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R-18です。苦手な方はご注意を。

 



幼い賭け (跡×宍)

他愛もないいつもの賭けだった。
内容も思い出せないようなつまらない口喧嘩で、どちらともなく「負けたらお互いの言うことを聞く」って言い出した。
からかうみたいな跡部の表情にムカついて「絶対だからな」なんて、跡部のジャージの襟元を締め上げて念を押したのは自分だった。
途中で面白がってのぞきに来た岳人と忍足も混ざって、気づけば「跡部&忍足VS岳人&俺」のダブルス試合になってしまった。
部活も終わり暗くなりかけたコートを走り回り、いつしか俺と岳人はいつものような楽しいノリで試合を出来なくなっていた。
跡部と忍足はもともとテンション高く試合をするタイプではなかったが、いつもと違う表情がどこか引っかかる。
アイコンタクトで岳人の目を見ると、俺と同じでどこか不安そうな表情を浮かべていた。
じわじわと獲物を追い詰めるような試合運び。長いラリーで俺たちにポイントを取らせれば、その後は少しの隙も見せずに自分たちのポイントとする。
認めたくないけど、猫が捕まえたネズミを少しずついたぶるようなそんな試合内容だった。
結果は6-4。試合内容のわりにポイントが開かなかったのはそんな理由だった。
すっかり暗くなった4人きりのコートで、ネットを挟んで握手をした俺たちの表情は対照的だ。
今にも忍び笑いでも漏らしそうな跡部と忍足。いつもの俺と岳人なら、ふざけた試合内容に一発怒鳴り飛ばすところだけど、何だか嫌な雰囲気に言葉を失う。
「何でも言うこと聞くって言ったよな、宍戸?」
そう言って愉しそうに俺の顎を掬い上げる跡部。そのまま親指の腹で俺の唇を撫でると、爪の先で俺の歯列を割ろうとする。
「!?」
驚いて歯を食いしばった俺の表情に満足そうに微笑んだ跡部は、俺の唾液で濡れたその指を舌で舐め上げる。
…何だっていうんだ!?
「もちろん俺も、ええんやろ?」
そう言って、大きな手のひらで岳人の右頬をゆっくり撫でる忍足の仕草は、捕まえた獲物を何処から食べてやろうか?という肉食獣の目だ。
始めて見る暗く妖しい忍足の視線に、岳人は何も言えずに顔を背けた。
「それじゃあ始めるか」
跡部の言葉を合図に、二人はネットを跨いで俺たちに近づく。本能的に一歩下がった俺たちを二人の長い手は難なく捕まえた。
「今さら逃げるんは無しや…」
そう言ったかと思うと、忍足は急に掴んだ手に力を込めて岳人を引き寄せる。
そしてバランスを崩して腕に転がり込んだ小さな体抱きしめると、わざと耳元で囁いた。
「…俺の女になり?岳人」
「侑士っ!?」
悲痛なくらいの叫びに俺はどうしていいか分からない。
岳人に伸ばそうとして行き場をなくした俺の手を跡部が掴み、俺は完全に跡部に拘束される。
「そーゆー訳だ宍戸。男に二言はねーよな?」
「…跡部、何で…」
二言も何も…。
その微笑からは想像つかないほど力強く俺を掴む手に言葉を失った。
他愛も無い、いつもの賭けのつもりだったのに。

ネットは張りっぱなし、ラケットとボールもコートに残したまま、俺と岳人は部室まで引きずられて行く。
「侑士!なぁ、冗談だろ!?侑士!」
いつまでも抗う岳人を仕舞には担ぎ上げる忍足。
「がっくん、しつこいで…俺は本気や」
「ふざけんな!」
どんなに暴れたって、忍足は嬉しそうに微笑み岳人の肌に頬ずりでもしそうだ。
俺はもう虚脱状態で、暴れるどころか歩くのですら怪しい足取りで何とか前に進む。
今の状況が信じられなくて…。
俺を支える跡部を見上げると、怖いくらいに愉しそうな笑顔を返してくる。
悪い冗談だって言って欲しい。
今そう言ってくれたら俺は怒らないから。
だって変だろ?俺たちは男同士で友達じゃないか。いくら喧嘩ばかりしてたって、明日になればすっかり忘れてプレーし合える仲間だろ?さっきの試合を始めるまで、お前たちいつも通りだったよな?俺のことバカにしたように笑ってたじゃねーか。なあ、跡部?
もう一度縋るように見上げると、跡部は眉を上げ本当に愉しそうに口を開いた。
「なあ宍戸、どんな風に抱かれたい?」
「跡部っ!!」

