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アニプリネタです。
神尾が千石を意識しちゃった瞬間、みたいなお話です。


始まりの夜 (千×神)

ジュニア選抜合宿も大詰めの今日。
練習試合で見せ付けられた千石さんの鍛えられた筋肉。
関東大会で俺と試合してからまだそんなに経っていないのに、こんなに変わるなんて…。壇くんの話ではしばらくテニスから離れてボクシングをしていたらしい。
…かっこいいよなぁー。
パワーには定評があるあの桃城も圧されていたくらいだ。

千石さんのベッドの脇にしゃがみこむと、肌蹴た布団からのぞくその脚にジーっと見入る。
筋肉で盛り上がった太腿にふくらはぎ。
…同室で良かった。
そうじゃなきゃ間近で観察なんて出来ないもんな。
それにしても、本当に凄い。
俺は筋肉が付きにくいみたいで、石田の体格を羨んではみんなに苦笑いされていた。俺には筋肉は似合わないって、みんなが口をそろえて言うんだ。
そりゃーリズムにのるには体は軽い方がいいんだろうけどね。

じっと見つめる中、千石さんは急に俺がいる側に向かって寝返りを打った。
「!!」
そして腕を上げ自分の頬をポリポリ掻いたかと思うと、また深い寝息を立て始める。
…びっくりした。目、覚めたかと思った。
今の拍子に布団の上に出された腕。
Tシャツからのぞく二の腕もやっぱり綺麗な筋肉に覆われている。
もっと間近で見たくて、膝立ちになった俺は顔を近づけていく。
そして、覗き込んだ途端。
「うわっ!?」
今度こそ意志を持って伸ばされた腕は、俺の首の後ろに回されるとベッドに向かってグイっと引き寄せる。
「夜這いなら大歓迎だよ、神尾くん♪」
「わーっ!違います違います!」
お気楽な台詞に男らしい腕。
そのギャップにドキドキしながら俺は慌てて否定する。

「そんなに筋肉が見たかった?」
「…どこから気づいてたんですか?」
「俺の脚をじーっと見てた時から」
「…最初からじゃないですか」
「そうだね♪」
…もう、人が悪いんだから。
気づいてたなら言ってくれたらいいのに。そしたらちゃんと「見せてください」ってお願いしたんだし。
「まだ見たい?」
時計を見るともう夜中の1時だ。早く寝ないと朝起きられない。
「いえ、もう遅いんで…」
本当は触ってみたい気もしたけれど、千石さんを寝不足にする訳にはいかないし。今日は諦めることにする。
「いいの?じゃあ、最後にココ…見てみる?」
「ココ…?」
そう言って千石さんが指差したのは腹筋だ。
さすがにそこは本人の意思で見せてもらわないと、夜中こっそりと盗み見てたら俺は只のチカンになってしまう。
合宿が終わったら、もう千石さんと一緒に過ごすことなんてないだろうから…。
俺は千石さんの誘いを有り難く受けることにする。
「いいんですか?」
「どうぞー。自慢の腹筋見てやってよ!」
ぴょんと起き上がりベッドに腰掛けた千石さんは、勢いよくTシャツを脱ぎ捨てる。
両手を腰に当て、どうだとばかりに胸を張る千石さん。
自慢の腹筋と言うだけあって、シャープに絞られた中に浮かぶ筋肉の波はたまらなくカッコイイ。
「すごい…。短期間でこんなに鍛えられるものなんですね…」
「そうだね、正直俺もびっくりしたよ。途中からは無心でボクシングにのめり込んでたから、気づいたらこんなになってたって感じだけど」
「…触ってもいいですか?」
「いいよいいよ。遠慮なくいって!」
そっと指先で触れると、見ている以上に逞しく感じる。
ガチガチでマッチョな筋肉ってゆーんじゃなくて、柔軟な野性味を感じる体。
「いいなー」
何度も指を往復させる俺に千石さんはクスっと笑うと、今度は俺の手を取り指先を胸元へと導く。
「こっちもね、意外と筋肉付いてるんだよ」
引き寄せられて急に近づいた耳元を、千石さんの囁くような声が撫でていく。
「!」
ただ、綺麗に付いた筋肉を見せてもらっているだけなのに。
俺は変にドキドキし始めた心臓に戸惑ってしまう。
たった今まで積極的に体に触れていた自分が、なんだか恥ずかしく感じる。
…別に男として逞しい体に憧れてるだけじゃないか。気にするなよ!
そう一生懸命自分に言い聞かせようとするけど、一度気になると、もう千石さんの逞しい上半身はそういう場面での裸体としか見れなくなり…。
「あ、あの。ありがとうございました」
俺は慌てて手を引っ込めようとする。
けれど、すぐに千石さんの力強い手に捕まってしまう。
「…まだ、触ってないでしょ?」
「!?」
たっぷりと間を取って言う千石さん。
いつになく低い声に、驚いて顔を上げる。
その瞳は、さっきまでの能天気な表情じゃない。
微笑んでフッと細められた瞳には、俺なんかの知らない、テニスから離れたプライベートの千石さんを見た気がした。
「…ほら手を広げて、触ってごらん?」
千石さんの纏う濃密な空気に抗えず、俺は導かれるままにその肌を指で辿る。
体温の高い肌は少しだけ汗ばんでいて、それが余計に俺を混乱させる。
ドキン…ドキンと、自分の鼓動が頭の中で鳴り響く。
俺の顔が真っ赤に染まっているのなんて、いくら暗い部屋の中でも気づいているはずなのに。そんな俺に疑問を抱かない千石さんのこの行動は、やっぱり確信を持って行われているんだろう。
「ほら、分かる?俺も一緒だよ?」
そう言って最後に導かれた左胸は、俺と同じくらいのスピードで脈打っていた。
「…ね?」
首を傾げてはにかむ千石さん。
「…うん」

俺はされるがまま、ゆっくりとベッドに押し倒される。
今まで触れていた裸の胸が、強く俺を抱きしめた。
包み込む温かな体温。
甘やかな空気に、もう俺は逆らえない。



Genius139を観ての妄想でした。こんな会話がなされていたに違いありません(笑)。
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