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社会人話。
2組のCPは同棲している設定ですv


焼肉パーティー 
~氷帝社会人シリーズ1~ (跡宍+忍岳)


「跡部!焼肉だっつってるのに、何でナイフとフォーク出してるんだよ!?」
岳人がキッチンから怒鳴る。
「ああ!?違うのか?」
不愉快そうな顔をして、自分の手に握られたそれらを見つめる跡部。
「なー宍戸。けごたん、焼肉食ったことないん?」
驚いて宍戸に尋ねる忍足。
「ははっ!そーいや家では初めてかもな」
答えながらも、見事な包丁捌きで並んだ野菜を切り分けていく宍戸。
「さっすが跡部。かっこE-!」
誉めてるんだか貶してるんだか分からないジローの台詞。
今日は久しぶりに5人で集まってのお食事会。焼肉パーティーである。

「イエーイ!肉、肉!」
「ジロー!野菜も食え」
野菜に目もくれないジローの小皿に、丁度良く焼けた野菜を放り込む宍戸。
「さすが宍戸。子供の相手は手馴れてるな…」
「がっくん!俺子供じゃないC!」
「ほら二人とも、食べながら喧嘩するな。そんなんじゃウチの園児と同じだぜ?」
すっかり保育士が板についてきた宍戸が笑い飛ばす。
「でも俺、亮ちゃんが面倒見てくれるなら子供でもいいかな~」
「はいはい。ほらジロー、かぼちゃが焼けた」

大学を卒業して早2年。
皆それぞれ、順風満帆の日々を過ごしている。
跡部は早速親の会社に入り跡取りとしての勉強。
宍戸は念願の保育士。
岳人は大手電気会社の営業。
ジローは家業の手伝い。
忍足は小説家。ちなみに、言わずもがなの恋愛小説家である。
そして何より。
跡部と宍戸。忍足と岳人。
二組の恋人同士が無事同棲生活をスタートさせたことが、幸せたる最大の所以であろう。

「がっくん!それはまだあかん!」
「はあ!?もう平気だって」
「ちゃうねん!もうちょい焼き色がついた頃が食べごろなんや!」
「…侑士。鍋奉行だけじゃ飽き足らず、焼肉まで仕切るのかよ…」
目の前に仲良く並んで座る二人の言い争いを見て、宍戸は思わず吹き出す。
「ははっ!何だよ忍足鍋奉行なのか?」
「そうなんだよ!聞いてくれよ。こいつ超うるせーの!」
「ちゃうやろ。がっくんが大雑把すぎやっちゅーねん」
面倒くさくなったのか、岳人は焼きを忍足にまかせ自分は食べる方に専念する。
「そーゆー宍戸は、両方に子供抱えて大変だな?」
「そうや。ジローはともかく、跡部は自分で食えるやろ?」
「あーん?俺様はこんな庶民の食事したことねーからな」
当然のように、自分の取り皿に入れられたものしか食べない跡部。
宍戸は大家族のお母さんのように、ホットプレートに並ぶ肉や野菜をひっくり返し、程よく焼けたものを跡部とジローの皿に取り分けるという事の繰り返しだ。
「宍戸も二人の事なんて放っといて食えよ。ってゆーかむしろ侑士にそれやらせた方が需要と供給が一致して良くねえ?」
自分のテンポで食事が出来ない岳人はそう言ってボヤく。
「イヤ!亮ちゃんがいい!」
「ふざけるな」
咄嗟にジローと跡部が大否定する。
「お前ら宍戸に甘え過ぎだって~」
分かりきっていた答えだが、岳人はさすがに呆れる。
「あーいいんだ、別に。俺も好きでやってるし、ちゃんと食ってるしさ」
「…ならいいけど」
二人の甘えたがりが直らないのは、偏にこの宍戸の甘やかしのせいであろう…。