部室の扉を開くと、二人は俺たちを奥のシャワールームまで連れて行く。
脱衣場で1枚ずつ服を脱がされる頃には、岳人は声すら出せずガタガタ震えるだけだ。あんな小さな体で全然腕力がないんだから、俺以上の恐怖を味わってるはずだ。
いつもは頼もしく見えるダブルスのパートナーに裏切られて、そのショックは何倍にも感じるだろう。
もう見ていられなくて、俺は固く目を瞑る。
「人の心配できるほど余裕なのか?宍戸」
「…何でこんなことするんだよ、跡部」
俺のユニフォームに手を付けた跡部は、裾を持つとゆっくり上へと脱がせて行く。頭を抜き引っかかった長い髪を払い、あとは手を抜けばいいという所で跡部は止めた。
丸まったユニフォームはまるで手枷のように、俺の腕の自由を奪う。
「…このままするのもいいかもな…。お前の汗の匂いって興奮するぜ?」
そう言って屈むと、跡部は俺のわき腹から上に向かって舌を這わす。
「やめろ!!」
「…そう怒るなって。これからが本番なんだ、声枯れるぜ?」
「っくそ!」
全然止める気配が無い。
忍足はもう震える岳人を抱き上げシャワールームの扉を開こうとしている。
「ああ、跡部。これ忘れんうちに渡しとくわ」
そう言って投げられた小瓶には、かすかにピンク色した液体が入っている。
「即効性抜群らしいで。使いすぎると気ー狂うらしいから程々にな」
…!?
俺と、忍足に抱かれた岳人は揃って身体を震わせた。こいつら本当に本気だ。
「よく手に入ったな?さすが医者の息子じゃねーか」
目を剥く俺の背中を撫で回しながら、跡部は機嫌の良い声で言う。
「この賭けに入れてくれた礼ってことで、貸し借り無しやで?」
「ははっ、分かったよ」
場違いなまでの明るい会話。授業のノートを見せ合うような軽さで、なんて恐ろしいことを言うのだろう。
目の前が真っ暗になるほどの恐怖。
狭く小さくなっていく視界に、俺はグラリと膝を折った。
この現実はなれした出来事を、ついさっきまでの俺はどこか甘く見てたのかもしれない。岳人と忍足ほど体格の差がない俺は、暴れて力任せに拒めば逃げられると頭の隅で思っていた。この薬を見るまでは。
急に現実を帯びてきた出来事に、俺は体中が震え始めたのに気づく。
「おい、急にどうした?さっきまで余裕だったじゃねーか?」
怖がれば怖がるほど跡部は喜ぶかもしれないけど、とても抑えることなんてできない。
「ほら、立てるか?」
ユニフォームの手枷を外して俺の腰に腕を回す跡部。
「触るな!!」
俺はその手を反射的に振り切った。
怖い!
怖い怖い怖い怖い!
もう、ただそれだけだ。
驚いたように動きを止めた跡部は、次の瞬間声を上げて笑い始めた。
「ハハっ!宍戸可愛いな。やっぱりお前はこうでなきゃな」
「…ひっ!」
もう普通の目ではない。
乱暴に俺のハーフパンツを剥ぎ取った跡部は、自分の衣服も脱ぎ捨てる。そして素っ裸で尻餅をついた俺の膝の裏と背中に手を回すと軽く抱き上げた。
密着した胸板は傍から見るよりもずっと逞しくて、身長が大して変わらない俺を易々と抱き上げる腕力も逃げる気力を奪う力強さだ。
「悪いようにはしねーよ」
甘く囁かれた言葉は、もう耳から耳へと抜け落ちるだけだった。

