し湿った宍戸の髪に頬を埋めた。
「…跡部ずっとこの調子なんか?」
忍足の言葉に、宍戸は小さく頷いて答える。
「素っ裸にこの部屋だから今更お前には隠さないけど、跡部のヤツ俺を抱いてからずーっとこのまま」
分かってはいても、本人の口から聞けばさすがにショックなのか一瞬声を失うが、忍足はすぐに持ち直す。
「…跡部、宍戸の事好きなんか?」
俺に掛けられる忍足の言葉。
そう聞きたくもなるよな。だってさっき会った時は、俺は酔った宍戸を押し付けられて迷惑そうな顔をしていたんだから。
今となっては…。
「お前のお陰で気持ちに気づかされた。感謝してる」
俺が素直に礼を言えば、忍足はこの部屋の惨状を見た時よりも驚いて仰け反った。
「…跡部が礼を言った…!」
…失礼な物言いだな。俺だって感謝すれば礼くらい言う。
感謝することがあまりないから、言う機会もないが。
「まあ、こんな調子だから。悪いけど部室から予備のジャージ持ってきてもらえるか?さすがにこの制服は着られないし…」
宍戸は忍足に手を合わせる。
「…あ、ああ。そんなんはエエけど。跡部離れなきゃ帰れないやろ?」
二人がじーっと俺を見つめる。
分かったよ。少しだけ離れてやってもいいぜ。
「忍足の目の前で、宍戸が俺にキスできたらな」
「…!?」
俺の言葉に驚いたのは忍足の方だった。
宍戸はこの数十分の攻防で俺の言うことの滅茶苦茶さには慣れたらしく、小さく溜息を吐いただけで俺の腕の中でくるりと向きを変える。
「本当か?」
向かい合うようにして俺の膝に跨った宍戸は、呆れたように確認する。
「ああ。今度こそ本当だ」
さっきまでは、こんな会話をしては騙して、その身体を離してやらなかったからな。
「え、ええ!?」
忍足は見ちゃまずいと思ったのか、後ろを向いて顔を隠す。
それじゃー意味がねーんだよ。
「忍足、ちゃんと見てて証人になれよ。宍戸は俺のモノだってな」
「えー!?俺関係ないやん」
困った表情を見せる忍足に、宍戸も苦笑いで言う。
「忍足。今日の帝王はいつにも増して我侭だからな。聞いといた方が身のためだぜ?」
さっきからずっと俺の我侭を聞き続けた宍戸は、もう開き直っている。
忍足の返事を聞かないまま、宍戸は俺の頬を両手で包んだ。
そして、ゆっくりと顔を傾ける。
「お前だって、俺のモノなんだからな?」
唇が触れる寸前に宍戸が言ったその言葉。
壊れた俺の涙腺は、また一滴、頬に涙を転がせた。
「…かわエエな、跡部」
ちゃんと見ていたらしい忍足が、呟くようにそう言う。
今日だけは言わせておいてやる。
自分でもちょっと、今日はどうかしてるって思ってるんだ。
俺は宍戸の背に腕をまわして、力を込めた。
そんな俺の首に抱きついた宍戸は、小さく微笑んで呟く。
「跡部がこんなに甘えたがりとは知らなかったな?」
「甘えんぼ」は宍戸と見せかけて跡部でした。跡部、かつてないヘタレっぷりです。
酔い&H&かわいい宍戸をリクエスト下さったきなこ様、勢い余って跡部までかわいくなっちゃいました(汗)。
こんな跡部でごめんなさい…!
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
これらに関する苦情の拍手コメントはスルーさせて頂きますのでご了承ください。
■連絡事項などがありましたら拍手ボタンからお願い致します。
■当サイト文書の無断転載はご遠慮ください。
■当サイトはリンク・アンリンクフリーです。管理人PC音痴の為バナーのご用意はございませんので、貴方様に全てを委ねます(面目ない…)。
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