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CP注意!リョ宍ですよー。
傍若無人なキス (リョ×宍)
「宍戸さん」
使い慣れた地元の駅の階段を下りきった途端、目の前の地図看板に寄りかかるように足を投げ出していた越前が俺の名を呼ぶ。
「…越前」
あーあ。そんな予感はしてたんだよ。
俺が足を止めたのを2、3歩置いていく形になった岳人とジローが、不思議そうな顔で振り返る。
「どしたの、宍戸?…あ、青学の越前くん」
ジローは俺の姿の後ろに越前を見つけたみたいだ。
「ホントだ」
岳人も驚いたような目をする。
だって、この駅は青学に通うヤツが使う路線じゃないし。
そもそも越前は電車通学じゃない。
「…ちーっす」
無愛想な態度ながらも頭を下げる越前。
「宍戸を待ってたの?」
ジローが尋ねれば、越前は小さく頷いた。
「そっか。じゃ、俺たち先帰るよ」
岳人はそう言って俺と越前に軽く手を上げる。
…いや、ここは一緒にお茶するとか言ってくれるとタイヘン助かるんだが。
「そだね。宍戸またね!越前くんもバイバーイ」
ジローまで明るく笑って手を振った。
なんだよ。あっさりしてるよなぁ。俺は仕方なく、背を向けようとする二人に「じゃーな」と手を上げた。
そして振り返れば、すっ…と斜め後ろに寄ってくる越前。
「…マックでも入るか?」
溜息ながらにそう言えば、越前は頷いた。
こんな風に越前と出くわすのは、もう3度目になる。
1度目は偶然。ちょっと長めのジョギングで川沿いの道をいつもより遠くまで走ったら、帰宅途中の越前に出くわした。
お互い顔と名前くらいは一致してたし、ばっちり目が合ったのにシカトするのもおかしな話で、俺が「よお、越前じゃねーか」って声かけたら、少し照れくさそうな顔して「コンバンワ」って頭を下げた。
それだけだぜ?たったそれだけ。
それなのに、何をそんなに気に入ったんだか。
2度目に合ったのは、今日みたいな待ち伏せだった。
やっぱり今みたいに、小さいけど良く通る声で「宍戸さん」と一言。
雑踏の中で、不思議にその声だけが俺の耳にすうっと入ってきて、考える前に振り向いていた。
でも、会話なんてある筈もない。俺だって余計なことをぺちゃくちゃ話すタイプじゃねーが、越前は輪を掛けて口数が少ないんだ。
先週のあの日も、こうして弾みもしない会話を無理に繋いで、向かい合ってポテトを摘まんだっけ。
まあ、何だ。
俺ははっきりしないことが大嫌いなんだ。
どう見ても「お友達になりましょう」って雰囲気でもないし…。
俺は面倒になって、目の前でハンバーガーにかぶり付く無表情に、モノのズバリと聞いてみる。
「俺に用があんじゃねーの?」
すると越前は、相変わらずの表情で首を傾げた。
「いやさ。お前が待ってたんだろ?そんな不思議そうな顔されても俺は困っちゃうわけ」
言った後、ちょっとキツイ言い方だったかなって心配になったけど、越前は機嫌を損ねるでもなく、ただ一言呟く。
「会いたかった、だけ…?」
「…自分の事なのに、何で疑問形よ」
まったく。青学のルーキーはとんだ不思議ちゃんか?
仕方ないから、俺はまた自分から質問をする。
「この駅は良く来るのか?」
「…いや。偶にしか」
「夕飯前にそんなに食って平気か?」
「平気っす。俺けっこう食べるよ」
「炭酸好きなのか?この前もそうだったな」
「うん。ファンタが一番好きだけど」
ふーん。意外と聞けば話すなコイツ。
「部活楽しいか?」
「まァ」
「誰が一番強い?やっぱり手塚か?」
「うん。でも不二先輩にも勝たせてもらえない」
そう言って、面白くなさそうに少しだけ眉をしかめた。
何だコイツ、可愛いじゃねーか。物凄い無表情かと思ったけど、結構表情豊かだし。いつも俺の回りにいるのがあの騒がしいメンバーだから、ちょっと感覚鈍ってたかも。
「この前帰り遅くなって、家の人に怒られなかったか?」
「全然。ストリートテニスとか行ってると、もっと遅くなるし」
「誰と行くんだ?」
「大体、桃先輩かな?」
なるほど桃城ね。あれくらい明るいヤツなら、この生意気な1年坊主ともバランスが良いのかもな。
「兄弟いるのか?」
「いない。一人っ子。でも猫いるよ」
何!?それは羨ましいぜ。さすがに犬と猫両方はダメだっておふくろに言われて諦めたけど、猫もかなり好きだ。
「名前は?」
「カルピン。ふわふわで大きいよ」
「…羨ましい」
「見に来る?」
「いいのか?」
ふわふわだってよ。いーなぁ。撫で回してやりてー。
「…今から来る?」
そう言って首を傾げる越前。
途中からこっちも楽しくなって質問攻めにしちまったけど、ちょっと気づいたことがある。
なんかコイツ、だんだん話し方幼くなってねーか?さっき岳人とジローに挨拶した時はもう少し先輩と後輩って感じの距離感で…。
あ、何かイヤな予感する。
これって、長太郎が懐いてきた時と同じ感じがする。
「ねえ、おいでよ?」
越前は焦れたように、コーヒーの紙コップに添えた俺の腕を揺すった。
