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前々日アップ済みImprison-監禁-(①千神編)の続きです。
R-18ですので苦手な方はご注意を。
~監禁シリーズ2~
越前はただ遠巻きに見守ることしか許されなかった。
足首には堅牢なつくりの足枷、両手首には後ろ手に手錠を掛けられ、全裸で苦しむ海堂の姿を。
「先輩、お願いだから…!」
近くに行かせてと、その熱を取り除かせてと、何度呼びかけても海堂は頷いてはくれず、熱に浮かされ潤んだ強い瞳で睨み返すだけだ。
「ねえ、楽にしてあげるだけだからっ!」
ここだけ聞けば先輩想いの優しい後輩のセリフだ。けれどそれは根底から誤っている。
「…てめェの所為だろうがっ!」
纏う布団も奪われてベッドの上に片膝を立て警戒する海堂の言葉が、真実だった。
ジョギング途中を何者かに襲われた海堂が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。平均より広い自室を持つ海堂でも、驚きに目を見張る豪華さ。どこかのリゾートホテルかもしれない、日本離れした空気感にただ呆然とするばかりだった。
呆然といえば、部屋よりもよっぽど自分の状態だ。素っ裸なうえに右足首に枷、両手首は後ろ手に繋がれている。背中は見えないから分からないが、この硬い感触はロープのような物ではなくいわゆる手錠だろうと、冷静に分析する。目が覚めたのも寝返りを打って痛んだ手首の所為だった。
もう状況が普通でないのだ。ここで慌てふためいても仕方がないと、海堂は自分の行動を思い起こす。
夕飯を終え、一休みしてから日課のジョギングに出かけたのが夜9時。いつものコースを辿り、河川敷に上がろうとした手前の暗闇で、数人の人間が近づく音を感じた。振り向こうとした一瞬の内に目隠しをされ、思い切り抵抗して腕を振り回したりもしたが、結局何か薬品を嗅がされたところで記憶は途切れる。
「…誘拐?」
きっと、それが答えだろう。
そう結論付けた時、ひょっこり部屋の扉から顔をのぞかせたのが越前だった。
「先輩、目、覚めました?」
パーカーにジーンズという寛いだ格好、そして全く緊張感のない声でそう言う越前に、コイツが犯人だと確信した。
それからもう軽く2時間は経過している。日は沈みかけ、明かりをつけていない部屋は薄暗くなった。
その中で荒い息を吐き続ける海堂。
「ねえ、抱かせて」と子悪魔のような微笑で近づく越前を不自由な身体でかわし続けた海堂は、数十分前とうとう痺れを切らした越前に正体不明の薬を塗られたのだ。しかも尻の中に。
傍を離れると見せかけた越前は、海堂が一瞬気の緩んだところを狙い、足枷を繋ぐ鎖を思い切り後ろに引いたのだ。そして海堂がうつ伏せにベッドに倒れたところに躊躇なく指を差し込んだ。曰く有り気な薬をたっぷり塗った指を。
「ぐぁっ!」
指を差し込まれた痛みに声を上げた海堂。
そしてその直後に襲ったのは、恐ろしい程の疼きだった。
「先輩!SEXしたらちゃんと治るから。ねえ、俺に任せて?」
目の前で苦しそうに、次第に膝を抱えるようにうつ伏せる海堂の姿に、越前は本気で不安になっている。
(どうしよう…、どうしよう!)
さっきまでは、海堂はその疼きに負けて直ぐに自分に身を委ねるだろうと浅はかな考えでいた。けれど、真っ赤に染まった頬が今度はだんだん血の気が引くのを見て、このまま欲望を放出しなければどうなってしまうのだろうと怖くなってくる。
今まで何度か遊びで使ったことのある、跡部が用意した薬。どんな男だって女だって、ものの数分で自分に脚を開いてせがんだのだ。抱いてくれと。
きっと海堂もそうだろうと思い込んでいた。
(それなのに…!)
