忍足の恋路 （忍×岳）～女体シリーズ２～ 2007/04/12 (Thu)

女体注意報です！岳人が女の子です。苦手な方はご注意ください。
女の子なのに一人称は「俺」です。名前もそのまんまです。ムチャクチャです…！

先日アップ済み「岳人の受難」の後日談です。

忍足の恋路　（忍×岳）

「やっと、ここまで来たなぁ」
忍足が呟けば、隣で眠りに落ちた岳人は小さく身体を震わせる。
それでも目覚めない頬に触れ、そのままゆっくりと手を滑らせる。
首筋を辿り、華奢な肩を越え自分のものより柔らかな腕へ。
すると岳人は反射的に、自分の小さな胸を隠すようにして丸まった。
「…ここはまだ、許してくれへんのか？」
忍足は、自分が半年前に放った言葉を思い出す。
「女の子に対して、貧相な身体…はないよなぁ」
岳人の気を惹きたくて必死だった自分。
学園中の誰もが、幼くて愛らしい岳人に優しかったから、冷たくすれば注目してくれるかも、なんて。あの浅はかな考えの日々。

岳人を日吉に取られたかも…と焦って、初めてキスを奪った日。
あの日からしつこく追い掛け回して、ようやく今日、自分を受け入れてくれた岳人。
「でも、胸にだけは触れさせてくれへんのやなぁ」
初めての経験にがちがちに身体を硬くする岳人を安心させたくて、細い身体を撫でてやろうと手を伸ばしたら、岳人はすっと横を向き忍足の手を避けた。
その時は胸に触れようとした訳じゃなかった。けれどそんな仕草を少しでも見せれば、岳人は逃げるように身体を逸らした。
最後まで頑なにキャミソールを脱がなかった岳人。
「なんや、キスを嫌がられるみたいにショックやわぁ」
自分を受け入れてくれても、岳人の心に触れることは拒絶されたような気がして。

ようやく傍に居ることを警戒されなくなった、この前の夏祭りの夜。
浴衣姿で抱きしめると、珍しく頬を染めてその胸を押し返さなかった岳人。
『…何か女扱いされてるみたいで、照れくさいな…』
そう言ってはにかんだ。

「なあ岳人？俺はそれまで、どんだけお前を傷つけた？」
そんなに女性として扱ってなかったか？
そんな事言わせてしまうくらい、お前から女性としての自信を奪ってしまっていたのか？
忍足は寝息を立てる唇をそっと撫でる。

水泳の授業を楽しみにする岳人は、滝が憂鬱だと零したのに本気で驚いていた。
『滝はスタイル良くて男子の注目の的だから、恥ずかしいよな』
同情するような表情。
『俺のことなんて誰も女として見てないし。全然気にならない』
自分の事を気かれれば、卑屈な態度では全然無く、心の底からそう答えた岳人。

「なあ、岳人？お前はぎょうさん男の視線集めてるんやで？自分は可愛いんだって、もうそろそろ気づいてもええんちゃう？」
指先をそっと差し入れれば、ちゅっと吸い付くピンクの唇。

夏休みの最後の日。こんがりと小麦色に焼けた肩に唇を寄せたら。
『そんなのは女の子にしてやれよ！』と笑った岳人。
そしてその後『あ、俺も一応女か？』と、思い出したように苦笑した。

「岳人。何度も好きだって言ってるやないか…」
汗に濡れ張り付いた前髪をかき上げれば覗く、広く形の良い額。
余計に幼く見せるその額に、忍足はそっと口付ける。

そして今日。
『何で俺なんか抱きたいんだ？お前って変わったヤツだな？』
そう困ったように笑って、ようやく身を任せてくれた岳人。

「でもな岳人。いつか本当に、心から俺に抱かれたいって、そう言ってくれな？」
こんな友情みたいな、同情みたいな関係ではなく。

「俺が好きだって、早う聞かせてな？」