Valentine Day （跡宍+忍岳） 2007/02/13 (Tue)

なかなかくっつかない2組のＣＰに焦れた滝とジローが取った行動とは…？

Valentine　Day　（跡宍+忍岳）

「何やの、これ？」
忍足は中庭のベンチに腰掛け眠り込む仲間の姿に立ち尽くす。
「…何だかなぁ」
同じく隣に立ち尽くす跡部。
呼び出された自分たちが来てみれば、そこには宍戸と岳人がスヤスヤと昼寝中なのだった。

「てめーは何でここに？」
「…ジローに呼び出されて。跡部は？」
「…滝に呼び出された」
なのに来てみれば呼び出した本人たちの姿はなく、この二人が寝入っていた。
「授業サボって何を堂々と昼寝なんか…。凍死でもする気か」
呆れる跡部。
「ま、授業サボってるんわ俺たちも一緒やけどな」
そう言ってため息をつく忍足。
それにしても…と、二人はそろって昼寝中の横へと屈み込む。
「何なんだこの花は。バカかこいつら」
仲良く寝入っている二人の髪には、大きく華やかな花飾りが揺れている。
南国で見るような鮮やかな赤。
お揃いの花を片耳の上あたりに飾った姿は、艶やかな髪と相俟ってまるでどこかのアイドルデュオのようである。
「可愛ええけど…。自分らでやったんか？」
派手なことが好きな岳人ならばふざけて花を付けることもあり得るかもしれないが…。
「宍戸がこんなことするかよ」
「そうやね…」
だとすると…？
「うわっ！酒臭っ」
何気なく岳人の顔をのぞきこんだ忍足は、驚いたように声を上げる。
そして内容が内容なだけに、慌てて回りを見回すが幸い授業中で誰もいないようだ。
中学生が学校内で飲酒だなんてシャレにならない。
テニス部大会出場辞退どころか、退学だ。
「…待て忍足。これは酒じゃねーぞ」
「え、ほんま？」
宍戸に顔を寄せた跡部は少し考え込む。
忍足も倣ってもう一度岳人をのぞきこむが…。
「ああ！」
同時にその答えに行き当たった。
「ウイスキーボンボン」
洋酒の馨しい香りの後に風にのってきたのは、チョコレートの甘い香りである。

「なるほど、今日はバレンタインデーか」
「そうやけど、何で？」
バレンタインだからってチョコレートに酔った二人が寝入って、自分たちが呼び出される意味が分からない。
「ジローと滝の仕業だろ？」
「…ああ、なるほどな」
「…どうする忍足？」
「…それは、なあ？」
「「据え膳食わぬは男の恥、だな」」
見事にハモった台詞にニヤリと笑い合い、跡部は宍戸を忍足は岳人を抱き上げる。
横抱きに抱かれてもピクリともしない彼らは、当分は目を覚まさなそうだ。
「じゃーな」
「ほな、また放課後」

それぞれがお気に入りの隠れ場所へ向かう姿を、校舎の3階から盗み見る少年が二人。
ジローと滝だ。
「あの4人ちんたらしてて、じれったかったんだよね」
「これで一件落着だね」
「おう！」
ほくそ笑んだ二人は、残りのウィスキーボンボンを自分の口に放り込む。
「それにしても、宍戸と岳人は酒弱すぎ！」

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一人祭り開催前に、これだけはやっておかねば！と、バレンタインネタです。初めて季節ものを正しい季節にUP。