一度身体を繋いでしまえば、部活でもそうであるように、困ったような表情をしながらも自分の願いを聞いてくれるだろうと。兄気質の海堂がいつも、生意気な越前を溜息を吐きながらも許してくれたように、自分の気持ちもいつか受け入れてくれるだろうと。そう思い込んでいた。
「先輩!」
けれどそこには、誰よりも自分を憎しみに満ちた目で睨みつける海堂がいる。拒絶される怖さと、海堂の身体がどうにかなってしまうのではないかという恐怖。
「先輩、お願いだよ!後から殴ってくれていいから、何されてもいいから!今だけは俺に任せてよ!」
ベッドに乗ることを全身で拒絶する海堂に、越前はベッドの傍らで説得することしか出来ない。見守ることしか出来ない。
「手前の仕業のくせに、偉そうな事言うな!」
「分かったから、お願いだから。…先輩の身体がおかしくなっちゃうよぉ」
大好きな先輩を手に入れたかっただけなのに、何でこんなことになってしまったのか。こんな風に苦しめたかった訳ではないのだ。
「…死んだって、手前の手だけは借りるもんかっ!」
(…死んだって?)
その言葉に越前の身体がビクンと震える。そこまで拒絶されたショックもある。けれどそれ以上の恐怖は、海堂ならば本当に死を前にしても自分に助けは求めないかもしれないということ。この頑なな心を持つ先輩は。
ただSEXすれば治るという薬が、いまは特効薬のない劇薬でしかないのだ。
海堂はきっと自分を受け入れない。そうしたら海堂はこのまま身体を壊してしまうかもしれない…?
(海堂先輩が壊れちゃうなんて!)
「先輩、待っててね!もうすぐ楽にしてあげる!」
海堂を壊してしまうわけにはいかない。ただその一心で、越前は階下に駆け下りた。
「跡部さんっ、跡部さん!」
ドンドンと、重厚な作りの扉を力任せに叩く。
「…ああ?千石が戻ったと思ったら今度は越前かよ。どうした?」
扉を開けた跡部は、吸いかけのタバコを片手に持った灰皿で消すと、かったるそうに尋ねる。
「薬が足りないってか?」
お盛んな事で、と冷やかし笑い飛ばそうとした跡部だが、越前のただ事でない顔色に表情を曇らせる。
「…どうした?」
駆けてきたからというよりも混乱によって声をなくしている様は、いつもの越前らしくない。日ごろ自信に満ち溢れた勝気な瞳は何かに怯えるように揺らいでいた。
「…先輩が、抱かれてくれないんだ」
その言葉に、さすがの跡部も驚いて声を上げる。
「あの薬でか?」
今までに数回試したことのあるあの薬。初めての時は、使った相手の気が触れてしまったのではないかと思うような激しい乱れ方を誘ったあの薬。
それを使われても、まだ誰かを求めずにいられるなんて。その精神力はいっそ不気味なくらいだ。
「先輩顔色が真っ青で…。でも俺じゃ嫌だって!死んでも嫌だって!」
両腕を取って激しく揺さぶりながら「どうしよう」と呟く越前。その姿に跡部は溜息を吐く。
「お前だってあの薬使ったことあるだろ?何人かは最初同じように拒んだじゃねーか。それでも狂ったりはしなかった。覚えてんだろ?」
「…でもっ!」
それとこれとは別だとでも言うのか、頑なに首を振る越前。
「…惚れた相手は別だってか?都合のいいこと言ってんじゃねーよ」
(そんな事分かってる!)
痛いところを突かれて息を飲む越前だが、今は呆れられても構っている場合ではない。大好きな先輩が苦しんでるのだから。
「分かってるよ!でも、助けてよ。先輩を助けて!」
薬の効果を中和させるものなど存在しない。
それを知っていて自分に頼む越前がいたたまれなくて、跡部は震える肩に優しく手を置く。
「…いいのか?」
跡部に助けを求めるということは、自分の代わりに海堂を抱いてくれとお願いしているも同然だ。自分の好きな人を、抱いてくれと。
「…いいんだ!俺の所為だからっ。先輩を楽にしてあげて!」
(仕方ないじゃないか…)
わずかに残る躊躇いを振り切るように、越前は大きく首を振ってそう言い切った。
扉を開いて跡部が先に部屋へ入ると、ベッドに丸まった海堂がビクッと身体を震わせて身を起こす。
続いて入った越前はこれから受け入れなければならない現実に、硬く瞳を閉じた。
「…越前っ!?」
海堂が叫ぶようにその名を呼ぶ。
「…ごめんね、先輩」
