俺様！の授業（跡×宍） 2008/05/28 (Wed)

俺様！シリーズ（？）続編。

俺様！の授業（跡×宍）

「やあやあ宍戸。随分楽しそうな登校だったとか？」
「うるへー」
テニス部以外の生徒にまで、今朝の事をからかわれる。
偏見がない学校ってすごいなァって思うぜ。普通さ、ホモとか？そういうのって遠巻きに蔭口とか囁かれそうじゃん。でも、氷帝はすっごくナチュラルに受け入れられる。まあ、校風もあるだろうけどな。所詮は御坊っさまの集団だし？俺みたいな、間違えて入学しちゃったような一般人とは常識の基準が違うんだよ。
でもな、それだけじゃなくて、こんな簡単に受け入れられ、かつ祝福までされちゃうってのは、全てが「跡部様」だから。
跡部の熱狂的な信者は多いぜ？でもさ、そういうのは俺に攻撃を加えてくるものさ。あくまで陰湿に。まあ俺は物ともしないし、オープンに反撃すっけどな。
それよりさ、それ以外の人からしてみれば俺は体のイイ人身御供さ。気難しくて、我儘で、自分を中心に地球が、いや宇宙が回ってると信じ込んでいるような「何様、俺様、跡部様」が、俺を宛がっておくだけで上機嫌になると知れば…。そんな奴がいれば、俺でもそいつに熨し付けて差し上げちゃうわけよ。
というわけで、俺は見えない熨し付けられて跡部様に差し上げられちゃったわけだ。
みんなの結束力ってすごいぜェ。

「よう、宍戸。分らないことがあれば何でも聞けよ」
跡部が隣で、流し眼で微笑む。
「お、おう」

あの、先生！この状態にぜひ何か一言を！！
でも、先生は俺の必至の視線を見ない振りで、淡々と授業を進めていく。うん、真面目な先生だよな。意外と授業も分かり易い。
でもさ、ここは一声あげとくべきでしょ。

まずさ、俺このクラスじゃねえから。

机ごと担ぎあげられ、跡部の隣に連れて来られてる事に疑問を感じて欲しいわけ。
恨むぜ！クラスメイト！

「宍戸、喉が乾いたら言えよ。おいしい紅茶をすぐに用意させる」
「…おう」
おー、これが噂の跡部特別喫茶コーナー。
教室窓際の後方に跡部専用の喫茶セットを用意させるため、このクラスだけ極端に人数が減らされたんだ。何せ給湯設備からバッチリだ。これじゃあ生徒の机が置けない。

「ほら、宍戸。ここの綴りが違ってるだろう？」
「あ、ホントだ」
でも、ただのバカ殿様じゃないぜ、跡部は。頭はいい。
英語に始まり何ヵ国語も操る跡部にとっては、中学生レベルの英語なんてチラリと見ただけでもその間違えに気づいてしまう。
「ここも、複数形になるだろう？」
「…そうなの？」
「ああ。ここはだな…」
何気に跡部は教え方も上手い。懇切丁寧に、噛み砕いて説明してくれる。
ちょっと、いやかなり強引だけど、良く考えればすげえイイ奴、かも…？

「どうだ、分かったか？」
跡部は、シャーペンを持つ俺の手にそっと自分の手のひらを重ねる。
そして、ごく自然に握りしめると、俺の指先に唇を寄せた。
「ちょっ！」
ちょっと！教室ですけど！？って、大きな声で言ったら、余計注目を集めるよなぁ。
でも、教室中の奴らが俺達を意識してるのなんて、見なくても感じててさ。
「ったく、お前はテニス馬鹿だから。これからは俺が付きっきり教えてやる」
そう言った跡部が、今度は俺の頬に口づけた時には…。
全員の視線が俺たちをとらえていた。

みんな、すっげえ興味津津の顔じゃねえか！先生まで！
頬がカーッと火照ってくる。
「バカ跡部ー！！」
思わず、密着する跡部の体を突き飛ばしたら、跡部の奴、怒りもせずに言うんだ。
「ったく、何を照れてるんだか」

キーっ！！！

俺らきっと、今日中に、校内NO,1カップルに輝くだろう。