「ごちそうさまー!おやすみー!」
綺麗さっぱり食材を食べ尽くすと、ジローはその場でころんと横になり、のび○君も真っ青な早さで眠りに付く。
「あー、うまかった~!」
満足そうに伸びをする岳人。
「いや~、満足や」
味にも、自分の仕切りにも満足な忍足は箸を置いて手を合わせる。
「まあ、悪くないんじゃねー?」
「お前何もしてねーし!」
尊大な態度の跡部に岳人が突っ込む。
「はい、ごちそうさまでした」
丁寧に手を合わせる宍戸の仕草は、昔から見慣れたものだ。
教師を親に持つ宍戸は、口は悪いくせにこういう場面で礼儀正さを垣間見せる。
「ほらジロー。食ってすぐ寝るな!寝るなら歯磨け!」
宍戸はそう言って、昔の面影がないほど大きく育った体を揺するが、一度寝に入ったジローはちょっとの事では目を覚まさない。
「ったく、しゃーねーな。後でデザートでもチラつかせりゃ目覚ますかな?」
そう溜め息をついて手を離す。
「すげーな宍戸。ジローの扱いも完璧だ」
岳人は残ったビールをあおりながら感心する。
「ったく。ジローのヤツ、コイツのこと親かなんかと勘違いしてるんじゃねーか?」
自分の恋人がジローの事ばかり構うのが面白くないのか、跡部は不機嫌そうな声だ。
「えーやん。跡部も似たようなもんやし」
「こいつと一緒にするな!」
余計な口出しをした忍足は、跡部に怒鳴られる。
こういう時の間の悪さといったら忍足はピカ一だ。
「あー、お前らうるせーよ。喧嘩してねーで片付け手伝え」
宍戸は呆れて立ち上がると、気合を入れるかのように背中まで伸びた髪を一つに結ぶ。
そして、持てるだけの皿を持ちキッチンへ向かう。
「岳人、忍足。残り持ってきてくれー」
「なんや、俺たちだけか?跡部は?」
「跡部はこーゆー時、全く使えねーから、いい」
「ふーん」
使えない呼ばわりされても、めずらしく言い返さない跡部。
一体どんな馬鹿をやったんだか…。
何事にも完璧な跡部が、宍戸に怒られている様を想像して忍足はほくそ笑んだ。

宍戸、岳人、忍足と見事な連携プレーで後片付けはあっという間に終わる。
「人数多いとすぐ片付いて楽だなー」
宍戸は自分の肩をポンポンと叩きながら笑った。
「さっきの言い様じゃ、跡部は家事無理そうだもんな…」
「んなの最初から期待してねーよ。あいつが食器洗ったり掃除機かけてたりしたら笑えねえ?」
「嫌やー。想像したないわ」
忍足が大きく頭を振ると、岳人も笑って答える。
「確かに!すげーがっかりだな。おいおい天下の跡部部長が!って感じだよ」
「だろー?」
懐かしい「部長」の響き。
宍戸はもう10年近く前の皆の姿を思い出す。
必死にボールを追っていた毎日。
いつも隣に並びたくて、追い越したくて、見つめ続けた跡部の背中。
「…まさか、10年後に一緒に暮らしてるなんてなぁ」
ふ…と、もれた呟き。
「だよなー。あんな仲が悪かった宍戸と跡部が付き合うなんて、想像してなかったよ」
岳人は、当然のようにリビングの真ん中で寛ぐ跡部をのぞき見る。
当然の上座。当然、大きなテレビが一番良く見える特等席。
「どーなん?あの亭主関白っぷり!そのうち『茶ーまだか』とか言い出すで、きっと」
「よく知ってるな忍足。さて、茶でも淹れるか」
「「マジかい!?」」
綺麗にハモった突っ込みに、こいつらも相変わらずいいコンビだと宍戸は嬉しくなった。

