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注意!女体モノです。

苦手な方はご注意ください。

プールサイド 1(青学&氷帝オール)
~女体シリーズ7~

9月に入ったというのに、見上げれば相変わらずの入道雲で、そろそろ勘弁して欲しいなと思うくらいの暑さが続く。梅雨明けが8月までずれ込んだ時には散々待ち望んだはずの夏なのに、人というのは勝手なものだ。
宍戸は苦笑いで空を仰ぎ、落ちそうになった麦藁帽子を抑えた。
「宍戸ーっ!久しぶり!」
その時、背中から届く底抜けに明るい声。宍戸は振り返り、そして嬉しそうに目を細める。
「おっす!よく来たな!」
そこには青学テニス部のメンバーが並んでいる。
「今年は水着着る機会が無いかもって思ってたんだけど、良かったにゃ~♪」
眩しい太陽光の下、まるでモデルのようにターンをしてみせる菊丸。赤地に大き目の白ドットが散りばめられたビキニが良く似合う。
「跡部って家にプールまであるんだね。凄いや」
そう言って、庭というには広すぎる敷地を見渡す不二は、淡いピンクのワンピース水着を身につけている。きょろきょろと首をめぐらせるたびに、Aラインの裾が揺れて可愛らしい。
「こんな大勢で押しかけて大丈夫だったか?」
手塚は歩み寄り、不二に自分パーカーを羽織らせてやりながら宍戸に尋ねる。真っ白な肌が焼けてしまわないようにとの配慮だろう。
「ああ、問題ねーよ。氷帝メンバーも大勢いるし気にするなよ!」
手塚にそう返事をしながら、宍戸は不二と目配せして冷やかすように微笑んだ。
先日久しぶりに電話をした時、ようやく片想いが実ったと聞かされていたから、冷やかすために誘ったのもあるのだ。
「よお、越前。こないだは世話になったな?」
今度は手塚たちの後ろに立つ越前に声を掛ける。
「…ちーす」
華奢な体つきの越前は、相変わらずの態度で分からないくらい微かに頭を下げる。
「ちゃんと挨拶しろ!先日は失礼いたしました」
越前の頭をグイっと押し下げて、自分も最敬礼するのは海堂だ。
「ハハハ、冗談だって!気にすんな」
そんな凸凹コンビに、宍戸は楽しそうに笑う。
因みに「世話になったな」というのは跡部が坊主になるに至った例の件だ。
跡部と宍戸が付き合っているのを以前から知っている海堂は、まるで自分の責任のように頭を下げ続ける。
「バーカ。いい加減顔上げろって。あれはちゃんとした勝負だろ?本人も納得でやった事だ。なあ、越前?」
「…っす。勝負っすから」
宍戸の言葉に越前が当然とばかりに頷けば、今度は拳骨が落ちる。
「痛っ!海堂先輩、痛いよ!」
「うるさい!お前は黙ってろ!」
そんな二人のやり取りに、青学のメンバーもクスクスと笑う。
「薫ちゃんってば、おちびのお姉さんみたいだ!」
菊丸の言葉に一同は大きく頷く。
確かに、白のトライアングルビキニを身につけた海堂は年齢よりも大分落ち着いて見えて、標準より小柄な越前とは姉と弟のようだ。
「…恋人だもん」
拗ねたように越前が呟いたから、みんなの笑いはドっと大きくなった。
「あ、跡部!」
そんな中、大石が指差して声を上げる。
「よう。よく来たな?」
皆が振り向けば、庭へと降りるバルコニーの階段を、跡部が水着姿にパーカーを引っ掛け、優雅に下りてくる。
「やほーっ!」
その後ろからは、飛び跳ねるような岳人を先頭に氷帝のメンバーが続く。
そして跡部を飛び越した岳人は、大理石の手すりに飛び乗ると、水着姿のまま、まるで滑り台のようにして降りてくる。
「わっ、がっくん危ないから!」
水着がタンキニだから良い様なもの、なかなか大胆な姿だ。
忍足はそんな岳人を受け止めるべく階段を駆け下りた。
「もう、岳人ったら。女の子なんだから、そんな事したらダメだよ?」
微笑みながら後を追う滝は、黒のビキニにゆったりとした上着を羽織り、日傘にサングラスも忘れない。
「…相変わらずだにゃ」
「そうだね」
菊丸と不二は顔を見合わせて微笑む。
「わーいっ!いっぱい泳ぐぞー!」
珍しく目覚めているジローは、もうゴーグルを付け浮き輪を腰に走り出す。
「先輩っ!滑りますよ」
「準備体操!」
慌てて引き止める鳳と日吉の方がよっぽど先輩のようだ。
「…まあ、トレーニング用の小さなプールだが、今日は楽しんでいってくれ」
仲間の騒々しさにこめかみを引き攣らせながら、跡部は気を取り直して奥を指差す。
そこにはリゾート用の作りではないにしても、立派な25メートルプールが陽の光にキラキラと輝いていた。

