忍者ブログ
★初めてお越しの方は、お手数ですが「はじめに」を必ずお読みください。★
[206]  [205]  [204]  [203]  [202]  [201]  [200]  [199]  [198]  [197]  [196
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ハッピーバースディ宍戸!

めでたい♪そして猫宍もようやくどシリアスを脱出し、めでたい方向へ…!
残りはあと1話。跡誕にUP予定ですv


昨日28日は跡宍プチオンリーでした。
主催の安原様、ヤマダ様お疲れ様でした!
久し振りのイベント楽しかった~v次はサークル参加したいですね。
また開催されることを願って…!

幸福論2(跡×宍)
~猫宍シリーズ30~
 

「…っだっつたろーが」

「…い!…さえあれば…」

「…そっち、…しろっ」

…騒がしい。人の足音や扉の閉まる音。
でも、温かくて居心地がいい。
ああ、跡部だ。俺、跡部に抱きしめられてる。
「…あと、べ」
「あ?起きたか、宍戸」

ぼんやりとする視界の向こうで、跡部が覗きこんでいる。
「お前、ここんとこちゃんと寝て無かったろ?久しぶりだったんじゃねえか?こんなにしっかり寝たのは」
「…あ、あ…たぶん」
いつまでも戻らない身体のこととか、進学のこととか。考えだしたらキリがなくて、正直殆ど眠っていなかった気がする。
「よし。顔色も随分良くなったな」
「…跡部、もしかして」
ベッドに身を起し、左腕を軽く振る跡部。きっと、俺が手離さないから、ずっと抱きしめてくれてたんだ。俺ってば全然気づかないで寝入ってた。
「有難う」
「あ?気にするな」
子供みたいだ。跡部に抱きしめてもらって安心して眠れるなんて。
「ったくお前も、もっと早く甘えりゃ良かったのによ」
跡部は鼻で笑って俺の頭を小突いた。
「…ああ」
跡部はきっと、俺の悩みとかみんな気づいてて、でも、俺自身が助けを求めるまでそっとしておいてくれたんだ。こんな姿になっても、絶対に俺の意思を尊重してくれる跡部の事だから。
それにしても不思議だな。人間って、たっぷり眠るとそれだけでプラス思考になれるものなんだな。
それに、朝日。事態は何も変わってないのに、明るい陽ざしを浴びるだけで、少し気分が晴れるんだ。なんとかなるさって思えてくる。
「…朝日」
あれ、良く見たらここはどこだ?
きょろきょろと部屋を見渡す俺に、着替え途中の跡部は可笑しそうに笑う。
「何だやっと気づいたのか?ここは軽井沢だ」
「…え?別荘?」
「ああ。お前相当疲れてただろう。運んでも一度も目を覚まさなかったぜ?」
「マジ…?」
俺ってば、どんだけ寝入ってるんだよ。すげーハズい。
きっと抱きかかえて来てくれたのって跡部本人だよな。流石の俺でも他の人に運ばれたなら気づくさ。
「ずいぶん安心しきった顔で眠ってたからな。つい朝まで一緒に寝ちまったよ」
「…ハハ」
頬が熱い。
恥ずかしくて顔を反らしたら、跡部の奴わざと近づいて覗き込む。そして、優しく頭を撫でた。
「俺は色々準備があるから先に出る。お前はゆっくりしてろ。まだ7時だ」
「…え?先に出るって、どこへ?」
「あー、まあ後で迎えにくるからゆっくりしてろ。10時頃に迎えを寄こす」
「はあ?だから、何があるんだってば!」
こいつ何か隠し事してやがる。昨日からこそこそ何してるんだか。
「やっと、元気になったな」
跡部は俺の尻尾を軽く握って何度か振った。そして背を向ける。
「跡部!」
「そう喚くな。楽しみにしとけ、久し振りのお祭り騒ぎだ」
「…何だそれ」
お前の考えることなんて、いっつもお祭り騒ぎじゃないか。