デザートに切った梨を食べ終わると、またもや、もの凄い早さでジローは眠りにつく。
「寝る子は育つっていうけど、何もここまでデカくなんなくてもなぁ」
だらりと伸びる脚を蹴飛ばして、岳人が呆れたような声を出す。
中学時代のチビ代表といえば岳人とジローで、揃って仲間にからかわれていたのに…。
「こいつ何センチだって?」
「180越したらしいぜ」
「マジ!?ってかまだ伸びてたのかよ」
宍戸が応えると、岳人はがっくり肩を落とす。
「仲間だったのによ~」
中学卒業後も、岳人には間接が痛むような成長期は訪れず、結局170に届かず止まってしまった。
「ええやん、可愛いんやから♪」
「…侑士には言われたくない」
結局182まで伸びた忍足を岳人は羨む様な目で見る。
「そーいや、宍戸もあまり伸びなかったな?」
「あ?」
自分にお鉢が回ってきて、宍戸は苦笑いする。
「うちは親も大きくないからな。期待はしてなかったよ」
「ま、いいんじゃねーの?お互い丁度いい身長差で」
やはり180は軽く越えている跡部の言葉に、忍足はうんうんと頷く。
「やっぱりHするには、小さな子のほうが可愛ええしな」
「お前ちょっと黙ってろ!」
締まりのない顔で笑う忍足の横っ面に、岳人が投げたお盆がクリーンヒットした。

久しぶりに騒ぎはしゃいだ夜は、あっという間に過ぎていく。
「もう11時か。そろそろ帰るかな」
「そうやね。がっくん明日出勤やし」
広げたトランプをかき集める二人に、キッチンから戻った宍戸が残念そうな顔をする。
「なんかアッという間だったな」
後片付けを終えてタオルで手を拭う仕草は、なんだかすっかり奥さんである。
「宍戸も仕事だしな。また来いよ」
ソファに深く腰掛け新聞を読んでいた跡部は、慣れた手つきで眼鏡を外しながら言った。
「そうするわ。ジローはどないする?」
今日は、食べる以外ずっと寝ていたジロー。
昔ならいざ知らず、この図体では運んで行くのは到底無理だ。
「ははっ。このデカさじゃ、樺地だって無理だろ」
笑う岳人に、つられて皆が笑い出す。
「今夜は泊めるよ。明日の朝持っていって貰いたい服もあるしな」
クリーニング店の息子は恰好の配達係だ。
「ええやん、ええやん。ジローは食ってただけやし?少しは働いてもらわんと」
忍足はそう言って、大きく育った仲間の頭を足先で小突いた。
「昔はよう、おぶったけどなぁ」
懐かしむような雰囲気に、宍戸はふと思いつきを口にする。
「そうだ、今度は長太郎や樺地も呼ぼうぜ。日吉と滝もそんな遠くねーだろ?」
そんな嬉しそうな声に跡部は苦笑いする。
「鳳呼ぶのか?あいつ泣くぜ、きっと」
宍戸が、何年も自分を想い続けてくれた鳳に、きっぱり可能性が無いことを告げたのは大学2年の時。
あれから、時間さえ合えば食事なんかには行っていたが。
さすがに同棲する家に招待するというのは、無神経だろうか。
しゅん…とする宍戸の背中を、岳人はバンバンと叩いて笑い飛ばす。
「見せ付けてやれって!今更だろ?」
そんな弾けるような笑顔に、宍戸の頬も緩む。
「ほな、次は9人で集まりましょ!」
「また場所はよろしくな跡部」
「ああ、部屋は余ってるからな。何人でもいいぜ」
「宍戸、また料理よろしく!」
「まかせとけって」
笑顔で交わす挨拶。
あの懐かしい日々が甦る。

「またな!」
賑やかな二人が玄関の扉を開ける。
「そや、お二人さん。ジローを起こさんようにHは静かにな」
「!!」
相変わらずの下ネタと、岳人の裏拳突っ込みでパーティーは締めくくられた。

また、会う日まで。



「氷帝社会人シリーズ」ってもう少し洒落た題名考えろよって感じですが、浮かばなかったのでまんまです。日ごろ時系列・キャラの性格など統一感無しに書いてますが、この社会人設定はシリーズとしてちょこちょこ書いていこうと思います。
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