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社会人跡宍←ジロー。
またまた宍戸酔っ払いネタ。

これ、初めてUPするよな?最近何がUP済みだか、自分でも分からなくなってきました。

トラウマ(跡×宍)

「置いてかないって、言ったじゃん!一緒だって言ったじゃん!」
「…『じゃん』って」
その変わりっぷりに岳人に表情が引き攣る。
「かなり酔ってるね」
滝は、セリフの割には楽しそうな表情でテーブルに肘を突く。
「ねー、跡部。もしかしてこれって小学校の時の、あれ?」
ジローは手にした焼き鳥の串を跡部に向けて、蘇った記憶を確認する。
「どうだかな」
ジローの手を払い串の先端を背けると、跡部は素っ気なく言った。
宍戸は、席を立った跡部の行く手を塞ぎ、その脚にしがみ付いていた。
「嘘つきっ!」
無視して歩き出そうとする跡部を、宍戸は責める。
「…おおっと。跡部にはなかなか堪える言葉なんじゃない?」
僅かに眉を上げ動きを止める跡部を、ジローはにやにや笑って見上げる。
「別に。それよりこいつを止めやがれ。便所に行くだけだ」
「このまま放っといて跡部の『お漏らし』ってのも見物やけどな?」
「…忍足?」
「…はいはい」
跡部の鋭い視線に、忍足は両手を上げて降参する。
そして忍足は、へばり付く宍戸を引き摺り剥がしにかかった。
その様子を横目に、ジローは面白くなさそうに眉間にしわを寄せる。
「ちぇっ、見せつけてくれるよな。超ムカつくC-」
「俺の所為じゃねーだろ。宍戸に文句を言え」
フンっと一つ嗤うと、跡部は席を離れた。

「あとべのバカ、アホ」
残された宍戸は、テーブルに置かれた爪楊枝ケースをひっくり返し、八当たりのように中身をぶちまけた。
「っわ、こいつ最悪!」
岳人は慌てて宍戸の手を抑え、滝はその他の調味料などを宍戸の傍から離す。
飲み始めて数時間、タダでも隙間のないテーブルは益々汚らしくなる。
「ジロー、はよ焼き鳥片付け!皿下げるし」
忍足がそう言って振り向けば、ジローはまだ跡部を見送った時のブスっとした表情のままだ。
「何やのー、自分まで」
宍戸だけでなくジローまでが不機嫌そうに。そして二人の不機嫌の矛先は跡部のようだ。
「跡部がどうかした?そりゃ、いつも傍迷惑な奴だけど、今回ばかりは跡部に非があるとは思えないけど?」
馬鹿にしてるのか庇ってるのか、どっちつかずの滝の言葉だが、確かに今日の跡部に非はない。むしろ誰より紳士的に酒を楽しんでいた。
むしろ迷惑なのは宍戸だ。周りから見れば、理不尽な絡み方をしているのは宍戸の方だった。
「俺が『宍戸が好き』って言ったのが面白くないんだよ、跡部の奴」
確かに飲み始めてからこっち、ジローは事あるごとに「宍戸が好き!」と言い続けている。
「はあ?だからってお前が不機嫌になる必要ねーだろーが。跡部が不機嫌なら分かるけどよ」
岳人はため息をつく。
宍戸を巡る跡部とジローの鍔迫り合いは最初の内こそ良いからかいのネタだったが、さすがにもう、どうでも良くなってくる。何てったって10年越しだ。いっそのこと、どちらでもいいから宍戸をモノにしてしまえと言いたくなる。
隣では、相変わらず鈍感な宍戸が悪戯を繰り返し、岳人は止める気力すら湧かない。
「そうだよ。跡部が告白できないのも、ジローが『宍戸が好き』って言うのも、いつものことじゃない。何を今更」
滝もそう言って呆れたように笑う。
「ちーがーうーのー!さっき俺が『宍戸好きだよ』って言ったら、宍戸が照れたのー。ほっぺた赤くして俯いたのー」
「…それって、酔ってただけじゃねえ?」
岳人はそう切り捨てる。
この鈍ちん宍戸は、そんな可愛いタマじゃない。
居合わせる3人は揃ってそう思うのに、当事者だけは違うようだ。
「照れてたってば!だから跡部もあんな事したんだ!」
「あんな事って?」
「便所行くのが、どんな奥の手なんや?」
「便所は関係ない!」
ジローは癇癪を起し、忍足の頭を引っ叩く。
「痛いわ!」
「ちょっと忍足黙ってて」
「…俺の扱い酷くない?」
滝にまで押しやられて、忍足は凹んでぼやいた。