「…ああ。家の人に迷惑にならなきゃな」
そう答えながらも、俺の頭は上の空だ。
目の前には、初めて見せる楽しそうな越前の笑顔。
…ああ。なんかマズイ気がする。
いつもは使わない電車を使って見慣れない駅に降りると、越前は俺の手を引きながら前を歩いていく。
「…越前。手は繋がなくても平気だぜ?」
「ん?うん」
さすがに中学生男子が手に手を取り合って帰宅とは、顔から火噴くみたいに恥ずかしくてそう言うが、越前は生返事で聞き流す。
あー、やばいやばい。
握る手に急に力を込めてくるあたりが、ツボに入る。
いや、何だ。基本的に後輩の面倒見るのは好きなんだよ、これでも。
ましてや、甘えられたりした日にゃ…。
長太郎は同じ部活で、甘やかしたらダメだって自分で言い聞かせて距離感保ってるけど、越前はそんな心配ないじゃねーか。厳しい先輩は学校に行けば大勢いるんだ。
ただ、猫可愛がりに可愛がっていい相手なんて今までいなかったから、何だかヤバイな。俺、下の兄弟がいねーから、憧れだったんだよ。弟とか。
美人なイトコの姉ちゃんとやらに、やたら歓迎されて部屋に通されれば、寝乱れたままのベッドの上にフワフワの塊を発見。
「わ、本当にふわふわだな?」
丸まった背中が寝息に合わせて小さく上下している。
「カルー?ただいま」
越前は腕を伸ばして、熟睡していた猫を抱き上げる。
あーあー。折角寝てたのに。
でも、猫は嫌そうな素振りも見せずに、寝ぼけ眼で「ホァラ」と鳴いた。
「はい、宍戸さん」
ダラーンと抱かれたままの猫を、越前は俺の方へと差し出す。
「知らない奴だから、怖がられるかな?」
ちょっと心配だけど、この可愛らしさには適わない。俺はふわふわの塊を受け取ると、おっかなびっくり胸に抱きこんで床に胡坐をかいた。
物慣れない抱き方なのに、カルピンは全く動じない。膝の上でもぞもぞと身体を捩ったと思ったら、俺の腕を枕と決めたのか、そのまま丸まって目を閉じる。
「…寝ちまった」
「本当だ、珍しい」
越前は驚いたみたいだけど、少し考えるような素振りを見せてからすぐに頷いた。
「きっと、俺が宍戸さんを好きなのが、カルピンにも分かったんだよ」
「…はい?」
…何だかナチュラルに、物凄い事言いませんでした?
好きって、好きって…。
そう、あれだよな!先輩として話しやすいとか、そーゆー意味の好きだよな。きっと。
一瞬パニックを起こしそうになっちまった。
俺が1人納得してうんうんと頷くと、越前はえらく勝気な笑みを浮かべて俺を真っ直ぐ見つめる。
「あのね、宍戸さん。俺気づいたんだ」
「…え?」
「さっき宍戸さん、何か用があるんじゃないのかって聞いたでしょ?」
「……」
あ。また嫌な予感だ。
言うな。言わなくていい…!
「俺ね、」
…何か波乱の予感がする。
「俺、宍戸さんが好きなんだ。お付き合いして欲しいって意味でね!」
ああー…。言いやがったコイツ…!
俺は猫を膝に抱えたまま、ダラダラとかきなれない汗を流している。
何と言えばいいだろう。
そりゃ、俺も越前って結構可愛いなって思い始めてたぜ?でも、意味が違うだろ?
固まってしまった俺を他所に、越前は楽しそうに続ける。
「最初に会った時、宍戸さんが声かけてくれたでしょ?あの時自分がどんな顔してたか覚えてる?」
…いえ。全く。
「覚えてないの?すっごくにっこり笑ったんだよ!」
…にっこり、ですか?ついぞ表現されたことのない言葉なんですが。見間違えでは…?
「何だか良く分からないけど、もう一度会いたいって思ったのは、あの顔が見たかったからなんだ」
…そ、そうなんだ?
「だから、付き合おう?」
「……」
ん?「だから」の意味が分からん。
「聞いてる!?」
越前が俺の腕からカルピンを奪い取って詰め寄ってくる。
これ以上びっくりさせるなよ!
「聞いてる…!でも何で話しが『付き合う』になるんだ!?」
近づきすぎた顔から逃げるように後ろに仰け反ったら、ますます越前は乗り出してくる。
「何でかって?だって俺が惚れたんだもん。宍戸さんが俺に惚れない訳ないじゃん」
「はあ!?」
何だこのガキはっ!
こんなんじゃ、うちのバカ帝王と同じレベルの「俺様」っぷりだぜ!?
「もー、いいじゃん。宍戸さんは俺の言うこと聞いてりゃいーの!」
「…なっ!?」
無茶苦茶だな、こいつ!
越前の傍若無人っぷりに言葉を無くしてたら、俺は勢いよく床に押し倒される。
「このまま。少し黙ってて…」
…ああ、嫌な予感がしてたんだ。
俺は、小さな身体に圧し掛かられるようにして、唇を奪われた。
ちょっと前に拍手にてリクエスト頂いたリョ宍でした。初です、初。
素敵サイト様でリョ宍を読むのが大好きなのですが、如何せん数が少ない。マイナーですもんね。てな訳で自分で書いちゃう。もう自給自足ですね(笑)。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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