苦しめたい訳では無かった。ただ自分を受け入れて欲しかっただけ。幼すぎた行動を今更後悔したって遅いことが分かるから、越前は謝ることしかできなかった。
(ごめんね…)
そんな越前の態度をどう取ったのか、海堂の瞳はそのショックを隠せず呆然と見開かれる。「…えちぜ、ん?」
信じられないというように、零れる声。
海堂も理解したのだ。跡部は自分の熱を昇華させるために呼ばれたのだと。越前がそれを託したのだと。
あんなに越前を拒んだのは海堂自身なのに、こうして越前に謝られて苦しい自分がいる。海堂自身もその感情を持て余していた。
ただでも正常でない体調で、もう何が何だか、ただショックに思う自分が不思議でならなかった。
「ま、そういう訳だ。SEXしねーと治らないからなその薬は。不本意だろうけど俺に抱かれろよ」
羽織ったジャケットを脱ぎ落としながら、一歩ずつベッドへと歩み寄る跡部。酷く緩慢な歩みが海堂の恐怖を余計に煽る。
ドアに目を向けると、部屋を出て後ろ手に扉を閉めようとする越前の姿。
目の前には愉しげな表情で歩み寄る跡部。
「…越前!!」
海堂は飛び退くように跡部から離れると、大きく越前の名を呼ぶ。
「越前っ、越前!」
「…先輩?」
涙声の叫びに、驚いて振り返る越前。
「…お前がやったことだ!お前が責任取れっ!」
攻めるような言葉とは裏腹に、その震える指先は越前を求めて伸ばされていた。
「ほら、ご指名だぜ?」
跡部はククっと笑って脱ぎ捨てたジャケットを拾い上げると、すれ違い際にポンっと越前の頭を叩く。
「…跡部さん」
そのイタズラな瞳に、跡部はこうなることを狙って海堂のベッドに近づいたのだと、越前は気づいた。
「…ありがとう」
小さく声にすれば、跡部は歩き去る背中で軽く手を上げた。
「先輩、ごめんね?」
このまますぐにでも抱いて楽にしてあげたい、でもその前に一言だけ謝りたかった。
「俺バカな事してごめんね?でも海堂先輩が大好きな事は本当だから」
「…えちぜ」
海堂の言葉を聞き終える前に、越前は海堂を押し倒した。
手枷も足枷も解かれた海堂は、それでも大人しく越前に身を委ねる。
その艶やかな髪に指を絡め、越前は我慢できないようにその頭をかき抱くけれど、口づけは躊躇してそのくっきり浮いた鎖骨に唇を寄せる。
いつもTシャツの隙間から、タンクトップの隙間からちらりと覗いて越前を誘ったこのライン。次第にむさぼる様に吸い付いていく。
「えちぜ、んっ」
その激しい唇と胸を弄る性急な手つきに、薬に侵された海堂はすぐに熱を高める。
「ああっ」
大きくその背を反ると胸の突起がツンと尖り、越前は無我夢中でしゃぶりつく。
「…先輩っ」
ずっと触れたかった海堂の身体。
(ごめんね!)
もう、海堂を労わる余裕がないくらい幼い欲は暴走する。
左手を添えながら赤子のように胸に吸い付くと、右手は海堂の昂ぶりを求めて下腹部を彷徨う。
「…は、ぁっ」
その指先が触れただけで跳ね上がる海堂の熱。越前は逃さずそれを握り込む。そして、緩く強く、快感を誘うように擦り上げる。
「は、なせ!」
長い時間熱を孕み続けた身体は、僅かな刺激にさえもう耐えられなかった。
「…ああっ!」
きゅっと、海堂の先端に指先を押し当てた途端、熱い奔流があふれ出た。
自分の手を平を濡らす愛しい人の精液。
「…はあっ、はァ」
荒く息を吐く海堂の傍らで、越前は恍惚とその濡れた自分の指を見つめる。
(海堂先輩の…)
そして、舌を這わせる。
大好きな大好きな人が自分の手で感じてくれた証。たとえそれが薬のためだといっても、越前は無造作に拭き取ってしまうなんてことは出来なかった。
「…バカがっ!」
海堂はそんな越前の手を引っ手繰るように手繰り寄せると、撓んだシーツで拭ってやる。そして、少し悲しそうに眉を寄せた越前を、抱き寄せるようにして自分の元へ引き寄せる。
「俺を抱くんだろう?」
そんな急速に熱を失っていく粘液に執着してないで、こちらに集中しろとでも言うように脚を開いて誘う仕草。
「…先輩!」
呆気なく堕ちる越前。
うつ伏せて尻を上げる海堂を、後ろから抱きつくように突き上げる越前。
「くっ、あ!」
海堂の唇から零れる声は最初から快感だけを追い、越前が心配したような苦痛の声は聞かれなかった。
「先輩っ、先輩」