「跡部さ小学校の時、夏休み中ずーっと海外で過ごした事があったんだけど」
「へェ?でも、それって毎年じゃないの?」
滝が首を傾げれば、そう言えば…と岳人が口を挟む。
「跡部の奴、最近は海外行っても長くて2週間とかだよな?確かに子供の時ってずーっと海外行きっぱなしだったかも」
「そうなんだよ!」
「へー、そうなんだ」
中学に上がってから仲良くなった滝には、小学校時代の跡部のことは噂にしか聞いたことがない。中学から越してきた忍足は猶のことだ。
「で?それで?」
忍足も興味深げに尋ねる。
「跡部さ、小学3年の夏休み、宍戸と遊ぶって約束してたのにイギリス行っちゃってさ。それで宍戸が泣いちゃった事があるんだよ」
「ふーん。でも何で?用事とかで?」
跡部が宍戸との約束を破るなど、今の生活をみれば想像もつかない。宍戸は気付いていないだろうが、跡部の生活は可哀そうなくらい宍戸を中心に回っている。
「それがさー、酷いんだよ!宍戸に海外行くこと言ったら煩そうだから黙って行ったんだって!しかも唯の観光!」
「ほんまか!?あの跡部が?」
「それで、置いて行かれたから宍戸が泣いちゃったの?」
「宍戸、跡部とプール行ったり、ゲームしたりとか色々楽しみにしてたんだよね。なのに休み入った途端、急に連絡取れなくなっただろ?もう毎日毎日跡部の家に電話してさ。そんなだから、俺が誘っても絶対出掛けないんだよ。跡部が帰ってくるかもしれないって」
「成程。それで、帰って来た跡部に『嘘つき』か」
思わぬ昔話に、滝と忍足が意外そうな顔をする。
すると岳人の記憶も蘇ってきたようだ。
「あーあー、そうだった。それでお前らのクラス大ゲンカになってたよな。宍戸派と跡部擁護派と」
「そうそう。俺はどうでもよかったんだけどね。宍戸と一緒に居られたし」
ジローは詰まらなそうに言う。
「で?どうやって仲直りしたの?」
滝は興味津津だ。
「それでさ、すったもんだの末宍戸が泣いちゃって。宍戸が泣くなんて思わないじゃん?そしたら跡部も焦っちゃってさ『もう置いていかないから』とか口走ってさ…」
「ああ、それでさっきの宍戸のセリフね」
滝は納得して頷く。
「かわええ所あるやん、宍戸も」
そう言って忍足がにやにや笑っても、宍戸はどこ吹く風だ。酔っぱらいとは全く恐ろしい。今度はグラスの氷を食べるのに必死になっている。
「もう、本当宍戸は可哀そうだったよ。毎日電話が通じない度にがっくり肩を落としてさ。なのに跡部ってば超ムカつくことに、あの時の宍戸を見て、宍戸の事好きになったとか言うんだよ!」
「あの時って、泣いちゃったの見て?」
さすがサド。岳人はげんなりと言う。
「そう!それから跡部、ワザと冷たい態度して宍戸が悲しそうな顔するのを楽しむようになったんだ」
「あ、そっか。酔って甘えモードになった宍戸を置いて、跡部がわざとお手洗いに立ったって言いたい訳ね?」
「そーゆー事」
そう言って、ジローは残りの焼き鳥に食らいついた。
「わー。さすが跡部。最低やわ」
「…ほう。俺様が最低と?」
「…げっ!」
気づけば、トイレから戻った跡部が忍足の後で腕を組んで立っている。
「いだっ!」
そして、手荒く忍足の頭を殴ると、跡部は自分の席に戻る。
すると、今まで周りの話など興味なさそうにしていた宍戸がぱっと顔を上げた。
「跡部!」
「悪かったな、宍戸」
そう言って両手を広げれば、宍戸はその中へ転がり込んだ。その弾みで、隣に腰かけていた岳人が弾かれる。
「岳人、大丈夫!?」
慌てる滝に、岳人は「平気平気」と笑って宍戸に席を譲ってやる。
「しっかしさ。こんなんじゃ勝負見えてるじゃん。何で跡部告らねーの?」
「何言ってんだよ!?岳人」
ジローは目の色変えて反抗するが、だって、と岳人は続ける。
「跡部が告れば宍戸断らないだろ?日頃どうであれ、これが本音なんだろうし?」
「確かにね」
滝も呆れたように目の前の光景を眺める。
ぴったりと体を寄せた宍戸は、跡部の動きだけを目で追っている。正直、ジローの事なんて欠片も頭にないようだ。
「大方あれやろ?宍戸が自分に夢中なのを見るのが幸せっちゅう」
「わ、それは最低。だけどまあ、同じ男として分からなくもないかな」
忍足の言葉に苦笑しつつも、滝は肯定的な意見だ。
そんな滝に、跡部はニイっと口角を上げて言う。
「だろう?しかも自分で付けてやった傷ってのは、なかなか良いもんだぜ?」
「…傷?」
岳人が不思議そうに首を傾げれば、跡部は体を預ける宍戸の頭を撫でながら事もなげに言ってのける。
「俺に置いて行かれるってシチュエーションが、軽くトラウマになってんだよ、こいつ」
「うわ、やっぱり最低!ちっとも反省してない!」
岳人が仰け反って言う。
「しかも喜んでる!」
滝も呆れたように天を仰いだ。
「ムーカーつーくー!」
ジローは叫んで、温くなったビールを飲み干した。
「なるほどな。これだけ跡部一筋なら告白するまでもないっちゅーことか。宍戸中心の生活やて、苦にならないわけや」
納得顔の忍足に、肯定するでも否定するでもなく、跡部はニヤリと嗤った。
その余裕な姿に、3人の視線が憐れみをもってジローに注がれる。
「ジロー、その…辛いこと言うようだけど」
ジローの気持ちを慮る滝。
「ほら、何もこんなゴツイ男なんかじゃなくたってさ!」
必至に明るく励ます岳人。
「ま、報われん恋はこの辺にしとき」
先の二人の気遣いを無にする、忍足の遠慮ない言葉。
「うるさーいっ!」
ピクリと頬を引きつらせたジローは、そう言って力任せに忍足の両頬を抓る。「いたたたたっ!」と派手に痛がる忍足を無視して、ジローはびしっと跡部を指差した。
「俺、諦めねーし!覚悟しとけ!」
「アーン?まあ、頑張れ」
跡部はククク…と喉の奥で楽しそうに嗤った。

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