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このシリーズ、各回短めです。
細切れ連載で申し訳ないです…。
いつか穏やかなsquare 2
「なあ、面白いことせえへん?」
「あ?面白いこと?」
この手のネタに食いつかない男ではない。大のお祭り好き、跡部景吾。
「丁度、岳人と宍戸が起きとることやし」
「だから、なんだ?」
岳人、宍戸。俺は酷い事をするよ。
きっと、お前らの関係は少し、いや、大いに拗れるかもしれない。
「忍足、勿体ぶってんじゃねえよ」
堪忍な。
それでも、俺はこのチャンスに掛けようって思うんや。次、いつこんな時が訪れるかも分らんやろ?
「おい、忍足?」
宍戸、ありがとな。お前が俺の事好いとってくれたのは気付いとったよ。
岳人、恨んでもええよ。
俺、お前の親友を、俺たちの仲間を傷つけるよ。
「…俺、ずっと岳人のこと抱いてみたいって思うててん。どう?お前は宍戸に興味あらへんの?」
「はあ?それが面白いことかよ?」
跡部は、急に興味を失ったようにラグに両手をついた。
何や、意外と酔ってるみたいやから、乗って来るかと思うたのに。
「ま、ええわ。なら、とりあえず一室貸してや」
俺は、すぐに気を取り直して手を合わせる。
跡部も同罪になりゃ強みかなァ思ったけどな。別に一人でもかまへんわ。やるこた同じだしな。
「てめえ、どんだけ図々しいんだよ」
跡部は俺の頭を小突きながら、ソファセットに寝転んだ二人を振り返る。
岳人は相変わらず大胆で豪快で。もう大口開けて、気持ち良さそうに寝入っとる。
こういうところで繊細な面を見せるのは宍戸だ。少し横向いて、寝顔とか晒すの恥ずかしいんやろな。
素直に可愛いなって思うんや。宍戸の事好きになれたら良かったのに…ってな。
なのに、何でやろなァ。どうしても、俺が惹かれて止まないのは岳人やった。腹が立つほど自己中で、でも誰よりも明るい、太陽みたいな向日岳人だったんや。
「…ふん。まあ、別に協力してやらねえでもないが」
「ほんまか?」
「こっちは流れで、そうなりゃやるし、ならなきゃ無理にはしねえ。正直大して興味も無いしな。お前はお前で勝手にやれよ。ただ、隣の客間だからな、せいぜい音には気を付けろ。そいつの声はでかいぜェ?」
「分かってるわ。さんきゅ。さっすが話が分かるわぁ」
「はっ、良く言うぜ。んな、情けねえ面して」
…ちぇ。軽い雰囲気で流そう思ったのに。
「俺も意外と必死なんでね…。長年の片想い、そろそろ報われたいわ」
「岳人ー、ちょっと目覚まそか?」
軽く揺すれば、岳人は邪魔くさそうに俺の手を払った。
心配やなぁ。こんなんされても目、覚まさないなんて。
揺するだけやない、もう服だって全て脱がしてもうたんや。
いくら酔ってるからって、これは鈍過ぎやで?