シャワールームに入ると、先に入った二人の声が聞こえる。
「がっくん、立てる?ほら」
はしゃいだ忍足の声が薄ら怖い。
「…ゆーし、いやだよ。ゆーし」
もう反発する声すら出ない岳人が、足を滑らした音がする。
ピチャっ!という音と同時に、奥のシャワーブースからのぞいた岳人の細い足。
氷帝のシャワーブースのドアは、下は膝あたりから上は胸元くらいまでしか隠れないように出来ているから、岳人が力尽きてシャワーブースの床にへたり込んでしまったのが遠巻きに見える。
「…岳人」
俺は握った拳に力を込める。本当は殴り込んででも止めさせたいけど、俺を抱き上げる腕がそうはさせない。
湯気で朧げにしか分からないが、不自然なほどに火照った岳人の肌はただシャワーで温まっただけのものではなさそうだ。
「嫌やないやろ?気持ちええ、やろ?」
「いやぁー…」
「ほら、イッてええよ…」
岳人の太ももを撫で回す忍足の手の動き。もう片方の手が岳人を煽っているのは見えなくたって分かる。
「…くそっ」
どうにも出来ない現実に舌打ちする。そんな俺を愉しそうに観察する跡部。
そう、ただ眺めるなんて生易しい表現じゃ済まされない舐めるような視線。跡部は俺の頭のてっぺんから指の先まで、余すことなく観察する。
「そろそろこっちも楽しもうか?」
あいつらから一番離れたシャワーブースに俺を下ろすと、在ったところで意味のなさそうなドアを閉める。170以上の男が二人入るようになんてできてないスペースは、立ってるだけで一杯だ。
「お湯出すぜ?」
呆然と立ち尽くす俺の頭上から、程よい温かさのシャワーが降ってくる。
いつも使っているこのスペースが今日はなんだか違う場所に思えてくる。またいつかこのシャワーを普通に使う日がやってくるなんてとても信じられない。
今のこの現実が終わる時なんてくるんだろうか?
「何ぼーっとしてる?」
いつもより数倍優しい跡部の声。いつも俺を怒鳴り飛ばしていた跡部はどこに行った?
耳障りの良い声に、すっかり忘れていた一番大事なことを思い出す。
跡部はなんでこんな事を賭けのネタにしたんだ?
跡部は俺を?忍足は岳人を…?
好きも嫌いも、本当も嘘も…。
こんな状況では考えがまとまらない。
「シャンプーして身体洗って…なんて思ってたが、こうして向かい合うとそんな悠長な気にはなんねーな。忍足ががっつくのも分かるぜ」
「跡部…?」
俺を見つめる瞳が甘く光った気がした。

「そんな固まらなくたって、食いやしねーよ」
「…!」
俺をブースの壁に押し付け跡部は胸に舌を伸ばす。最初は両手首をそれぞれの手で拘束されていたけど、俺が反抗しないと分かってその手は解いてくれた。
怒りも恐怖も、全部通り過ぎてただ俺は立っている。
さっき奥から岳人の悲鳴が聞こえた。
もう恐怖ではなくて甘さを含んでいた声は、俺の気力を奪うのに十分だった。
「そんな無気力な顔すんなって、これからイイ気分になれるぜ?」
そう笑った跡部は胸に舌を這わせながら、右手で背中を撫で続ける。時折濡れて張り付いた髪を弄ぶ指先すら愉しそうに感じる。
性急さの無い手管は、次第に俺を落ち着かせていった。
「いい子だから、全部俺に任せちまえ」
「…ああ」
返事だったのかため息だったのか、もう自分でも分からない。

