ラブ★ゲームのおまけ （宍戸総受） 2007/03/06 (Tue)

前々日アップ済み「ラブ★ゲーム」のおまけです。

　

ラブ★ゲームのおまけ　（宍戸総受）

部屋を飛び出した俺は、すぐに左に折れて吹き抜けの玄関ホールを目指す。
バタバタと俺を追いかける足音がする。
奴らの姿が見える前に、俺は急いで玄関の扉を開け放った。
途端冷たい風が吹き込むが、俺はそれを避けるようにして今度は跡部の部屋から最も遠い、玄関ホールを挟んで反対側にある廊下を目指す。
開いた玄関のドアは囮だ。外に逃げたと思わせる算段だ。
毛足の長いじゅうたんは、俺一人分くらいの足音なら消し去ってくれる。
突き当たりの奥から3番目のドア。俺は躊躇うことなく飛び込んで、音が出ないように慎重にドアをしめ鍵をかける。
以前に使用人の人から教えてもらった空き部屋だ。使わなくなった家具や、跡部の昔の教材なんかを仕舞っておく部屋らしい。
でも、それだけなら俺はこの部屋を選ばなかった。
俺がここを選んだ本当の理由は、部屋の中から隣の布団部屋に入れて、しかも廊下から直接布団部屋に入る鍵は以前に紛失しているから。つまりこの布団部屋に入ってしまえば、俺を捕まえるには物置部屋の鍵と中から続く布団部屋の鍵が必要ってこと。でも物置部屋から直接続くドアには布団部屋からの内鍵しか無いのだ！
俺はゆっくりと内鍵をかける。これで安全。俺がこの内鍵を開けない限り、ここへは誰も入れない！
やっと床に座り込むと荒い息を整える。
あんまりに必死に走ったから上半身裸なのに暑いくらいだ。

それにしても、あいつらはなんだってあんなに俺を目の敵にするんだ？からかうにしたって、一人を集中的になんて卑怯だよなぁ。
今日はマジ疲れる…。

鍵の理由だけでこの部屋に飛び込んだけど、そういえばここは布団部屋だ。当然布団がたくさんある。
…ちょうど良い、一眠りしてしまおう。
俺はごそごそと手近な布団を広げるとその上に横になり掛け布団を引き上げる。
あー気持ちいい。少し…眠っちゃえ。
そう思って目を閉じると…。

ギギ…と布団部屋の廊下に通じる扉が開く。

何で！？鍵無いはずだろ！？
咄嗟に飛び起き、俺は片膝を立てて構える。
「残念だったな、宍戸」
ゆっくり開いた扉の向こうには跡部と、その後ろには従えるように4人の姿が…。
「跡部っ何で！？」
「あーん？こんな事もあろうかと思ってな、鍵を付け替えておいたんだ」
「なんだってー！？」
もう、一気に力が抜けた。

「亮ちゃん捕まえたー♪」
俺が座り込んだのを合図にジローが飛びついてくる。
「おあっ！危ねーよ」
「捕まえたで～」
忍足も真似して飛び掛る。
さすがに二人分の重みには耐えられなくて、広げた布団に仰向けに転がった。
「宍戸さん捕まえましたよ！」
長太郎まで俺の横に座り込む。
「じゃー俺も！」
岳人は勢いをつけて飛んでくる。
「うわ、バカやめろ！」
俺の静止を聞かず、結局一番上に岳人が飛びついた。
「つっかまーえた♪」
楽しそうなみんなの顔。
「なんだよ、いつの間にか鬼ごっこになったのか？」
最初の目的なんて忘れていそうなみんなに、俺まで可笑しくなってくる。
「ま、そーゆー事だ」
最後に跡部が笑いながら横にきて、俺の隣に寝そべった。
「ったくお前らは…」
俺は呆れながらも、みんなの表情を見回す。
何だよ、この笑顔！俺をダシにしてただ楽しみたかっただけじゃねーの？
みんなに抱きつかれて、まるで何匹もの大型犬に懐かれてる気分だ。
急にこいつらが可愛く思えてくる。
「ハハっ！まったくタチが悪いーよ、お前ら！」
俺は一番近くのジローの顔をつかまえて、その頬にブチュッとキスをしてやった。
「宍戸！？」
びっくりしたように身体を起こすから、上に乗った忍足と岳人が転がり落ちる。
そんな二人も捕まえて、同じように頬にキスをする。
「宍戸っ！」
忍足は目をまん丸にする。
「わー！やめれ～！」
岳人は嫌がる素振りを見せながらも楽しそうだ。
傍にいた長太郎も捕まえて額にキスする。
「宍戸さん！」
バカかこいつ、泣くなっての！
「あーとーべー！」
一番俺を怖がらせた跡部には、とっておきのキスをくれてやる！頬を両手ではさんで特濃のディープキスだ！
舌を絡めてやったら、さすがの跡部も真っ赤に頬を染めた。
パァっと勢いつけて唇を離すと、ぽかんと俺を見つめる跡部。
なんて間抜けなツラだよ。
「バーカ。みんなして俺をからかうから、お返しだ！」
少しは驚けばいい！バカヤロー！