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危険な二人(跡×宍)
「おい、待てよ!」
「知るかっ!」
さっきから何やら不穏な空気を漂わせていた二人は、とうとう声を荒らげた。
「…寄れば喧嘩するんだから、寄らなきゃいいのに」
離れた席から見守る滝は、そう言ってため息を吐く。
「だよなぁ。クラスメイトの視線が痛いぜ」
岳人はそう言って、背を丸めた。
「そやな。同じ部活ってだけで、止められると思わんで欲しいわ」
「そうそう。俺達で止められるなら、とっくに止めてるって」
忍足とジローも渋い顔をする。
「お前が悪いんだろーが!」
「ああ?話聞かないのはどっちだよ」
「話?お前のはくだらない戯言だろうが!ちゃんと分かる言葉話せよ」
「手前の頭の悪さを人の所為にするな」
「…はあ!?そういう人を見下した態度が最低だって言ってるんだ!」
二人の罵り合いは止まらない。
クラスが違う二人は、短い休み時間の間に毎度このような口論を繰り返す。
「あの二人、実は器用だよね。何でこんな短い時間であそこまで揉められるんだろ」
ジローの言葉に、揃って頷く。
「そうそう。ある意味むちゃくちゃ仲良いよね…」
滝の苦笑に、忍足は勘弁してと首を振った。
「嫌やわ。仲良しな跡部と宍戸なんて想像つかへんわ」
「…いや、でもあながち間違ってねえっつーか」
「え?どういう意味?がっくん」
躊躇いがちに口を挟んだ岳人に、忍足は怪訝な表情で聞き返す。
「俺宍戸と同じクラスだから、お前たちより多くこんな光景見てるんだけどさ…」
「うん、それで?」
滝も興味津津で続きを待つ。
「跡部が部長継いだ頃からかなァ。なんか言い合いの雰囲気が変わったってか」
「雰囲気?」
ジローは首を傾げる。
「そ。言い合ってるのは変わらないんだけど、うーん。たまに、跡部が弁解してるぽいっつーか」
「…弁解?」
「うん。変な言い方だけど、跡部が拗ねた宍戸の機嫌を取ろうとしてるみたいな」
「…機嫌を取る」
「ああ」
全員の視線が、まだまだ大声を上げ続ける二人に集中する。
「どうして手前は、そういう風に捻くれた受け止め方するんだ」
「別に捻くれてねえよ!見たままを言ってるだけだろ!」
「そうかよ?俺にはそうやって気を惹きたいだけにしか見えねえけどな」
「…う、自惚れるな!」
宍戸は両手で机を叩くと、自分の椅子を蹴とばして跡部に背を向けようとする。もうすぐ次の授業が始まることなど忘れるくらいに頭に血が上っているのか、長いポニーテールの間から覗く耳が真っ赤だ。
「逃げるのか」
「…お前は最低だ!」
怯えて飛び退く女子の間を縫って、宍戸が教室の入口に向かう。
「おい、宍戸!」
跡部は咄嗟にその後を追い、手を伸ばす。
「ねえ、何だかヤバい空気じゃない?」
滝は焦ったように、しゃがみこんでいた腰を上げた。
「ちょお、マジかい」
「え?何なに?」
忍足まで焦ったような声を出すので、ジローは釣られたように不安げな声で言う。
「がっくん。お前の観察、意外と意外に…」
「え?」
「そう。もしかしたら、当たってるかもしれない」
「ええ?」
岳人は何の事だか分らず、忍足と滝の表情を見つめるだけだ。
「宍戸!」
「煩い!」
跡部が伸ばした手が、宍戸の肩を掴んだ。
「やば!行くで」
「ああ」
忍足と滝は、邪魔な机を避けながら二人の方に向かう。
「忍足!?」
「滝?」
岳人とジローは、状況が分からずきょとんとするだけだ。
肩を強く引かれた宍戸は、大きくバランスを崩し後ろ向きに傾く。
跡部は、その体を待っていたかのように抱きとめた。
「宍戸」
顔を覗き込み名を呼ぶ跡部から、視線を逸らす様に横を向く宍戸。
流れる黒髪の隙間から覗く細い首筋が、跡部の目前に晒される。
「ちょ、跡部!」
「跡部、ストッ…!」
二人の止める声は間に合わなかった。
跡部はその首元に、深く顔を埋めた。
「…あ、はァん!」
甲高い声が上がる。
教室中が、一瞬にして静まり返った。
休み時間で賑やかだった生徒たちは、その場に似つかわしくない声に動きを止め、恐る恐るその発生源に視線を向ける。
「宍戸」
跡部は、抱きしめた宍戸の肩口に顔を伏せ、その華奢な首に吸いついていた。
「ァ…」
宍戸は紅い顔で瞳を伏せ、少し開いた唇が艶めかしく震えた。
そして、その体は膝から崩れ落ちる。
「…え?今の宍戸の声?」
岳人の呟きに、ジローは頭を抱えた。
「マジかよ。どうすんだよ…」
視線の先で、跡部を止めきれなかった忍足と滝が、そのままの勢いで渦中の二人を引きずって行く。
「あれって、ただの痴話喧嘩だったってこと?」
「だね。がっくんの観察力は捨てたもんじゃないよ」
混乱を招き、嵐のように去った二人の姿。
その答えを求めるように、クラス中の視線がゆっくりと、残された二人を捕える。
好奇心に溢れる視線の数々。
岳人とジローは、その場で身を縮める。
「忍足と滝、ずりィよ」
「俺達で、どう誤魔化せっていうんだよ~」
背中にじっとりと汗を掻きながら、ただひたすらに、次の授業の開始を待った。
*おまけ*
「跡部!二人の関係をとやかく言うつもりはないけど、どーして場所を考えないの!」
滝は、般若のような顔で怒り狂う。
「宍戸が素直にならねえから、仕方ないだろ」
「仕方なくないわ!何で、放課後まで待てないんや!」
「あのまま教室に戻ったって、気になって授業にならねェよ」
「お前ね…」
呆れる二人に、悪びれもしない跡部。
宍戸は、離してくれない跡部の腕の中で顔を上げられなかった。
そして、せめてもの抵抗で…。
「…バカ野郎」
「痛っ」
跡部が顔を顰めた。
それでも、怒りもせず宍戸の髪を撫で続ける。
鎖骨に噛みつく宍戸の反撃も、跡部にとっては、可愛い恋人の甘える仕草に過ぎなかった。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
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