「気持ちイイみたいだな?」
しつこいくらいに吸われ続ける乳首。舌先で突いたり擽ったり…。時々歯が当たれば身体の中心を快感が突き抜ける。
「いや…、あとべ」
こんなの嫌なのに。まさかこんなのが気持ちいいなんて…。女みたいだ、俺。
「いい声だ…」
跡部が囁くと、その唇の動きにでさえ感じてしまう。
「あとべ…勘弁してくれ」
さっきからずっと触られ続けて、もう辛い。
これ以上感じてしまうのが怖くて、力の入らない腕で跡部の肩を押し返すがちっとも動かない。
「何だよ、イイんだろ?」
悪戯に微笑むと、跡部はわざと赤くはれ上がった尖りに噛み付いた。
「嫌アっ!!」
あんまりの快感に耐えられなくて膝が崩れる。
怖い。
さっきまでのとは違う怖さだ。
さっきまでは未知な事をされる怖さだった。
今の怖さは、自分でも知らない自分を知ってしまった怖さ。こんな事を気持ちイイと思ってしまうなんて!
いつの間にか硬くなっていた中心を隠すように抑えると、座りこんだ俺をブースの外に押し出すようにして跡部に圧し掛かられる。
「下、隠すなよ」
そう言いながら、初めて口付けられる。
「…あ、ん」
仰ぐように開いた唇を割って、跡部の熱い舌が入り込む。
「…んン」
怯えていた舌を絡みとられて、気づくと自分からその熱さを欲する。
ぴちゃ、ぴちゃ…と絡まる舌に、ますます下腹部は熱く滾っていく。

「舐めてやろうか?」
長い口付けを終えた跡部は、だらしなく唇を開いたままの俺に言う。
「…?」
初めて経験した濃厚な口付けに、俺の頭は上手く働かない。
「イイ顔しやがって」
跡部はくくっと笑うと、寝そべる俺の視界から消えた。
「…あとべ?」
触れていた肩が離れて行く。
「ひゃっ!」
ぼーっとしていた俺は、次の瞬間固く立ち上がった中心が温かく包まれたのに驚いて上半身を起こす。
「跡部!?」
跡部の髪が俺の股間に埋まっている。
嘘っ!?まさか、跡部にフェラされてる!?
「やめろって!」
急に暴れ始めた俺を、跡部は予想してたかのように簡単に押さえ込む。
「イイ、だろ?」
一度口を離してそう言うと、今度は軽く先端だけを舐め上げる。
「…っく」
こんなの女の人にもやってもらったことなかったから、初めての快感に我慢がきかない。
「ほら?ここも…」
硬く尖らせた舌先が、今度は尿道口を刺激する。無理やりに開かれた入り口からは先走りの露があふれ出し、跡部はわざと音をたててそれを啜った。
「やだやだやだ!」
おかしくなる!俺が何度も頭を振ると、跡部は俺を含んだまま喉で笑う。
「だめっ!」
その振動でもうすぐにでもイッてしまいそうだ。
「…出ちゃうから!離せっ」
必死で頭を押し返すのに、跡部は簡単にその手を払った。
そして、鋭く俺に命令する。
「イけ。宍戸」
そう言って強く吸われたら、もう頭が真っ白になった。
「アアっ…だめェっ!!」