屋敷中が騒がしいのが分かる。でも、この部屋からは何も見えない。見下ろせるのは綺麗に手入れされた中庭ばかりで、つぼみが膨らみかけた桜の木が並ぶだけだ。
「…花見ってわけでもないよな」
花が咲いてなきゃ話にならない。
テーブルに並べられた朝食はすっかり食べちゃったし、テレビも飽きた。でも、お茶まで運ばれて来るってことは、跡部の奴きっと俺をここから出したくないんだろうな。
何企んでるんだか知らねえけど、付き合ってやるよ。
俺は、注がれたばかりの温かなティーカップを手にソファに腰掛ける。
そう言えば、こんな穏やかな気分は久し振りなんだ。ゆっくり過ごすのもいいかもしれない。
「宍戸!」
…って、腰かけた傍から派手に扉が開かれる。
「滝?!」
飛び込んできたのは、卒業式以来に顔を合わせる滝だ。あんな別れ方だったから、次に会う時はどんな顔をすればいいんだなんて思ってたのに。
「ごめん!ちょっと急いで!」
「…は?」
「はいはい、いいからこっち来る!」
「何なんだよ!」
スーツ姿の滝は、焦ったみたいに手を引く。俺は慌ててカップを置いた。
「なー、お前ら何企んでるの?」
「え?!何聞いてないの?…もー跡部ってば」
「だから、何!」
「ま、それも楽しいかもね」
「…だーかーらー」
結局、滝も話す気が無いみたいだ。そのままずるずると廊下を引きずられる。
そして1階に下りると、あまり近づいたことのない奥の別棟に連れて行かれた。
「どこまで行くんだよ」
「いいからいいから」
何度か来た事のある別荘だけど、あまりに広くて正直地図は頭に入ってない。ただ、この棟が初めてだなってのは分かる。少し奥まってて古めかしい塔があるんだ。テニスコートから赤い屋根が見えてた、そっちの方向だと思う。
それに、そう。
あそこにはクラシカルな十字架と鐘。
…確か、チャペルだよな?

「はい、ここだよ」
「…滝、」
「はーい、もう時間が無いからね。文句は後で跡部が受け付けます」
「そんな…」
「そんなもこんなもないの!座って」
「だって、」
カーテンの隙間から射しこむ日差しを浴びて、眩しい位に輝くのはウェディングドレスだった。
そんな、まさか。
「宍戸、なんだか随分跡部を焦らせるような事言っちゃったって?」
「え?俺が?何を」
「知らないけど。跡部の奴、急に焦って動き出したから」
「急にって、まさか」
「そ、昨日。急だろ?まあ俺は暇だったし、っていうか皆春休みで暇持て余してたみたいだからさ、丁度良かったよ」
滝は楽しそうに言って、俺の髪をヘアバンドで固定してしまう。
「そんなに濃くはしないけどね。写真写りもあるし、ちょっとだけ化粧させてね?」
「マジかよ!」
そんなの、とんでもない!
慌てて手を払ったら、滝の奴ニヤニヤ笑うんだ。
「言うこと聞いておいた方が身のためだと思うよ~。跡部があんまりバカなこと仕出かさないようにさ」
「…これ以上の馬鹿って何さ」
「ま、ほら。俺ら凡人とは違うからさ」
滝は鼻歌交じりに、コットンを手にする。
「さ、イイ子にしててね~」
「…」
こうなった滝は、止められないんだ。

滝の手が、慣れたように動く。
いろんな液体をコットンで叩かれて、ファンデーション塗って。
「ちょっと目閉じてて」
「ああ…」
アイシャドウとか、俺の知らない色んなものを、手品のように広げていく。
俺はもう諦めて、滝の言うとおりに従った。
そして、何分か経った頃。
「…宍戸?少しは眠れてる?」
滝が、手も止めずに呟いた。
「ああ、夕べは久し振りにゆっくり寝た」
「そう、良かった」
「…悪かったな、心配かけて」
「そういうときは、心配してくれてありがとう、だよ」
「ああ、サンキュ…」
「あ、泣いちゃダメだよ!せっかくの化粧が落ちちゃう」
「…ばーか。泣かねえよ」

