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CP注意!
何故かいきなり、赤澤×観月です。
何だろう。今となっては思い出せないが、きっと赤観サイトさんを回って、興奮のあまり書き残したものと…。
手放せない場所 (赤澤×観月)
「赤澤…。あなたここを出てくのですか?」
「あ?まーな。理由がなくなっちまったしな…」
ベットの下へ追いやられていた大きめのスポーツバックを見ると、赤澤がこの部屋へ来た日の事を思い出す。
新学期が始まってすぐのあの日、寮生でもない赤澤は大きなスポーツバックとテニス道具一式を抱え、僕の部屋の前に立っていた。
「よう。今日から世話になるぜ!」
そう言った彼は、鍵を開けた部屋主の僕よりも先にずかずかと部屋へ入っていく。
「何なんですか、一体!?」
焦る僕をよそに、ひとしきり部屋を物色した赤澤は事も無げに笑った。
「これから大会が終わるまで、寮で暮らす許可をもらったんだ。部長とマネージャーが綿密な打ち合わせを出来るようにって、な」
「聞いてませんよ!」
「まーまー、そんなに怒るなよ。綺麗な顔が台無しだ」
そう笑って僕の頭を撫でる手は、同じ年とは思えないくらい逞しかった。
結局、関東大会への切符を逃した僕らは、残りの夏休みを普通に過ごすこととなった。
2年の金田くんや裕太くんはともかく、僕ら3年はそろそろ「受験」を意識する時期だ。
テニス一色だった生活が、少しずつ様変わりしていく。
そして、赤澤がこの部屋で暮らす意味もなくなった。
たった5ヶ月程だったけれど、赤澤は驚くほど自然に寮生活になじんでいた。
まず、寮母さんや食堂のおば様方からは絶大なる人気で、もともとの寮生よりも声をかけられたくらいだ。
部員もそれが当たり前かのように、共に食事し登校し、お風呂に入り就寝時間までを寛いで過ごす。
僕にいたっては、その後部屋で着替えてお茶を飲みながら練習のメニューを話し合い、そして…。
あの日からは、一つのベッドで朝を迎えた。
青学戦に破れたあの日。
誰一人として僕に文句を言わなかったあの日。
僕は、胸の中のぐちゃぐちゃした気持ちを何処へもぶつけられず、ただ淡々と明日への準備をするしかなかった。
まだコンソレーションが残っている。
そこで勝ち上がれば先へ進める。
強い口調で皆にそう言った手前、僕は弱音を吐くわけにはいかなかった。
一人きりの部屋ならば、ベッドの中で悔し涙を流すこともできたけれど。
そこには赤澤がいた。
だから必死に前向きに振舞った。
いつもと同じようにお茶を淹れて、その日の試合を労い、試合結果の分析に使うパソコンを立ち上げる。
「早速ですが、次への対策を組みましょう」
思ってもいないことを口にする。
本当は思い切り泣き喚いてベッドを叩き、疲れて眠ってしまいたかった。
挫けそうになる気持ちを隠して、僕はあえて背筋を伸ばす。
その時、パソコンのキーに触れようとした僕の指を赤澤の掌がゆっくりと包んだ。
「観月。一度思い切り泣いちまえ」
何だっていうんだ。
あの手の温かさは。
真っ直ぐ見つめるあの瞳の優しさは。
僕は呆気無く挫けた。
その広い胸に転がり込んで、子供のようにしゃくり上げた。
誰も僕を責めないことが辛かった。
彼らの優しさが苦しかった。
でも、赤澤の無言はひどく嬉しかった。
あの日赤澤は、泣きながら眠ってしまった僕を背中からすっぽりと抱きしめるようにして同じベッドで眠った。
その日から、来客用の布団は使われなくなった。
床にしゃがみ込んだ赤澤は、スポーツバックに私物をどんどん放り込んでいく。
服はたたみもせず、教科書だって揃えない。
「おかしいな。来た時は入ったのに」
荷物が溢れ、閉らないファスナーに首を傾げる。
「それはそうでしょう。そんな入れ方じゃ入る物も入りません」
でも、手伝ってなんてやらない。
だって。
シャツが1枚、教科書が1冊、そのバッグに入れられる度に僕の胸はこんなにも軋む。
片付けることを知らない赤澤にイライラして怒り散らしていたのは、ほんの数週間だった。
いつの間にか。
隣で頬杖ついて微笑む赤澤に落ち着いて。
部屋中に赤澤の匂いを感じることが自然になって。
床に広がる赤澤の教科書を整えてあげることが無意識になって。
ああ、あなたがこの部屋からいなくなったら。
僕は一人で何をするのだろう?