俺のものを飲み下した跡部は、ニヤニヤと俺の顔を覗き込む。
まだ荒い息を整えながら、恥ずかしくて俺は腕で顔を隠す。
「美味かったぜ?」
「…!!」
何てこと言うんだ。そんな事あるはずがない!
「お前にもやってもらいたいところだが…」
そう続いた跡部の言葉に、俺はびくっと震える。
自分が跡部のを銜えるなんて想像もしていなかった。絶対無理…!
俺の思いが通じたのか、跡部は苦笑して俺の頭を撫でる。
「まあ、これは追々教えるとして」
…追々?
こんなことは今日この場所での一回きりだと思い込んでいた俺は、跡部の言葉に顔を覆った腕を外してその目を見つめる。
― 跡部は一体何を考えてるのか?
でも今はそんなことを考えている暇はなさそうだ。
目の前に片膝を立てて座る跡部のモノは、力強く天を仰いでいる。
その禍々しいほどの昂ぶりに、俺は思わず尻で後ずさる。
…絶対無理。
口でさせないってことは入れるって事だろ?男同士でもセックスできるって、知識では知ってるけど…。
「宍戸、ちゃんと慣らしてからヤルから大丈夫だ」
「…慣らす?」
その言葉にさっきの小瓶を思い出す。あの嫌らしいピンク色。
忘れていた恐怖がよみがえる。
「嫌だ!」
「宍戸…」
「あんな訳分かんねェ薬使うな!」
「宍戸、あれ使わなきゃ辛いぜ?」
溢れる涙に、初めて跡部がうろたえる。
散々怖くて恥ずかしい思いをしたけれど、俺が泣いたのは初めてだ。
「それでも使うな!」
「使うなって、宍戸…!?」
俺の言葉に跡部は慌てて俺の腕を掴む。今さら逃げるって思ったみたいだ。
でも、そうじゃない。そんなつもりで言ったんじゃないんだ。
「それ使わないでヤレばいい…」
「宍戸…?」
跡部は掴んだ腕の力を抜く。
確かに怖いし本当は逃げ出したいけど、よく考えてみたら跡部は何にも酷いことはしなかったんだ。ただ、俺を気持ち良くしただけ。
今日みたいなことする理由なんて知らないし、俺が跡部を好きかと聞かれればそれもよく分からない。
でも、してもらうばかりなんて、そんなのズルイ気がするから…。
「いいのか?」
「…だって、ヤルつもりだったんだろ?」
「…まーな」
だったら覚悟が萎えないうちにやって欲しい。俺はもう一度静かに横になった。

「少し我慢しろよ…」
そう言って俺の身体をひっくり返した跡部は、今度は後ろに舌を這わす。
「跡部っ!?」
自分でも見ることができないような場所を跡部が舐めている。
「何でこんなことすんだよっ!」
足をバタつかせると、跡部は押さえつけるように体重をかける。
「薬使いたくねーんだろ!?なら大人しくしてろ」
まさかこんなことをするなんて!経験したことのないむず痒さに悪寒が走る。
どうしようもなくて唇を噛んで耐えていたら、後ろに触れていた舌が離れ代わりに何かが中へ入り込む。
「なっ!?」
物凄い異物感と圧迫感。
「跡部っ!」
「まだ1本しか入ってねェ。さすがに狭いな…」
「!!」
俺に埋められた指が中でゆっくりと動いている。
「ひィ…」
身体を強張らせる俺の背中を、跡部はあやすようにゆっくりと撫でる。
「大丈夫だ…深呼吸してみろ」
言われるがままに大きく息を吸いゆっくりと吐く。
「!?」
そのタイミングを見計らって、もう1本の指が入り込む。
「…だんだん慣れてきたな」
「ん、あ…」
異物感は全く消えない。でも、少しずつ何かが変わってきていた。
「宍戸、ここか?」
そう言って、跡部の指が一点を強く押す。
「ああン!」
途端に身体中をめぐる甘い痺れ。今のって…?
「もう大丈夫だ、お前はただ感じてればいい」
そう言って、跡部は大きく指をグラインドさせた。

霞がかかったような頭で、俺はただ跡部の指が作り出す快感に身をゆだねる。
「あ、ハっ…」
指がその一箇所をかすめる度に、意識しなくてもあえぎ声が零れる。
「そろそろいくぞ?」
どれくらいの時間がたったか分からない。随分長い間この波に身を任せていた気がする。
身体が仰向かされるとやっと跡部の顔が見えた。ずっと感じていたのは指だけだったから、何だか少し安心する。
俺は自然とその首に腕を回していた。
「…宍戸!」
俺の仕草に、喘ぐように息を飲んだ跡部。そのまま強く抱きしめられる。
「入るぞ?」
囁く声に俺は小さく頷いた。
少し間をおいて後ろに押し当てられる熱。
「あとべ…」
呼べばキスで応えてくれながら、熱はだんだん深く入り込む。
指などとは比較にならない大きさ。ギチギチと開かれる入り口に俺は歯を食いしばる。
「…いってェ」
気の遠くなりそうな激痛。
「悪ぃ、あと少しだからっ」
跡部の眉間も苦痛にゆがむ。
俺と同じくらい辛そうなのに、それでも俺の中に入りたいのか…?
「もう、少しっ」
「跡部!」
俺が強く抱きしめたのと同時に、跡部の全てが俺に埋まった。