「わっ、ドレスって重いのな」
「そうだよ~、気張って無いと踏んづけて転ぶからね。シャキッとしてよ」
「お、おう」
ホント、見た目は柔らかくて繊細そうな生地がふわふわしてるんだけどさ、着てみると結構ずっしりくるのな。
「シンプルなAラインとかマーメイドタイプのデザインならここまで生地使わないんだけどね。如何せん男の体格を隠すとなるとさ」
「そりゃ、そうだ。いくら背縮んだからって、骨格は男だからな」
「とは言うものの、この華奢さは女性に妬まれそうだね。ちょっと驚くほどお似合いだよ」
「…んな訳あるか」
けれど、鏡に映る自分は確かにそんなに違和感がない。正直複雑だ。男がこんなひらひら似合ってもな。
「はい、これも持って」
「あ?おう」
手渡されたのはブーケだ。白と水色を基調とした可憐なイメージ。でも真ん中に配された大ぶりの百合が程良い艶やかさを出す。
「それを左手に持って、同じ手でドレスのも摘まんで。じゃないと歩けないから」
「え…?と、なんかこれも、意外と重いのな」
「そうなんだよ。花が生花だから」
花だけでもずっしりくるのに、やたら長いドレスを摘まみ上げ同時に掴むとなると、小さくなった手には少し辛い。
「…女性って、大変なのな」
「そうでしょ~、綺麗に見せるって大変なんだよね」
まるで女性のような物言いに、何だか笑ってしまう。とても生き生きしている滝は、もしかしたら将来こういう方面に進みたいのかもしれないな。
「宍戸、背中映してごらん?」
「え」
鏡を前に背中を向かされる。
「…綺麗だよ」
「滝…」
大きく開いた背中。それほど長くもない髪を、滝は器用にアップに仕上げてくれた。自分の項をじっくり見ることなんて無かったけど、自分が思うよりもほっそりしていた。
そして、絞られたウエストから大きく広がるドレス。裾が長く鏡の奥にまで広がっている。繊細なレースが美しかった。
「俺が、裾持って歩いてあげる。…嬉しいな、宍戸の式の手伝いができるなんて」
俯いた滝の瞳が、少し潤んで見えた。
「…ばか、泣くなよ」
「ハハ、ごめん。なんか感慨深くて」
そう言って、滝は俺の手を取る。そしてウェディンググローブの上からそっと口づけた。
「…ん。やっぱり短いグローブで正解。可愛いよ、宍戸」
「男に可愛いもあるかよ…」
「そっか、そうだね」

昨日まで、進学や将来のこと考えてぐるぐるしてたのに。急な展開に俺の頭はなかなか切り替わらない。
でも、こんな強引さが跡部らしい。
俺、本当に結婚するんだな。

PR
はじめに
ようこそお越し下さいました!「ハコニワ‘07」はテニスの王子様、跡宍メインのテキストサイトです。妄想力に任せて好き勝手書き散らしている自己満足サイトですので、下記の点にご注意くださいませ。
■R-18作品、猫化・女体等のパラレルがオープンに並び、CPもかなり節操なく多岐にわたります。表題に「CP」や「R-18」など注意を明記しておりますので、必ずご確認の上18歳未満の方、苦手なCPのある方は避けてお読みください。また、お読みになる際は「自己責任」でお願い致します。気分を害する恐れがあります…!
これらに関する苦情の拍手コメントはスルーさせて頂きますのでご了承ください。
■連絡事項などがありましたら拍手ボタンからお願い致します。
■当サイト文書の無断転載はご遠慮ください。
■当サイトはリンク・アンリンクフリーです。管理人PC音痴の為バナーのご用意はございませんので、貴方様に全てを委ねます(面目ない…)。        
   
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
通販申込
現在、通販は行っておりません。申し訳ございません

・その頬は桜色に染まる(跡宍)400円
・社会科準備室(跡宍)500円


※詳しい内容は「カテゴリー」の「発行物」からご確認ください。

◆通販フォームはこちら◆
拍手ボタン
カウンター
お世話様です!サーチ様
ブログ内検索
プロフィール
HN:
戸坂名きゆ実
性別:
女性
自己紹介:
私、戸坂名は大のパソコン音痴でございます。こ洒落た事が出来ない代わりに、ひたすら作品数を増やそうと精進する日々です。宜しくお付き合いください。
忍者ブログ [PR]

photo byAnghel. 
◎ Template by hanamaru.