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なんじゃこりゃ…の突発跡宍。
辛抱たまらん!の俺様跡部。宍戸は眼で物を言う。

続きは特に考えてないのですが、シーンだけが浮かんだので取りあえずUP。

じれったい視線(跡×宍)

刺さるような視線を、もうずっと感じている。
朝練から、休み時間から、放課後の部活中も。
毎日毎日毎日…。
でも、アイツは何も言わない。ただ見つめるだけだ。

いつもは思わず手が出るくらいムカつく絡み方をしてくるのに、この視線だけは不気味なくらい静かで、痛いほどだ。

「よし、準レギュは外周ランニングだ!」
指示を出す後ろから、また視線を感じる。あいつはコートの二面向こうで練習試合をしているはずなのに、まるですぐ傍にいるみたいに強烈な視線だ。

「3年Cチーム、1年の指導に入れ!」
くそっ、何だって言うんだ。いつもみたいにはっきり口にしたらいい。

「2年Dチーム!玉拾いのフォロー行け!」
お前は自分の試合に集中しろ!そんなんで全国を勝ち抜けると思ってるのか!?切り落とした髪が泣くぜ。

「そこっ!くっちゃべってる暇があんなら、走ってこい!」
イライラする。
その視線で、俺に穴でも開けるつもりか!?

「…何か、跡部の奴怒りっぽくない?」
小さく耳打ちし合う忍足と岳人の声すら、気にならないくらいだ。
今は何より、アイツの眼が癇に障る。

「まあ、思いもかけず…っていう全国やからな。気合入っとるんやろ?」
違う。そんなのは、全国は当然の事なんだ。
そんな事じゃねえ。
そんな事じゃ…!

「宍戸!!」

「…え?」

俺の声に、サーブの体制に入っていた宍戸が動きを止める。行き場を失くしたボールが2回3回と弾んで、転がり、止まった。

「何?」
「…何、だと?」

まるで分からないという顔に、腹立たしさが爆発する。

「おいっ!跡部!?」

足が勝手に動き出す。
岳人が通り過ぎる俺を振り返った。忍足も目を丸くしている。
準レギュもその他の部員も、何事かと動きを止めて見守る。

宍戸までもが。

俺は、時間が止まったようなコートを横切ると、宍戸の前に立った。

「跡部?」
「跡部?じゃねえ。いい加減にしろ」
「何がだよ?」

カチンと、火花が散ったように腹が熱くなった。
何が、じゃねえだろう?散々射抜くように見つめていたくせに。
どこに居たって見つけて、視線で追ってきたくせに。

「テメェは、じれったいんだ!」

「は!?」

頭を引き寄せた。見なれた帽子がスローモーションのように落ちる。
ドクンドクンドクン。
心臓だけじゃない。指先から手首から膝の後ろから、血液が異常な速さで巡っている。
汗で湿った背中に手を回した。

「ちょっ!」

宍戸が両腕を突っ張って、逃げだそうとする。
フザケルナ。何を今更。
締め付けるようにキツく、両腕を回す。

「何!」
「…じれったいんだ」
「だから、意味わからねえ!」

ああ!?無自覚なのか。余計に性質が悪い。
「テメェの眼は、じれったいんだ!」
「ァっ…!」
「あ、跡部!?」
部員が、叫ぶような声で俺の名を呼ぶ。
俺の所為じゃねえ、文句は宍戸に言ってくれ。

唇に噛みついた。
「んっ!」
宍戸がもがいて、逃げだそうとする。
させるかよ。
宍戸の顎を強く掴んで、無理やりに唇を開かせる。隙間を狙って舌をこじ入れた。
ぐちゅ、っと耳の奥から音が聞こえる。
すげえ、エロい。
宍戸と俺の重なった舌の間から、こんな音がするなんてな。
「て、めェっ!」
まだ話す余裕があるのか?そんな暇はやらねえよ、散々俺を焦らした罰だ。
「んンっ!」
美味いぜ、宍戸。
こんなに、キスってのはイイもんだったか?
ぶつかる唇の間から、俺達の唾液が溢れるのが分かる。
ダメだぜ、宍戸。ちゃんと飲んでくれなきゃよ。
滴の先を舌先ですくい上げて、その奥へと押し込む。
「グ、ぅ…」
苦しそうに、宍戸の喉が鳴いた。
ああ、宍戸。これ以上俺は中に入れないのか?
散々お前が誘ったんじゃねえか、中に入らせてもらうぜ?じれったい視線だけじゃ我慢の限界なんだ。
「あ、とべ」
「宍戸、責任取れ」
抱きしめた腕を、背骨に沿って下ろしていく。

「エエ加減にせいっちゅーのっ!!」
イイところで、力いっぱい頭を叩かれる。
「痛えな!」
振り向けば、忍足の野郎が自慢の眼鏡を振り落として俺の首に腕を回した。そのまま後ろに引かれる。
「ちょお、こっち来い!」
「ふざけるな!俺は宍戸に用がある」
「ふざけとんのはどっちや!?回り見てみい!」
「ああ?」
言われた通りに首を巡らす。
何だよ、皆して。そんな阿呆みないな面並べてるんじゃねえよ。
「今は練習中や。分ってるのか?」
「あ?練習してろよ。俺は宍戸に用があるんだ」
「…お前ねェ」
俺の言葉に、忍足が諦めたように絞める腕を緩めた。目の前の宍戸は岳人に付き添われながら、眉間に皺を寄せてた表情で立ち尽くしている。
「宍戸が悪い」
「…俺?」
俺は忍足に、宍戸は岳人に、その動きを拘束されたまま互いに睨みあう。
「もう、お前ら二人して部室帰っとけや。何があったか知らんけど早う解決してこい」
忍足は匙を投げて、俺達の背中をぐいぐい押し出した。
「ちょ、俺は関係ねえよ!」
「関係無いはずないやろ?じゃあ、何でお前は跡部にキスなんぞされてるんだ」
「知らねえよ!」
宍戸は抵抗して、岳人に視線を投げる。助けを求められた岳人は、どうしていいのか分からないというように肩を竦めた。
「知らねェなんて言わせねえぞ。来い」
悪あがきする宍戸の襟元を掴み、引っ張る。
「跡部!」
「いいから、来い」
「ふざけるなよ!」
だから、それはこっちのセリフだ。あの視線の意味を言わせるまでは、絶対逃がさない。

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