「…ったく」
俺は、自分の服も脱ぎ捨てた。
無警戒な岳人は、邪魔する手が無くなったのをいい事に、またすよすよと眠りを貪っとる。
俺は、一糸纏わぬ姿になると、岳人の隣に滑り込んだ。
「岳人…」
細い体を抱き寄せる。
…やばい。一気に舞い上がってきた。
ほんま細いのな。一緒にダブルス組んどった頃は、まだこれから大きくなるやろ…なんて励ましてたけど、これが向日家の血の限界だったのか、大して経たない内に岳人の身長は止まってしまった。
俺が初めて好きになった、あの少年の頃と変わらない岳人が、俺の腕の中にいる。
「岳人」
もう、ええよ。眠たいなら眠っとっても。
俺が気持ち良くしたる。
お前が後で言い訳出来ひんくらいにな。
「岳人…」
小さく上下する胸に掌を滑らせる。
酒のせいやろか?少しだけ汗に湿ってる。
ドキドキする。当たり前だけど、現実なんや。
くっきりと浮いた鎖骨。俺のなんかより全然華奢で、ちょっと力入れたらぽきりと折れてしまいそうや。
横になることで凹んだ腹は、それなりに引き締まってるけど、やっぱりどこか少年が残ってる。
「はは…」
無茶言うこいつのカバーして、コートを走り回った日々を思い出す。
その勝手さに腹を立てながらも、少しも振り返らず背中を預けてくれる岳人に、甘い陶酔を覚えたんや。
年を重ねて、テニスを離れて、前ほどに一緒には居られんようになったけど、ここぞと言う時、頼って欲しい気持ちは変わらない。
進路の関係で、岳人と宍戸が一緒に過ごすのが多くなったことを、俺は嫉妬しとったんかな?多分そうやった。
高3で特進クラスと普通クラスに別れて、過ごす建物が変わって。渡り廊下をはしゃいで通り過ぎる岳人と宍戸とジローが羨ましくてならんかった。
こいつらの周りだけ、あの日みたいにキラキラしとって。特進クラスの俺と跡部と滝はそれどころじゃなくって…。
それでも、感情のまま岳人を押し倒さずにいられたんは、宍戸の視線に気づいたから。
俺が望んで止まない位置にいる宍戸は、俺のことを好いとる。
何て救いだろう。何て救いの優越感だったろう。
それだけで、何とか今までやって来られた。
ごめんなァ、宍戸。俺は酷いなぁ。
「…んーァ?侑士?」
「起きたか?」
「起きるさ、重いんだよ」
「だろな」
俺は、岳人の上に覆いかぶさって、その体を拘束する。
「…お前、何してんの?」
「何やと思う?」
まだ寝ぼけ眼の岳人は、この状況が理解出来ない。
「何って。酔って、帰るの面倒になったから泊まって…」
「そう、それから寝るんだ。俺と一緒に」
「侑士!?お前!ってか俺も」
重なる肌の感触に漸く気づいた岳人は、驚いて俺を突き飛ばそうとする。
遅いわ。
「分かるやろ?」
岳人の太股に押しあてた俺の中心は、もう熱く滾ってる。
「おいっ!」
逃がさない。
だって、長かったんや。もう何年も。
上げた手は、簡単に包み込んでしまう。泣いてしまいたいくらい、あの頃のままの可愛い手。
「ゆう、し?お前、…俺のこと?」
「やっと気づいてくれたんか?ずーっと見とったのに、つれないわ」
「そんなっ!」
岳人は驚いて目を剥いた。
「男が、男を…なんて思う?」
「あ?そ、れは…そんなんじゃなくて」
「じゃあ、…宍戸が俺を好きなのに、か?」
「っお前!知ってて…」
「知っとったよ?でも、それが?」
「侑士!」
岳人はムキになって、俺の腕から抜け出そうとする。
「宍戸を思って俺の手を払うんやったら、俺の事を思って抱きしめ返してくれたってええやろ?同じ仲間やないか。宍戸のことばっかでズルいわ」
「ずるいとか、そういうんじゃなくて!」
パシンと、遠慮なく頬を叩かれた。
「好きでもない奴とこんなのダメだろ?お前に失礼になる」
「…好きでもない、か。あっさり言うなぁ」
岳人は息を呑むが、「ごめん」とは言わなかった。そうだよな、それがお前の本心なんやから。
「…どけよ」
「どかない」
「侑士!」
無理なんや。今を逃したら、もう二度と近づけない。ここまで来たらやるしかないんや。
「好きだよ、岳人。ずっと前から好きやった」
「侑…!」
俺は、岳人の身動きを封じ込めた。そして、怒鳴るその唇に無理やりキスをする。
「や、め!」
「好きだ、好き…好きなんや」
サラサラの髪の手を入れ、頭を抑えつける。首を振ることもかなわなくなった岳人に、俺はしつこいくらいの口づけを繰り返す。
「頼むよォ!俺、宍戸に何て…」
「堪忍な…。でも、今は俺だけ見て?お前じゃなきゃダメなんや…。お前しか、お前だけなんや」
「…侑士」
一瞬、力が抜けたのを見逃さんかった。
俺は、もう一度奪う様にキスをして、震える指を岳人の下腹に伸ばす。
「っ」
岳人は驚いたみたいに身体を跳ねさせたけど、それ以上抵抗せんかった。
初めてでもないのに、俺の体はガタガタ震える。
「侑士…」
心配そうな目で俺を見つめ、それから、岳人はゆっくりと目を閉じた。
「岳人」
受け入れられたなんて都合のいい解釈する訳やないけど、離してやる気は更々無いんや。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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