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忍岳短編。

忍足が変態なのでR-18です。

怖くて、言えない(忍×岳)

「ああ、がっくん帰ったんか?」
「侑士?」
まさか起きているとは思わず、岳人の声は驚いたように弾んだ。
「…なんや、起きてて欲しくなかったって顔やな?」
「あ?いや、そうじゃねえけど」
見上げた時計はもう2時だ。
医学部に通う忍足の多忙さは、一緒に暮らしている岳人が一番知っていた。
「飲み会か?」
「ああ」
岳人の属するゼミは、勉強会とは名ばかりの飲み会を頻繁に行っていた。まだ1年だからいいものの、すでに多忙を極める忍足を見ていると、こんなことで大丈夫かと不安になる事もある。
「…随分、遅くまでかかったんやな」
「ごめんな。侑士明日も早いのに。何か、みんな盛り上がって帰り辛くてさ」
「ここまで1人で帰って来たんか?」
「ああ?そう。だって、隣の駅だったし。皆はタクシーで帰ったみたいだけど、俺は歩いて」
「…ふーん。ほんまか?」
「え?本当だよ。何で?」
「吉田あたりに送ってもろたんと違う?」
「はあ?何で吉田?つーかあいつ真っ先にタクシー乗ってたよ」
「ふーん…」
そう言ったきり、忍足はソファに深く腰掛け、思案するように自分の顎先を撫でる。
大きな鏡越しに見えるその表情はとても険しくて、岳人は逃れるように扉の横に手を伸ばす。
明かりを点けないからいけない。明るくなれば、いつもの忍足に戻る気がした。
「ああ、岳人。明かりは点けなくてもエエよ」
「え、でも…」
「大丈夫」
「…侑士?」
忍足はゆっくりと立ち上がった。まだ部屋着に着替えていないということは、もしかしてずっと待っていたのだろうか…?
「大丈夫。どうせすぐ『電気消して』って言うんやから」
「ゆう、し…!?」

力いっぱい腕を引かれた。
斜め掛けを剥ぎ取られ、叩きつけられたポケットから携帯電話が転がり落ちる。
そう言えば、飲み会の間中携帯をチェックしてなかったことに漸く気づく。
「ご、めん。もしかして電話くれた?」
「まーな。ま、エエけど」
「ごめんって、侑士!」
「だから、エエって。用事あった訳でもないし」
「それなら…」
冷たいフローリングに、両手首を縫いつけられた。
忍足が横になってもまだ余りある、大きなソファの脚に片手を括られる。革のベルトは冷ややかに肌に食い込んだ。そして、もう片方も同じように。
「侑士!」
華奢な身体をうつ伏せに固定すると、忍足は岳人のジーンズのファスナーに手を掛ける。
「ほんの少しの我慢やからな?」
「やめろ!」
勢いよく、下着ごと引き下ろされる。
「っ!」
暗がりの中、忍足は震える岳人の尻を一頻り撫でると。
ゆっくり、その秘所を暴いていく。
「嫌っ!」
触れる忍足の吐息に、岳人の身体には恐怖だけでは無い震えが走った。
「あーあかん。やっぱり見えへんわ」
「ゆ、し?」
忍足は立ち上がると、一度リビングを抜ける。
そして、戻ったその手には。
「なに?」
「あ?俺の机の。これならよう見える」
手にしたデスク用の蛍光ランプは、カチっと小さな音を立てて眩しい光を放つ。
「なあ、岳人。散々心配させたんやから、これくらいは我慢やで?」
「侑士!」
「まずは見た目から…」
青白い光は、濃い陰影をつけて岳人の尻を照らす。
「ごめん、て!」
「うーん。見た目は綺麗やな。今度は触ってみるかな」
「侑士!」
灯りの角度を変えて、今度は人差し指でその谷間をなぞる。
「特に何も分からんな」
「何もしてないって!」
涙声で叫ぶ岳人の頬に、忍足は優しく口づける。
「ほな、最後に。中も調べてみないとな?」
「や、許して…!」
抵抗も空しく、岳人の双丘に忍足の両手が掛かり、呆気なく割られる。
そして。
「あァっ」
濡れた舌が入口をさまよう。
「もうっ…」
その先端が、侵入を図った。
「あハァっ、ン」
岳人の唇からは、甘い吐息が零れる。

***

「よう岳人!」
空が黄色く見える、そんな翌日。元気に肩を叩いたのは宍戸だった。
「…お前、元気だな」
「岳人が元気なさすぎなんだよ、っておい!」
「何」
「…お前、眼の下すっげー隈。大丈夫か?」
そうもなるだろう。
あの後、朝まで。岳人は忍足の気が済むまで好き放題されたのだ。
「あ、昨日飲み会だったもんな。それで?」
「…あれ、俺宍戸に話したっけ?」
「違うよ、吉田。アイツが主催だろ?岳人のこと誘うって張り切ってたからよ」
「…」
漸く、見えてきた気がする。
「話した時、忍足も一緒にいたんだけどさ、あいつ平気な顔してるのよ」
「…それで?」
「だからさ、どうなのよって聞いたら、『がっくんモテモテやん~』だってさ!余裕だよなぁ。跡部じゃ、ああはいかないぜ?」
束縛の激しい跡部と、毎回すったもんだしながらも仲良く付き合っている宍戸は、けらけらと笑って岳人の背中を叩いた。
「で?」
「ああ?だから、吉田と別れた後『岳人狙われちゃってんじゃねえの』ってからかってやったんだけどさ」
「…宍戸の所為か」
鋭い視線で睨み上げられ、宍戸は驚いて手を止める。
「へ?何なに」
「…お前が侑士に余計な事言うから」
「え?何かあったのか?」
「…何でもない」
「おい、岳人!」
足早に歩き始めた後ろから、宍戸が興味深々で追いかけてくる。
「何だよ~、何かあったのかよ。教えろって!」
何かあったって、大ありだ。
でも、流石に口にするのは憚られる。
「何だよ!気になるってば。教えろよ」
宍戸の声から逃げるように、岳人は益々歩調を速めた。

間違ったって言えやしない。忍足のあんな行動。
とてもじゃないが…。

怖くて、言えない!

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