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不二誕月間。
今回は忍不二です。
そして、ほんの一瞬、某ゲストが登場してます。
扉はcloseのまま(忍不二)
「知っとった?俺、あの頃、けっこう自分の事嫌いやったんや」
てんで似あわないオレンジ色したカクテルを呷ると、忍足は隣の不二を見る事も無く視線を飴色のカウンターに落とした。
「へェ、初耳だね」
フッ…と吐息で微笑む不二の声音は、昔と全く変わっていないようで、忍足は小さく舌打ちをする。
あの頃は嫌いだった、なんて。まるで安い誘い文句だ。
本当は昔から気になって仕方がないと、口を開く傍から心が零れ落ちてしまいそうで。
手にしたグラスの氷が解けるのが、いつもより早い気がする。
気の所為だなんて、本当は分かっているのに。
いつものように冷静な頭と、何を言い出すか分からない唇と。
忍足は、戸惑うように下唇を噛んだ。
そうして、ただ黙ってグラスを傾け、どれくらい経っただろうか。
落ち着いた雰囲気のバーを包み込む「Moody's Mood For Love」。甘いボーカルが途切れると、不二が口を開いた。
「君って、意外と…」
歳を感じさせない中性的な声だ。けれど、ほんの少しハスキーになっただろうか?
もう10年の月日が流れたのだから、全く同じでないのは当然で。
引き寄せられるように、忍足は不二の唇を見つめる。
「…意外と?」
「意外と、情熱的だ」
囁く不二の声が近づいて、頬杖をつく忍足の視界は閉ざされた。
左の瞼が感じる冷たい指先と、右の瞼に触れる対照的な温もり。
そう、今の乱れた心のようだ。
終には、冷静だったはずの感情が、熱い想いの奔流に攫われてしまう。
忍足はその指先を去り際に捉えると、離れようとする不二の唇を追いかける。
強引に抱き寄せれば、慌ててカウンターに突いた不二の手がグラスを倒した。
「…あ、」
「ええから」
不二が反射的に姿勢を逸らすのを、忍足は許さない。
親指の腹で、不二の唇を丁寧に撫でる。
何だってこうも綺麗なままなのか。
真っ直ぐ見つめる明るい瞳も、形良い額を隠す柔らかそうな前髪も、小さく開くその口元も。
あの頃、コート上で捕らわれた想いは何一つ変わっちゃいない。
そっと口付ければ、不二は一瞬震える。
そして、唇を食むように角度を変えれば、力が抜けたその身体は忍足の胸に収まった。
***
「悪いね、マスター」
忍足は、適当な金額をカウンターに滑らせ、倒れたグラスを詫びて席を立つ。
「いいから、早く行きんしゃい」
口元の黒子が色っぽいマスターは、馴染みの忍足に、しっしと邪魔者でも追い払うように手を振った。
懐かしいその声に驚いたように振り返る不二の手を、忍足が強く引いて扉の向こうに消える。
扉は最初から「close」のまま。
マスターは片付けもそこそこに、自分の為のギムレットを傾け、瞳を閉じる。
そうすれば、懐かしいジャージ姿がはっきりと思い出された。
漸く手を取り合った二人の「天才」に、マスターはそっと一人、乾杯する。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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