何度も腰を打ちつける越前の声は次第に泣き縋るように震えて、海堂は心配そうに振り返る。
「先輩、ごめんねっ。先輩、先輩…」
うわ言のように呟かれるその声に、海堂の胸は締め付けられるように痛んだ。
「あの、ね。俺っ」
「もう、いいからっ。何も言うな」
海堂が大好きだという感情に、純粋に海堂を抱きたいという気持ち。薬のために海堂は自分を受け入れてくれているのだと言い聞かす気持ちに、ひたすら自分の浅はかさを悔いる気持ち。
色々な感情に囚われて泣き出しそうになる越前を抱きしめようと、海堂は繋がったまま身体をゆっくりと仰向かせる。
そこにはもう、顔をぐちゃぐちゃにして涙する越前の姿が。
「…ったく手前は世話が焼ける…」
一度放って少し落ち着いた海堂は、ぶっきらぼうに越前の頭を撫でると勢い付けて身体を起こす。
「…うわっ」
反動で仰向けに倒れた越前に跨るようになった海堂は、ベッドに手を付き自分の身体を支えると、ゆっくりと腰を浮かした。
「ったく、こんな事まで面倒かけてんじゃねーよ…」
そう言うと、驚きに目を見開く越前の上で。
激しく、そして淫らに身体を躍らせ始める。
そしてa confidential talk。密談…。
トントンと扉を叩く音がしたと思ったら、答える間もなく跡部が部屋へ入ってくる。
「跡部さん…」
当然くたくたに眠り込む海堂とその隣で海堂を見守る越前というイメージを描いていた跡部は、全く逆の状況に溜息を吐く。
そこには、すよすよと安心したように眠る越前と、隣でその髪を撫でてやっていた海堂の姿があった。
跡部の侵入に慌ててその手を引く海堂だが、見逃さなかった跡部はニヤっと笑う。
「で、どうよ体調は?」
あえてその仕草については話題にせずに、薬の影響について聞く跡部。海堂は軽く咳払いをして気を落ち着かせると、もういつもの声でそれに答える。
「特に問題はないっス」
「それなら良かった。自分のとこから病人出したら聞こえが悪いからな」
海堂は、その言葉で初めてここが跡部の屋敷であることを知った。
まったくこんな誘拐、監禁紛いな事をしてどういうつもりなのかと尋ねたいことはたくさんあるけれども、そういえば先ほど何か話そうとした越前の言葉に聞く耳をもたなかったのは自分であることを思い出し、開きかけた口をもう一度閉じる。
そんな海堂の気持ちを知ってか、跡部は苦笑いを浮かべた。
「とんだ無鉄砲な小悪魔だが、お前に惚れてる気持ちは本物だ。こんな事しておいて言えた義理じゃねーが、受け入れてやって欲しいんだけどな?」
ポカンと口を開けて眠りを貪る越前の鼻を摘まんでイタズラをしながら、跡部は言う。
「…満更でもねーだろ?ここまで思われたら」
「…!」
やはりさっき越前の頭を撫でる仕草を見られていたのかと、海堂はカアっと頬を染めるが、眠る越前を見下ろす跡部の瞳が存外に優しいのを感じると、海堂は正直な気持ちを打ち明けていた。
「正直、可愛いっすよコイツは。普通の後輩としてではなく、特別扱いしているのは認めます。ただ、こういうのは考えたこともないっすから…」
当然といえば当然の言葉に、跡部はハハっと笑うと今度は海堂の頭にポンッと自分の手を置いた。
「あれだけのことをされて、そこまで言えるお前は大物だよ。こいつとお似合いだと思うぜ?俺は」
そう言って背を向ける跡部。
「まあ、しばらくゆっくりしてけよ。家には適当に連絡しといてやるし。あと、腹減ったり何か必要になったら内線鳴らせ。執事に連絡がつく」
それだけ言い残すとさっさと部屋を出て行く後姿に、海堂はただ「ハァ」と溜息をついた。
あれだけ悠然と構えられたら、責める気すら萎えてしまう。
「金持ちのすることは、良くわかんねェ」
それが海堂の結論だった。
監禁第2話はリョ海でした。本当はもうちょっとHを掘り下げたかったのですが、あれ以上書くとリョーマがとんでもなくヘタレになりそうだったので挫折…。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
これらに関する苦情の拍手コメントはスルーさせて頂きますのでご了承ください。
■連絡事項などがありましたら拍手ボタンからお願い致します。
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