それからは、さっきまでの痛みが嘘みたいに和らいだ。
気持ちいい…。もう溺れてしまいそうだ…。
「宍戸っ、宍戸!」
俺の腰を強く掴んで跡部は激しく打ち付ける。奥をこすられる度に強烈な快感が脳天まで突き抜ける。
「あとべっ、イイっ」
もっと強くして欲しい!背中をこするタイルは少し痛いけれど、そんなのどうでもいいくらい、もっと感じたい。
跡部は俺を揺すりながら、片手で俺の中心を握った。
「ああっ!ダメ」
後ろだけだって気持ちイイのに、前までなんて。
「もっと乱れろよ、宍戸」
そう言って跡部は俺の身体を抱き起こす。そのまま向き合って膝に座れば、下からガンガン突き上げられる。
「うそっ!?」
さっきまでと全く違うところへ先端が当たる。
より深い挿入と、蠢く跡部の右手。そのまま首筋も舐め上げられる。
「そんなしちゃ…ダメ!」
汗で滑る跡部の背にきつく抱きつく。
「イって見せろよっ、宍戸!」
ひと際大きく腰を突き上げられ、右手も強く俺を追い立てる。
もう、無理!
「やっ!イク!ああぁーっ!!」
腕で脚でがむしゃらに抱きつきながら、俺は昇りつめた。

「宍戸…?」
目を開けると、そこは部室のソファの上だった。
「あ、とべ?」
心配そうに覗き込む跡部は制服を着ている。
「あれ?」
身体を起こすと、すかさず跡部が背中を支える。
「今までのって…?」
…夢?ふと過ぎった考えだったが、すぐに違うと気づく。
ちょっと身じろぎするだけで、尻から背中にかけて鈍い痛みが走ったから。
「大丈夫か宍戸?」
真剣なその表情に、自分があのままシャワールームで気を失ったのだと気づいた。
「そっか…」
ようやく今までの事を思い出しハぁ…と息を吐くと、跡部が遠慮がちに俺を抱きしめた。
「悪かった、宍戸」
「…平気だから」
俺は苦笑して跡部の頭を小突く。
あれだけ感じちゃったら、跡部だけを責めるわけにもいかないよな…。
最初この場所に俺たちを引きずってきた時はあんなに強引だったのに、今では眉間にシワを寄せて俺の心配をする跡部。
「一体、何でこんなことしたんだ?」
別に責めたいわけじゃなかった。
自分だってそこそこいい目を見たんだからお互い様だ。ただ、理由が知りたいだけだった。
少し躊躇うように視線を逸らした跡部は、大きく息を吸うと覚悟を決めたように口を開く。
「もう何でもいいから理由が欲しかったんだ、お前を抱ける理由が。好きになってもらえなくてもいいから、身体だけでも欲しかった…」
「…忍足も?」
「…ああ」
忍足と岳人はもう先に帰ったようだが、あの二人はどうなったのか…。岳人の身体が心配だけど、今まであれだけ岳人と一緒にいた忍足のことだ。倒れるような無茶はしていないと信じたい。
当面は俺たちの問題だ。
「あんな気狂ったみたいな強引な手で俺を抱いて、お前はそれで良かったのか?満足か?」
「…いや」
俺の言葉に苦しそうに首を振る跡部。
もうここまできたら全て言ってしまえばいいのに。あれだけ無茶をしたんだ、もう隠すことなんて無いだろう?
「…お前はどうしたいんだ?跡部」
穏やかに声をかけ青ざめた頬に手を伸ばすと、跡部は縋るように俺の手を包み込み頬ずりをする。
「最初からやり直させてくれないか、宍戸?お前が好きなんだ。付き合って欲しい」
跡部はゆっくり視線を上げると、俺の表情をうかがった。
いつもの自信に満ち溢れた跡部はなりを隠し、そこには俺を想うただの男がいた。
おそらく自分にしか見せないんだろうそんな姿が、ちょっと可愛いな…なんて感じてしまう。
いっつも俺を怒鳴り飛ばして喧嘩をして…なんて子供っぽいアピールだったんだろう。その挑発に乗ってた俺も同じだけどな。
たぶん俺たちは相当の似たもの同士だ。
きっと上手くやっていけるだろう…。
「…そうだな。付き合おうか、跡部」
「宍戸!」
強く腕を引かれると今日始めて知った逞しい胸に抱きしめられる。
「痛っ!」
身体を動かした途端、また体を走り貫ける鈍痛。
「悪い、宍戸!」
跡部は焦って手を離す。
そして、あまりの痛みにそのままソファに横になる俺の腰を、跡部は労わるように撫で続けた。