「わーい♪」
真っ先にジローが飛び込む。
「「わ~っ!」」
その両腕は日吉と鳳の首根っこを強く引き、道連れとなって落ちていく。大きな水しぶきが上がった。
「元気だね」
クスクスと笑った不二は宍戸に促されるまま、樺地が用意してくれた大きなパラソルの下に入る。
「あーあ。長太郎のやつTシャツびちゃびちゃ」
並んだビーチチェアに腰を下ろすと、宍戸もそう言って微笑む。
向かいのプールサイドには、生真面目な顔で準備運動をする手塚と大石、そして海堂。越前と菊丸はかったるそうにそれに付き合っている。
「手塚と一緒じゃなくて良かったか?」
話が聞きたくてパラソルの下に案内したけれど、向こうで準備運動をする手塚と不二とを見比べて、宍戸は尋ねる。
「平気平気、僕泳げないし。手塚は僕に大人しくしてて欲しいみたいだし」
「え!?意外。不二って泳げないのか?何でも出来そうなのにな?」
思わぬ台詞に、宍戸は目を丸くする。
「何でもどころか苦手な方が多いよ。特に水泳はダメ。宍戸は?泳がなくていいの?」
「泳ぐのは好きなんだけどな。ちょっと様子見」
「何で?」
苦笑する宍戸に、不二は首を傾げる。
「新しい水着をビキニにしたの、跡部に黙っててさ。ああ見えて今あいつ不機嫌だから」
「え?そうなの!全然不機嫌そうに見えなかったけど」
見回すが、さっきまでいたはずの跡部の姿が無い。
「今日はホスト役に徹するつもりみたいだからな。お陰で助かった。下手したら洋服に着替えさせられて『今日は泳ぐな!』とか言われるかと思った」
そう言ってイタズラっ子のように笑う宍戸。
身につけた水着は確かにビキニで、白と黒のギンガムチェックが女の子らしい。
けれど、胸元にはフリルがあしらってあり、スカートタイプだからラインを前面に押し出したデザインではないのだが。
「これでもさ、跡部的にはダメなんだってよ。んな事言ったら、滝とか菊丸や海堂だって超色っぽい水着じゃん?跡部のヤツ大げさなんだよ」
「それだけ、宍戸を独り占めしたいって事じゃない?」
そう言って不二は、面白くなさそうに吐き捨てた宍戸の肩をポンっと叩いた。
涼しそうなプールの中、菊丸と海堂はリゾート水着もものともせず、凄い勢いで泳いでいる。滝は反対側に用意されたパラソルの下、日焼け止めクリームを塗るのに余念が無い。
「滝は完璧リゾート感覚で来てるからあの水着でもいいけどな。菊丸と海堂、そのうちポロリってやっちまうんじゃねーの?」
あんなセクシーな水着で、あんな波しぶきを上げて本気泳ぎをする女など見たことがない。
宍戸の言葉に、不二は呆れたように溜息を吐く。
「僕も言ったんだけどね。二人とも水着選びは彼の要望に合わせたらしいよ?それならせめて大人しくしてればいいのに」
二人は競い合うようにしてターンをする。
「…越前も大石も、男なんだなぁって思うよな、あの水着見ると」
特に、海堂の水着はかなり赤面ものだ。大き目のカップデザインであるにも関わらず、あふれ出そうな胸。
「君のところの滝といい勝負でしょ?」
「確かに」
氷帝テニス部のセクシー隊長は滝だ。その滝と、スタイルの良さではいい勝負かもしれない。
「滝は自覚があるから良いけど、海堂は自覚が無いからこそ凄いよな」
「うん。そろそろ気づいて欲しいんだけどね…」
不二は日ごろの部活風景を思い浮かべる。
肌も露わなタンクトップに短パン姿で練習に励む海堂は、今やちょっとしたセクシーアイドル扱いだ。夏練習の見学者が増えたのは偏に海堂の露出の激しさのお陰(?)だ。
そんな事を考える不二を他所に、宍戸は心配そうに不二の横顔を伺う。
「…不二、心配じゃねえの?」
「ん?」
視線の先では、菊丸が泳ぐ横を大石が見守るようにゆっくりとクロールする。海堂の隣では越前が泳いでいるのだが、その傍らには指導をするかのように手塚が腕組みをして立っている。
アイドル的人気があるといっても、海堂のセクシー路線に比べれば「清純派アイドル」のような不二。やっぱり男は…、と。宍戸は他人事ながら心配になるのだが。
「全然。手塚ってば今朝面白い事言うんだ。『水着姿の不二の隣には、長いこと居てやれないかもしれない』って」
「…え?それって」
「そ。欲情しちゃうから、ってさ」
声を潜めて、内緒話のように手を添え耳打ちする不二。
「ごちそうさまです」
体よく惚気られた宍戸は、笑って両手を合わせた。

「よう?優雅に見学か?」
「跡部」
声を掛けられ振り向けば、跡部が二人にグラスを差し出した。
オレンジが飾られたグラスはそこだけ南国のような鮮やかさで、受け取ると同時に氷がカラン、と揺れた。
「綺麗」
赤から黄色へ、繊細なグラデーションを描くジュースに不二は微笑み「いただきます」とストローを咥える。
「跡部、本当にホスト役に徹するんだな?」
宍戸もからかう様に笑って、ストローを口にする。
「んーっ。美味しい!」
二人が揃って言えば、跡部は満足そうに頷いた。
「一頻り挨拶を済ませたら戻る。不二、それまで宍戸の相手をしてやってくれ」
「もちろん」
不二だって、今日は手塚との馴れ初めを報告するつもりで来たのだ。
「じゃあ、宍戸。大人しく待ってろよ?」
そう言って跡部は、宍戸の頬に口付ける。
「!?」
驚いて目を丸くした宍戸の頭を乱暴に撫でると、跡部はもう向かいのプールサイドへと歩きだす。
「ごちそうさまです」
今度は不二がそう言って微笑んだ。


 

アニプリのアトベッキンガム描写は全く無視。パラレルなくせに跡部はしっかり坊主。しかも、誰が読むんだか!ってなジロ滝を交え、季節感も無くお送りいたします(笑)。

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