いままでは一人で過ごしてきたはずなのに。
赤澤と居たって何をする訳でもなかったのに。
あなたのいない生活が、もう想像できない。
「観月?」
荷物を入れ直すためか、先ほど放り込んだシャツや教科書を取り出しながら赤澤が声を掛ける。
「…はい?」
横で呆然と立ち尽くす僕を、彼はいつもの穏やかな瞳で見上げている。
「観月。言いたいこと言っちまえよ」
「…赤澤」
まるで全てをお見通しという表情。
いつもは調子のいいことばかり言って、柳沢たちと馬鹿騒ぎをしているくせに。
こういう時はそんな大人びた顔をして見せるのですね。
あの夜と同じで。
「…今度ばかりは、言ったところでどうにもなりませんよ」
赤澤は、自嘲気味に笑う僕のだらりと下ろされた腕を取ると軽く引く。
「いいから言ってみろ」
引かれるまま横にぺタリと座り込むと、赤澤はあの時のように真っ直ぐ僕を見つめる。
「言っても無駄です」
「そんなの分からねーだろ?」
「分かります」
だって。
あなたがいなくなるのが、寂しいだなんて。
「ほら、早く言えって」
言ってどうなる?
「みーづーきー」
両腕を取って揺さぶる赤澤。
触れたところから、きゅん…と痺れて。
体中締め付ける。
「観月ってば」
だってどうなるっていうの?
あなたがそれで側にいてくれる?
毎晩抱きしめて眠ってくれる?
泣きたいときにはその胸で抱きとめてくれる?
無理に決まってる!
「じゃあ、ここに居てくれるんですか?何言ったって、あなたは出て行っちゃうんでしょう!?」
叫ぶのと同時に涙が溢れる。
鼻の奥がツンとする。
もう、どうにでもなれ。
赤澤は今夜からもういない。
「やーっと言ったな」
明るい声で笑うと、赤澤は僕を抱き寄せる。
もうすっかり馴染んでしまった、その広い胸。
「お前のその台詞が聞けなかったら、俺本当に追い出されるところだった!」
ギューッと締め付ける逞しい腕。
僕の胸と同じくらい、赤澤の鼓動も激しく脈打っている。
「ど、いう事ですか?」
見上げると、すまなそうに微笑む表情。
「学校から、大会が終わったんだから自宅へ帰るように言われてさ」
それはそうだろう。
この部屋へ来た理由が、大会のためだったのだから。
「でも、このまま寮で卒業まで過ごしたいって言ったら、あいつらが協力してくれてよー」
あいつら…。
きっと部員のみんなだろう。
「学校側も、部員と観月も同じ意見なら許可しなくもないって。もちろんテニス部のサポートとしてな」
「…え?」
「だから、観月がここにいていいって言ってくれたから、卒業までいられるんだぜ!」
「ここに…?」
信じられない。
そんなことが起こるなんて。
「観月はきっと、普通に聞いたら意地張ってここにいろって言わないだろ?だからこんな回りくどい事しちまった。ごめんな?」
きっと僕がいつものように怒鳴り散らすと思ったのだろう。
気持ち首をすくめるその姿に、僕はクスっと笑ってしまう。
「えっ?怒らねーの?」
「なんで怒るんですか?」
「いや、ほら。騙したみたいになっちまったから…」
ぽりぽりと頭を掻くその姿も、最初は嫌で嫌で。何度も注意しましたね。
不思議と、今ではこんなに愛しい。
「こんなに嬉しいのに、怒りませんよ?」
僕はどんなに気の抜けた表情をしているだろう?
きっと今までにない表情にちがいない。
だって、こんなに赤澤が目を見開いてる。
相当驚いてますね。
「観月…。俺のこと好きか?」
まだ呆然と僕を見つめたまま、赤澤が呟く。
「おや。そういうことを聞くときは、自分から先に言うべきでは?」
「ああ、そうだよな」
照れたように微笑む赤澤。
きっと頬も染まっているのだろうけど、色黒の頬ではあまり分からない。
「観月。お前が好きだ」
真っ直ぐ見つめる、熱い視線。
にっこりと笑う、太陽のように温かな人。
僕だって…。僕だって。
「…僕も。赤澤が好…」
告白が終わらないうちに、強く抱きしめられる。
大きく背が反るほどに、強く。
「観月!みづき…。好きだ。可愛いよ…」
「…あ」
キツく回された腕に、上手く声が出ない。
「可愛い…。可愛すぎて、どうしていいか分かんねぇ…」
何度も抱きしめ直すその腕は、とても熱く、少し震えている。
そういう時はこうすればいいのに。
僕は出ない声の代わりに、両腕を赤澤の首に回す。
そして、その頬に優しく口付けた。
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