「なぁ宍戸。なぜ俺を受け入れてくれた?俺のことを好きだったわけじゃないだろう?」
しばらく無言でいた跡部は、撫でる手は止めずに質問する。
確かに最初強引に連れられて来た時は、あまりの狂気の沙汰に眩暈がしたくらいだ。
今まで自分が見てきたものが全て覆されるような恐怖を覚えた。
でも、抱かれていくうちに気づいたんだ。
最初は勢いで欲望のみをぶつけてきた跡部が、次第に優しくなっていった。
本当はこんなにも好きなんだって気持ちが溢れ出てくるように…。
それが本当の跡部なんだって思ったら跡部に対する恐怖はなくなった。単純に初めて身体を開かれることへの怖さはあったけれど、大事にしてくれるのが分かったから受け入れられたんだ…。
俺の言葉を静かに聞いている跡部。撫で続ける手は少しだけ震えている。
「宍戸、大事にするから…」
零れたその呟きには、跡部のありったけの愛情が込められていた。

1週間後の教室。
俺と跡部のようにはいかなかった忍足と岳人は冷戦を続けていた。と言うより、忍足がシカトされ続けていた。
「宍戸、お前マジ信じらんねー!何であんな事するヤツと付き合うかな!?」
冷たい目で見られても跡部は何処吹く風だ。しらーっと日誌を書き続ける。
憤る岳人の気持ちは十二分に分かるから、俺は困ったような苦笑いしかできない。
同じような目に遭った俺が跡部を受け入れてしまったから、岳人はこれ以上忍足を邪険に出来ないでいるのだ。
「あっ侑士!手前ェそれ以上近寄んなよ!」
「…がっくん」
悲しそうにうな垂れる忍足。
こんな風に明るく振舞っている岳人だけど、本当はまだあの時の恐怖が消えていないのは俺たち3人とも気づいていた。
途中で跡部に絆された俺は納得して抱かれたけれども、忍足の気持ちを知らなかった岳人からすれば、やっぱりあれはただの恐怖でしかなかったのだから。
忍足に謝られ、その気持ちを知ったからって、そうそう消えるものではないだろう。
少し離れた場所から岳人を見守る忍足の眼差しは、どうして今まで隠してこられたのだろうという位、岳人への愛情で溢れている。
その愛情がいつか岳人に伝わり、忍足を許せる日が来ればいいのだけれど。
そんな願いを胸に二人の複雑な攻防を見守る俺の手を、隣に座る跡部がそっと握りしめた。
― あいつらはきっと大丈夫。
力強い手はそう言っているように思えて、俺も強く握り返す。
幼かった賭けが、いつか大きな幸せになりますように。
そう願わずにはいられない。
俺たちも、あいつらも。



「H特集」第1話目。ウチのHは頑張ってもこの程度です(笑)。次回はこの忍岳sideをUP予定。
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ようこそお越し下さいました!「ハコニワ‘07」はテニスの王子様、跡宍メインのテキストサイトです。妄想力に任せて好き勝手書き散らしている自己満足サイトですので、下記の点にご注意くださいませ。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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